榎本幹朗

2017年10月17日 21:00

連載第72回 「バリューギャップ」に潜む音楽売上6000億円増の金鉱脈〜スティーブ・ジョブズ(24)

100兆円近い資産を持つゴールドマン・サックス社にとってその年、Spotifyに550億円(5億ドル)を投じたことはなんでも無かったのかもしれない。世界の音楽売上を牽引するのはCDでもiTunesでもなく、Spotifyになる…。かつてほとんどの人が本気にせず、反発すら示したその予言は2015年、ついに現実となりつつあったからだ。
2017年7月27日 4:00

連載第70回 音楽消費の場となったYouTube。音楽使用料は70円/人。定額制配信2030円/人に対し〜スティーブ・ジョブズ(22)

「YouTubeは音楽聴取の40%を占める一方で、売上のたった4%しかないんだ。こいつが課題なんだよ! (…)そのせいで機能不全を起こしていると気づいているけど、彼らにはどうでもいいんじゃないかな?たぶんね」一昨年(2015年)、ユニバーサルミュージックの旗艦レーベル、インタースコープを創業したジミー・アイオヴィンはインタビューでこう皮肉気味に語った。
2017年7月20日 3:00

連載第69回 有望市場でなくなったライブと音楽配信。 天才ディズニーの事例が示す「次の大物」へのヒント〜スティーブ・ジョブズ(21)

常識は真理ではない。時代が変わり、成立条件が変われば崩れ去る。だが時代が変わる時、人間は行動のほうが先に変わり、頭脳は後追いになるものらしい。そのギャップが歴史の節目節目に、悲喜劇を生み続けている。無料で宣伝し、人気が出れば売れる。それは真理だろうか?
2017年4月19日 22:45

連載第68回 ジョブズの師、知野弘文〜スティーブ・ジョブズ(20)

ジョン・ラセターは、自分のブースで待っていた。会議室で何が起きているかはうすうす感づいていた。いよいよリストラが始まろうとしている。ピクサー社は新オーナーの戦略ミスで傾いていた。閉鎖すべき部門があるとしたら、まず自分らだろう。
2017年4月12日 21:30

連載第67回 宮﨑駿とピクサー。やがてApple〜スティーブ・ジョブズ(19)

2014年。宮﨑駿がアカデミー名誉賞を受賞した。日本人では黒澤明以来の快挙であり、アニメ監督としては史上初となる。アカデミー名誉賞は、三大映画祭を超えるアカデミー賞のなかでも特別だ。映画界のノーベル賞といっていいかもしれないと鈴木プロデューサーは語っている。
2017年4月8日 0:45

連載第66回 テクノロジーと超一流アーティストの関係〜スティーブ・ジョブズ(18)

中世の西洋画をイメージしてほしい。子供が描いたように顔が平坦で、背景も乏しい。感情も貧しく見える。ルネサンスの絵画はどうだろう。たとえばダヴィンチ。光と影を巧みに使うことで、人物像は奥行きを持ち、こころの深淵を表現している。ダヴィンチは持ち前の科学的センスをアートに導入した。遠近法と陰影法を集大成した彼は、美に新たな時代をもたらすことになった。
2017年4月6日 3:00

連載第65回 天才創業者の死後〜スティーブ・ジョブズ(17)

『スター・ウォーズ』のジョージ・ルーカスが映画監督を目指すきっかけとなったのは、夢を諦めざるをえなかったからだ。高校卒業の前日に彼は改造し倒したフィアットを、エピソードIのアナキン坊やのように駆ってレースに出場。エピソードVIのスピーダーバイクのように接触され木に激突。シートベルトが切れ、車外に放り出された。
2017年4月1日 2:00

連載第64回 アロハシャツとブレイクスルー〜スティーブ・ジョブズ(16)

副社長は勇気を振り絞って、ジョブズに議題をぶつけた。半年後に控えるCGの祭典、シーグラフに出展する短編アニメ『ティン・トイ』の件だった。それはたった今、身を削る思いのリストラをもって作ったカネと、ほとんど同じくらいかかるのだ。
2017年3月29日 2:15

連載第63回 ビジョナリー、ジョブズの誤算〜スティーブ・ジョブズ(15)

プロデューサー気質の強かったジョブズは、まばゆい才能に出会うと顰め面から晴れやかな顔をしたものだった。だから10万ドル、現在価値で30億円弱の大金をはたいて稼ぎのないCG集団を手に入れたとき、「気でも触れたか」と揶揄されたが気にすることはなかった。