【14th TIMM】コカ・コーラ、P&G、トヨタ が東京オリンピックCMに起用する日本の音楽・アーティストとは

2017/12/25 (月) - 18:30
SyncSummit@TIMM 2017: 音楽、企業ブランドと2020年東京オリンピック
▲左から ジョシュ・ラビノウィッツ氏、ジョシュア・バーク氏、クリステン・ホサック氏



第14回 東京国際ミュージック・マーケット(14th TIMM)ビジネスセミナー
SyncSummit@TIMM 2017: 音楽、企業ブランドと2020年東京オリンピック


日本の文化や音楽などのコンテンツを世界に広げる絶好の機会となる2020年東京オリンピック。このセミナーでは、2016年リオオリンピック向け広告などの制作に携わった、コカ・コーラおよび広告代理店の音楽担当者が、どのような視点で音楽・アーティストを起用したのか、その理由と東京オリンピック向けCMに求める音楽について話し合った。

<登壇者>
マーク・フリーザー氏 (CEO, SyncSummit & SyncExchange /CEO)
ジョシュア・バーク氏 (Head of Music Sourcing, The Coca-Cola Company)
ジョシュ・ラビノウィッツ氏 (EVP Director of Music, Townhouse)
クリステン・ホサック氏 (Music Supervisor, Saatchi and Saatchi)

 

キャンペーン楽曲が決まるまでのプロセス

 

マーク・フリーザー(以下 マーク):このセミナーでは、2020年東京オリンピックでの企業キャンペーンにおいて、音楽がどのように活用されるのか話をしていきたいと思います。音楽の交渉をする場合、どのようなプロセスになっていますか?

ジョシュ・ラビノウィッツ(以下 ジョシュ):それぞれのスーパーバイザー、プロデューサーがアサインされている大きなチームがありますので、そこでクライアントとの関係を作って、まずはクリエイティブのチームと一緒に、ブランドがどのようなミッションを持っているのかを理解していく必要があります。

音楽を決めるときは、まずブリーフ(映像作品のアウトライン説明)を受けます。それで概念、アイディアを出しディスカッションをして、色々なソースにたどり着くわけです。作曲家と音楽制作会社、それからライセンスが必要な場合は大きな別々のソースが必要となります。

我々はレーベルや出版社との強固な関係があり、大きな機会を提供している上に、レーベルやパブリッシャーに相当な額の使用料をお支払いしています。

マーク:ではジョシュア、コカ・コーラのライセンスについて、音楽を使うときに日本と海外で違いはあるのですか?

ジョシュア・バーク(以下 ジョシュア):プロセス的には非常に似ていますが、我々は代理店を使うのではなく、社内にミュージックチームがあります。コカ・コーラは大きな企業ですから、グローバルなマーケティングキャンペーンもあります。

グローバルなキャンペーンで決まった1曲がある場合、日本に対する音楽のソーシングについては、ライセンスの調整をして独自のバージョンで曲を使ったりします。

さらに、日本や他の国も、グローバルキャンペーンとは別で各国でキャンペーンを行っており、クリエイティブやライセンシングはローカルでかなり発生しています。

当然ながらコカ・コーラのキャンペーンをする際、全体的なミッションがあって、それとともにその国のマーケット、トレンド、文化を理解している人が必要になります。

私たちは正確な情報をもって、それぞれのマーケットの独自性を尊重しなければいけません。音楽が全て通用するかというとそうではないので、ローカルのレーベルやパブリッシャーとコラボすることもあります。
 

 

トヨタ「カムリ」CM曲は7ヶ月かけて選考

 

マーク:では次にクリステン、例えば使用する曲が見つかった場合、意思決定はどのように行われるのでしょうか?

クリステン・ホサック(以下 クリステン):プロセスはキャンペーンによって違います。非常に客観的なものになりますから、チームでまず話して共通の理解を得ます。それが重要な部分になります。クライアントが何を欲しているのか、そしてそれらを新しい発想で考えていきます。

マーク:例えばトヨタのキャンペーンの場合、一貫した音楽のテーマや概念があるのでしょうか。それともコマーシャルの内容によって変わっていくのでしょうか。

クリステン:私は北米のトヨタで様々な音楽を扱っていますが、トヨタは25車種があり、それぞれのミニブランドもあって、車の発売のキャンペーンはブランドのキャンペーンとまた違いますし、それに伴い音楽のニーズも全く違います。ほとんどのキャンペーンの中で音楽は非常に重要な役割を果たします。

マーク:音楽のアイディアはプロセスの最初に出てくるのですか? それとも後から入れるのでしょうか。

クリステン:私たちは最初ブリーフから入ります。スクリプトを私から提供してピッチもします。重要なのはチームをプッシュしていくことです。それによって全体像が全く変わってきますから。音楽を早く考え始めることで、メッセージが非常に効率的に届けることができます。

例えばトヨタの例で考えてみましょう。最近の新しい例で2018年の新型カムリのキャンペーンです。私たちのスポットは非常にセンセーショナルなものでした。“スリル”がテーマになっている作品で、力強いヘビーサウンドを使うことで、スリルを表現しました。
 

 


マーク:非常にかっこいい広告ですね。どれくらいの時間をかけて音楽が決まったのでしょうか。

クリステン:このキャンペーンでは、様々な曲を検討し7ヶ月をかけました。スポットに対して何百曲試してみて、トラックとしてクリーンなもの、また文化的に許容できるものを選びました。プロセスに時間をかけたことで素晴らしい音楽ができました。

マーク:一つ皆様にアドバイスしたいのは、このような広告の仕事をする際には必ずインストバージョンやこの業界で「ステム」と呼ぶパート別トラックを用意することです。

 

ビッグアーティストとローカルな新人を組み合わせて起用する
 

 

マーク:ではジョシュにも伺っていきましょう。多くのブランドは音楽を決定するときに、まず広告代理店にコンタクトを取るわけですよね。

ジョシュ:そうです。通常は広告代理店がビジネスとしてキャンペーンのコンセプトを出します。多くの場合は音楽も提案内容と同様に提示しますね。例えばQueenの曲を使いたいといったら、既に使用されているから他の曲にしようと提案するわけです。

ただ、我々は可能な限り、様々なタレントとの組み合わせも考えていきます。

ジョシュア:以前ジョシュとも話していたのですが、キャンペーンとしては様々なイベントがあって、例えばスプライトやコカ・コーラのコマーシャルでは、広告クリエイターが音楽を作曲することもあります。

多くの人たちはこのブランドにとっては素晴らしい曲だと思うかもしれませんが、実際にそのアーティストを知らなければ誰の曲かということは簡単に提案できません。

ですから戦略としてアーティストにアプローチするときに、ビックなアーティストとマイナーなアーティストを組み合わせて考えていきます。

私たちとしてもできるだけ新しいタレントを取り入れていきたいと思っているので、例えば日本という特定の地域であったら、国際的なスーパースターではなく、日本の新しいタレント、新しい音楽を世界に紹介していきたいと思います。

代理店やレーベル、出版社などを通して、そういったタレントとパートナーを組み、ベストな音楽を届けたいですね。

ジョシュ:基本的にはブランド戦略、特に音楽に関してはクリエイティブと広告代理店と共同で進めて、その広告のための音楽がどのようにローカルでうまく機能するかを見ていきます。

そして時に映像設定とそれに合わせたい音楽のイメージ、所謂「ブリーフ」よりも重要なものだと思います。例えば言葉や文字で説明するよりも音楽を聞いてもらったほうがずっとわかりやすいです。

ですから、どのような感情や反応を音楽で起こしたいのかを考えます。同時にスクリプトとして生活とどのように関連付けるか、人にとって重要と感じられる形で伝えていきます。

マーク:そうですね。曲からイメージを伝えることはとても重要です。

ジョシュア:ジョシュが言ったような利点は実際にあると思います。ただ、何も情報がなくて誰が作ったのかもわからないということもよくありますから、ビジネスでどういったものが必要なのか、どの分野なのか、といったことも含めて様々なことを考えていかないといけません。

 

コカ・コーラ「Taste the Feeling」バージョン違いで国の文化やキャンペーンのストーリーを表現
 

 

マーク:それでは実際にいくつかの広告を見て見ましょう。

ジョシュア:1つは昨年夏のオリンピックのもので、もう1つは今年の夏のキャンペーンのものです。

このキャンペーンで使用されているのは、「Taste the Feeling」という曲ですが、おそらく私は地球上でもっともこの曲を聴いた人間です(笑)。

私はこの曲に様々なシチュエーションを合わせて、キャンペーンの戦略として全てにこれを使っていきます。それを冷たいコカ・コーラの映像と組み合わせてリフレッシュメントといったブランドのイメージを伝えていきます。
 

 


マーク:キャンペーンについて話していただけますか。

ジョシュア:この音楽には才能豊かなポルトガルのシンガーを起用しました。この広告によってタレントの認知度も上がっていきます。キャンペーンにおいて60秒の広告と短縮版もありますし、日本ではシングルも発売されました。

常にこの辺については話しているのですが、ブランドにとって、また広告にとっても一度きりのイベントにしないということは非常に重要です。キャンペーンとしてソーシャルメディアなど、適切な形でアーティストを巻き込んでいかなくてはいけません。

環境と音楽を活用することで消費者へ真実のメッセージを共有していく。それによって60秒のコマーシャル以上の影響を与えることができます。

今後は様々なチャンスが生まれてくると思います。例えばアダプティブミュージックです。これはプログラマティックマーケティングに関連した考え方で、同じ広告であっても個人の嗜好やシーンによって違った音楽を流すなど、一つの広告に関しても複数の曲の活用が可能となるからです。

テクノロジーと組み合わせていくことで音楽業界によっても新たなチャンスとなります。将来的にはローカル市場においても大きなチャンスとなるでしょう。

マーク:それでは次に二番目の広告を見てみましょうか。

ジョシュア:こちらのバージョンはリオオリンピック向けのスポット広告で去年使ったものです。そして今日の議題に非常にマッチしているので持って来ました。

こちらはキャンペーンにより寄り添ったもので、やはりブランドの価値をストーリーの中心に持ってくることを考えながら作ったスポット広告です。同じ歌を歌っているのですが、バージョンは違います。雰囲気が違うと思うのでぜひご覧ください。

 

 

 


ジョシュア:スタンダードですが象徴的な広告です。日本でも2020年にオリンピックを控えていていますが、日本の文化的要素につながるような曲が選ばれ、それがグローバルキャンペーンのメインの曲になると思います。

もちろんローカルのアーティストが起用されますし、そうすることで、日本文化のイメージや雰囲気を世界に発信することができるので重要だと思います。

 

ローカルなアーティストを起用したP&Gのオリンピックキャンペーン
 

 

マーク:オリンピックのキャンペーンで音楽がどのように母国を反映していくかについては、みなさん興味あることだと思います。その前に、ジョシュの作品をいくつか紹介したいと思うのですが、やはりジョシュのチームでも、音楽は最初に検討するのでしょうか。

ジョシュ:私は20年ほどこの作業に関わっていますが、皆さん初期段階で検討していますね。その傾向は強くなっていて、より早く考えるようになっていると言えます。

クライアントと戦略会議をするのですが、20年前は音楽のことなど誰もこだわっていませんでした。しかし今、音楽は極めて重要になっています。音楽のプロデューサーやスーパーバイザーに影響を受けているのかもしれませんが、実際に成功を収めた例を見ても、やはり音楽が重要だとわかっています。

マーク:例えば世界に音楽を届ける方法の一つが、みなさんが関わっている広告ですが、広告ほど音楽を広く届けられる媒体はないのではないでしょうか。

ジョシュ:そうですね、私も他の方も一緒だと思いますが、ブランドと文化と共鳴しブレークスルーしたいという思いがあります。広告によって音楽がヒットする可能性は大いにありますし、それは非常に重要な点で、私たちのモチベーションにもなっています。もちろんいい広告を作りたいという思いもありますが、みなさんにいい音楽を届けたい、発見してほしいということなのです。

マーク:代理店ではどのようなアーティストや音楽を起用したいと考えているのでしょうか。例えば新しいアーティストを使いたいとか、もしくは有名なアーティストを使いたいとか。

ジョシュ:クリエイティブによります。これはこのあと紹介するCMの話にも繋がっていくのですが、リオオリンピック向けのジレットの広告をP&Gと一緒に検討する中で、グローバルキャンペーンの音楽はローカルなタレントを使っていきたいという要求がありました。

ですから2020年のオリンピックに関しましても、日本のタレントを使っていくことになると思います。この広告では、ブラジルのOlodum(オロドゥン)というブラジルで有名な文化団体でもあるバンドを起用しました。

そして楽曲には、シーアが制作していた「アンストッパブル」という曲を使用したのですが、オリジナルのリミックストラックを作ってもらって、それを他のアーティストでも使いたいと思っていたのですが、結果的には「これでいこう」ということになりました。文化に浸透するようなものを、ヒットを追いかけて作ったことが大きな成功に繋がったと思います。
 

 


マーク:素晴らしい映像ですね。しかし音楽がなかったら全く違いますよね。

ジョシュ:音楽も大事ですが映像もセンセーショナルでなくてはなりません。私は最初にこれを観たとき、「これを作ったディレクターは誰だろう」と思ったのですね。非常にクオリティが高くて素晴らしい作品です。

 

ブランド、アーティスト、全てにとって貴重な機会となる東京オリンピック
 

 

マーク:オリンピック向けの広告についてお聞きしたいのですが、2020年のキャンペーンについて、どのように考え始めるのでしょうか。

クリステン:私たちはすでに1年くらい前から始めています。アテネでプレスカンファレンスが始まり、同時にキャンペーンもスタートしました。ウェブサイトにも様々なコンテンツを出し始めていますが、これは2020年だけでなく、その後でも使えるコンテンツになります。そして11月には、2020年のトヨタの日本でのパートナーシップが始まります。

もちろんグローバルでは北米だけではなく、様々な国でスポットを制作しているわけですが、コンテンツによって起用する音楽は違います。

例えば、オスカーをとっているような作曲家、それからローカルのアーティスト、ライセンスのある音楽の扱いですとか、非常にワクワクしながら仕事をしています。これはクリエイティブ、アーティストの方も同じかと思います。

マーク:日本はトヨタの母国なので、2020年オリンピックのグローバルキャンペーンは、トヨタにとってはより重要なキャンペーンになりますね。

クリステン:非常に誇り高い瞬間になると思います。昨日もトヨタの方とお会いしたのですが、日本にとっても非常に大きな機会になると思います。

マーク:ジョシュアはいかがですか?

ジョシュア:オリンピックのようなグローバルなキャンペーンは、非常に特別な機会になります。ブランドだけではなくてミュージシャン、アーティストにとっても同様です。曲やキャンペーンに参加することによってさらに知名度を上げていく。これは素晴らしいことだと思います。

みなさんも子供の頃オリンピックを観ていましたよね。それが他国の文化に触れた最初の経験ではないでしょうか。日本の音楽の産業、そして日本のアーティストが世界に出ていく貴重な機会ですよね。

ジョシュ:私も非常にワクワクしています。オリンピックのキャンペーンについて、すでにいくつかのエージェンシーと話をしていまして、特にP&Gはグローバルキャンペーンを必ず打ってきます。それからいくつかのブランドでも予定されています。今はアイディアを出している段階です。

ジレットでは日本の音楽も是非使っていきたいと思いますので、シナリオとしてプッシュしていきたいと思います。

多くの場合は伝統的な日本の音楽が多かったですが、ラッパーをライセンシングしようとしたこともありますし、非常にみなさんオープンでいろんな音楽を使いたいと思っていますから、日本の方達にも大きな機会になるかと思います。

 

日本のJ-POP・ロックがグローバルキャンペーンに起用されるには
 

 

マーク:日本の音楽をライセンスするとき、例えば「SUKIYAKI」(上を向いて歩こう)であったり、伝統音楽ではなくて、J-POPやロックなど、色々なレンジの音楽が日本にありますよね。そのような近代の音楽はどれくらい使われているのでしょうか。

ジョシュア:成功している広告の例では、伝統音楽のようなものが使われていますが、最近の音楽が起用される可能性は非常にあると思います。

ここで重要なのは、どのようにしてアクセスをしていくのかで、正しい方法でこれを進めなければいけません。ですから我々が日本の音楽のアンバサダー、大使になっていきたいと思います。

まずはコネクションポイントを増やします。ブランドがあって、アーティストやイベントのパートナーシップがあって、製品を売っていくわけですから、そこで音楽業界との関わり、コミュニケーションをサポートする。最終的に、音楽をいろんなソースから持ってきて提案する。それが私たちの役割でもあります。

日本の音楽をサポートするためにはクリエイティブなアイディアが必要です。2020年オリンピック向けの広告については、日本チームが東京にいるのでそのチームが担当します。

マーク:ありがとうございます。クリステン、グローバルキャンペーンについて、電通とのパートナーがあると思うのですが、音楽的にはいかがですか。日本の音楽を色々聞いているのでしょうか。

クリステン:クリエイティブチームの中にはそういう人もいますね。例えばトヨタは全体のブランドにフォーカスした非常に大きな機会になります。私の役割は日本だけではなく世界中から音楽を探すことです。まだ新しいアーティストを知るというリソースが足りておりません。

間接的にいろんな音楽は得ることはできるのですが、グローバルのオーディエンスに訴えかけられるようなアーティストでなければなりません。ですから、ニッチなアーティストもグローバルキャンペーンのフィルターにかけることになります。

ある時点から日本のアーティストはブランドをイメージしたオリジナルの楽曲を書いていくことになります。新しいトラックを作って、たくさんのオーディエンスに訴えかけるということですね。多分それが重要な部分になります。

 

本物だけが消費者に受け入れられる
 

 
SyncSummit@TIMM 2017: 音楽、企業ブランドと2020年東京オリンピック



マーク:グローバルな感覚を持って聞かなければいけないですよね。ジョシュは日本の音楽をソーシングすることから意思決定までのプロセスはどのように考えていますか。

ジョシュ:2020年は東京オリンピックですから、通常よりも日本の音楽をソーシングする努力をするのではないでしょうか。その中で最も重要なのは文化に関連性のあるクリエイティブを作っていくことです。

これは素晴らしい機会であり、チャレンジでもあります。ですからあまり広告っぽいものではなく、本当に伝わるものにしていきたいと思います。また、文化を反映するためには音楽もしっかりと選んでいかなくてはなりません。

最終的には商品の販売につなげなければいけないわけです。消費者にプロモーションする際、ライフスタイルに合った、彼らが関連性を見出すものでなくてはなりません。そうでなければ、非常に効果的な広告であったとしても消費者は不満を感じたりします。

たとえばジングルは日本の文化ではないので、日本の曲のライセンスを得て、うまく組み合わせていく。広告でもそれをコピーと組み合わせて、ライフスタイルに関連したものを伝えていくことが必要です。ただ、このブランドと文化の間では常にバランスをとるように努めなければなりません。

ジョシュア:ジョシュが言っていたように、ブランドイメージをどのように維持していくかということもあるかと思います。例えばコカ・コーラでは、ストーリーの中核となるような商品があって、ただ単に商品を強調するのではなく、テーマはなんなのか、コンセプトを最もサポートする音楽はなにか、そのように考えます。

つまり、本物かどうかがオリンピックのキャンペーンにおいて大変重要な要素ということです。関わっている全ての人たちにとって大きなチャンスとなるでしょうし、チャンスをつかむためにも本物を提供してかなくてはなりません。

 

必要とされているのはブランドのアンバサダーになれるアーティスト
 

 

マーク:私からの最後の質問です。オリンピックのキャンペーンではどのような方法でアーティストを探すのですか。ジョシュお願いします。

ジョシュ:まずはブランドとの結びつきを感じたいと思います。ただ単にお金だけではなくて感情的な繋がりを重要視する人も多いと思います。それは普段から商品についてツイートしたり、ソーシャルメディアに写真をあげたりですとか、自ら発信したいという気持ちです。

例えば、契約の中でブランドについて発信していくことは重要になってきます。これは特に現代のプロセスとして重視されるユニークな点でしょう。P&Gの観点からいうと、ただ単に広告に音楽を使うというわけではなくて、アーティストやレーベルに対してブランドアンバサダーとして活動してもらうということも考えています。

P&Gではリアーナの曲「Umbrella」を使っています。P&GのCMにもリアーナは使われましたし、ブランドにとっても彼女にとっても素晴らしいことです。曲自体はそれだけでビッグヒットでしたが、ブランドにとってもポジティブなものになりました。そういったことをアーティストおよびブランドとともに進めていきたいと考えております。

アメリカのレーベルや出版社はシンクビジネスに重きを置いています。特に出版社はそうです。そういったことが今起こっています。ですから音楽業界の方々も、彼らにとっても利益、相手にとっても利益となることを考えていきたいと思います。

組み合わせをベストにしないといけないということが重要です。つまりクリエイティブ的に必要な音楽は何か。アーティストにとってどんな影響があるのか。さらにどうアーティスト使っていくのか、またアーティストも一緒に何かできるのかとワクワクしてほしいと思います。

ジョシュア:そうですね、もちろんアーティストにとっても、私たちにとってもお互いの利益にならなければいけません。最初アーティストと関わる場合は、例えば「コカ・コーラ好きですか?」といったことを聞きます。もちろん「大好きでよく飲んでいます」と言ってくれることはわかっていますが、聞くことが重要だと思います。

やはり今は消費者がメディアの役割も担っていると思うのですね。今まではテレビから一方的に発信されていましたが、今後自分から関わっていくことが重要だと思いますので、メディアも変わっていくと思います。本物かどうかが重要で、本物だと信じるからこそ消費者は自分で広げていくわけです。

クリステン:その“本物かどうか”はアーティストにとっても、ブランドにとっても非常に重要です。アーティストはクリーンなイメージがないとダメなのですよね。

オンラインでやっていて、例えば逮捕されたとかそういったアーティストは避けたいと思います。ですからブランドを育てると同時にアーティストを育てる、この両方ができたらと思います。

ブランドイメージがアーティストに合っていないといけないと思います。歌だけではありません。いろいろな要素がありますよね。オリンピックになるとそういったことがより重要だと思います。

 

出版社やレーベルに所属していないアーティストは、音楽担当者にどうアプローチすべき?
 

 

---質問---

Q1:
日本には出版社やレーベルに所属していないアーティストもいます。そういう無所属のアーティストはどうしたらみなさんに見つけてもらえるのでしょうか。

クリステン:例えば、音楽やCMなどのサンプルを送ってもらうってこともあります。シンプルなコミュニケーションなのですが、私たちに情報を届けてもらってレビューするのが第一だと思います。アーティストや出版社からもらうメールは必ず全部読みます。すぐ返答できないこともありますが、必ず全部見ます。発見されていないアーティストは貴重で、自分が発見したということも重要ですので、色々目を通したいと思います。

マーク:メールに全部目を通しているのは非常にいいことだと思います。

ジョシュア:正直に言いますと、例えばテレビのキャンペーンの一環としてアーティストを使う場合、本当にくじのようなもので、確率が非常に低いです。タレントとして能力があって、かつそのくじ引きに勝たないといけない。タイミングもありますので、出版社や旬なレーベル、ローカルなマーケットに自分たちから出向いて、チャネルを使って色々発掘しようとします。ですので、そのチャネルを持っているということが重要だと思います。

ジョシュ:トーマス・ニューマンやジョン・ニューマンといった、映像に合わせた音楽をカスタムして成功しているような人たちと同じようにやるべきだと思います。昔はジングルハウス、今はミュージックハウスと言っているのですが、50%以上広告の音楽はオリジナルの音楽で広告のために作られていると思います。

ですので、作曲家の方に対しては、素晴らしい音楽を作曲しているのはどのような音楽会社なのか、是非リサーチしてほしいと思います。Googleでも音楽に触れることでも簡単だと思います。自分の音楽を共有して、フリーランスという形で関わることもできると思います。

マーク:音楽をみなさんに繋げるにはどうしたらいいですか?

ジョシュア:ジョシュが言ったように、ほとんどはオリジナルが多いです。今は制作会社とパートナーシップを組んでそういったことをやっております。ブリーフを元に作ってもらうといこともあるのですが、音楽の制作会社はブリーフの内容に沿って作ってくれます。その音楽制作会社は作曲家に連絡をして、チームでそれを聞いて、選定して、方向性が決まったりします。

非常に重要なのは、作曲家、ミュージシャンとして関係性を築いておくことです。正直言いまして私たちは個人と仕事するのは難しいのです。ですから業界に既にいるところと関係を持つことをお勧めします。

色々なところに関係者はいます。日本にもたくさんいると思いますので、是非つながりを持ってください。あと新しいタレントは絶えず探されていると思います。パートナーシップを組む可能性はいくらでもあると思います。フレッシュな作曲家、フレッシュなタレントを求めているはずです。

マーク:ジョシュさんどうですか。

ジョシュ:例えば広告にマッチしている音楽があると、私たちは代理店に電話します。ですから業界に繋がりがあるのであれば、代理店経由で自分の音楽を届けることはできるのではないでしょうか。

ミュージックライブラリーもあるので、それは非常にいいアイディアだと思います。私の会社でも年に500くらい広告をやると思うのですが、もちろん大きな映画とか主要な放送番組で使われないものもありますが、小さなバナーとかはライブラリーから曲を使用する場合もあります。

マーク:ありがとうございます。私は日本の音楽のエージェントとしても仕事をしています。既に楽曲があるなら是非私に聞かせてください。私がお手伝いをして、皆さんと彼らのような音楽担当者を繋げていきたいと思います。では、本日はご静聴ありがとうございました。

 

SyncSummit@TIMM 2017: 音楽、企業ブランドと2020年東京オリンピック