【14th TIMM】「中南米からの熱い視線」~地域ごとの具体例からみる、中南米での日本の音楽の需要~

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2017/11/15 (水) - 19:00
【14th TIMM】「中南米からの熱い視線」
▲左から YAZ NOYA-COLLINS氏、近沢隆氏、富樫真未氏

 

第14回 東京国際ミュージック・マーケット(14th TIMM)ビジネスセミナー

<スピーカー>
YAZ NOYA-COLLINS 氏(LYNKS INTERNATIONAL社長) 
近沢 隆 氏(CEO of Yamato Corporation) 
富樫 真未 氏(Ninshi S. de R.L. de C.V.) (※)
※メキシコ地震の影響で棚町健二氏からスピーカー変更

 

ブラジル、ペルー、アルゼンチンで主にプロモートを展開しているYamato Corporationの近沢隆氏、メキシコで展開しているNinshi S. de R.L. de C.V.の富樫真未氏を招き、LYNKS INTERNATIONALのYAZ NOYA-COLLINS氏を進行役に、中南米での日本の音楽の需要に関し、規模、実施基盤、地域によってのポップやロック以外のニーズも紹介。手順、地域による導入方法、実際のコンサート事例から、どのようなアーティストが望まれるか、メリット、デメリットまで話し合われた。

 


今も高いアニメソングへの注目度

 

YAZ NOYA-COLLINS(以下 YAZ):私はカリフォルニア州ロサンゼルスで、海外に日本のアーティストを紹介したり、コンサートの制作をワールドワイドにやらせていただいています。今回のテーマになっている南米は、皆さんにとってまだまだ未知の世界だと思います。私が一番最初に南米へ行ったのはX JAPANのコンサートツアーだったんですが、そこで感じたのは「南米には確実にマーケットがある」ということでした。私はここにいらっしゃるYamatoの近沢さん、Ninshiの、今回は来られなかった(棚町)健二さん、それからたくさんのプロモーターの方々と、南米で日本の音楽のマーケットを作るために一緒に活動させていただいています。

 

近沢隆(以下 近沢):Yamato Corporationは、2003年から日本文化に焦点を当てたイベントをブラジルで行うようになりました。そのイベントは「アニメフレンズ」と言いまして、日本からアニメソングのシンガーの皆さんを招聘して、現地でプレゼンを行っていただくイベントです。そしてアニソンからJ-POP、J-ROCK、ヴィジュアル系など扱うジャンルも段々拡がってきています。

 

私たちはブラジル中でプロモーションを行っていまして、主にインターネットを介してプロモートをしていますが、ブラジル16州の州都において、これまでアニメのイベントを行ってきました。その後チリ、アルゼンチン、ペルーでもイベント、コンベンション、それからソロライブをプロモートしてきました。

 

ラテンアメリカと申しましても非常に広い地域です。その中でも特にブラジルは非常に広い国で、どの州、どの場所でどのようなアーティストに人気が集まるのかを、私たちなりに調査をしています。例えば、どんなバンドを招聘したらラテンアメリカツアーができるだろうか、そしてそれによって日本文化をどのように広めていくことができるだろうかと考えています。

 

各地で人気があるジャンルは異なりまして、例えば、チリではメタル音楽が非常に人気です。アルゼンチンではアニメソング、ぺルーではJ-POP、J-ROCKの人気があります。またブラジルは国土が広いので、さまざまな分野にファンがいる状態になっています。最近、ブラジルでは演歌のファンも多いです。そして先ほど申し上げたイベント「アニメフレンズ」は15年間開催しているんですが、今年で一区切りとしまして、来年はブラジルへの日本移民が110周年を迎えますので、改めて日本文化に焦点を当てた新しいイベントを始めていこうと考えています。

 

富樫真未(以下 富樫): Ninshiは2010年にメキシコで設立されました。最初は語学学校の運営をしていましたが、その後コンサートの企画・運営を始めました。Ninshiはコンサートを通じてアジア文化をメキシコに広く伝えること、そしてコンサートに関わる人全員、ファンやスタッフ、アーティストさんに素晴らしい経験をして頂くことを目的にプロモートをしています。

 

YAZ:近沢さん、富樫さんはこれまでどのようなアーティストを招聘されてきたのか、どのくらいのキャパシティでコンサートをやっていらっしゃるのでしょうか? 

 

近沢:私どもがブラジルで実際にプロモートをしている主要なアーティストとしてはX JAPAN、the GazettE、GENERATIONSがいますが、全部で60のバンド、アーティストを招聘しています。先ほどYAZさんがおっしゃったX JAPANが最初に単独ライブをやったときは非常に大変だったんですが、年々大変さは薄れていって、今では日本文化を音楽の面から持っていけるような雰囲気ができているんじゃないかと思います。

 

長年アニメソングのシンガーの皆さんをお呼びして、イベントでライブを行ってきましたが、その中でもJAM Projectさんとの仕事はとても印象的でしたし、堀内孝雄さんをお呼びしたときも、J-ROCKとは全く違う世界が展開したという意味で強く印象に残っています。また、最近はアイドルの方をお呼びしてイベントを行うことも増えてきまして、新しい経験を積ませていただいています。

 

富樫:メキシコにも色々なアーティストが来ているんですが、今までで一番規模が大きかったのは、ペプシ・センターでやったVAMPSさんで、約8,000人が来場しました。今、メキシコでは日本ブームが来ていますし、メキシコにもVAMPSさんのファンが8,000人以上いるんです。

 

YAZ:近沢さんは今まで「アニメフレンズ」というアニメコンベンションをずっとやられていて、その中でアーティストを招聘してコンサートをされている場合と、単独でコンサートをされる2つのやり方があると思うんですが、単独でされる場合で一番収容人数が大きかったのはどのくらいでしたか? 

 

近沢:単独ですとやはり一番大きかったのはX JAPANで、収容人数は4,500人。それに次ぐのがthe GazettEで3,500人です。「アニメフレンズ」内で行われたコンサートで一番大きかったのはJAM Projectで、次がFLOW、それからASIAN KUNG-FU GENERATION、そしてアニメソングのライブですと、影山ヒロノブさんと串田アキラさんが観客を集めました。

 

YAZ:やはりアニメのテーマソングを歌っているアーティストは、南米でも注目度が高いんでしょうか?

 

近沢:そうですね。その傾向は今でも続いています。以前はテレビでアニメの放映があると、オープニングテーマ、エンディングテーマは日本語のオリジナルを使っていたんですが、しばらく前からブラジルの歌手がブラジル語で歌うものにローカライズするようになってきているんです。しかし、それでもファンの人たちはインターネットで「日本語でオリジナルを歌っていた歌手は誰なんだ?」と探して、ファン同士で盛り上がっていたりして、やはりアニメのテーマソングというのはファンの注目を集めていることがよく分かります。

 

YAZ:メキシコはいかがでしょう?

 

富樫:ブラジルと同じように、以前はメキシコでも『ドラゴンボール』や色々なアニメが放送されていて、エンディングテーマもオープニングテーマも日本語なんですが、意味が分からなくても日本語で歌うということがよくありました。今は日本の漫画が出たらすぐにスペイン語で訳されて出ているので、ブラジルと近い環境になっています。

 

YAZ:今、南米でどのくらいアニメコンベンションが開催されているんでしょうか? 

 

近沢:ブラジルについて申し上げると、アニメ関連のコンベンションはたくさん行われています。大規模なもので4つ、あとは小さい規模のイベントですが、日本文化を広げていくパワーは非常に大きなものがあると感じています。アルゼンチンとチリですとブラジルよりは数は少なく、さらに規模も小さいですが、イベントがあまりたくさん行われていないという希少性が、かえってたくさんの人を集める結果になっていて、ブラジルの大きな規模のイベントと同じくらいの波及力があると感じています。

 

YAZ:先ほど近沢さんからもお話がありましたが、今年の12月から「アニメフレンズ」の主催者が変わりまして、12月に「アニメフレンズ・レセカ(Ressaca)」、7月に「アニメフレンズ」とレシフェで行われる「スーパーコン(Super-Con)」、それからフォルタレザの「サナ(Sana)」、大きなところはこの4つですね。そして、その他に小さいイベントが50くらいでしょうか。

 

近沢:アマゾンでも1年に2回だけイベントがあります。今、2回だけと言いましたが、そのうちの1つには15,000人くらい集まりますのですごく大きいです。リオデジャネイロですと毎週アニメコンベンションがあって毎回1,000人とか800人とか集まるんです。

 

YAZ:メキシコの事情はどうでしょうか?

 

富樫:メキシコでは「コミコン」というのがすごく有名になっているんですが、これはメキシコ人だけのイベントになってしまうんですね、例えば、声優だとメキシコでやっている声優さんとかになっちゃうんです。でもその他に「J'Fest」といって、お祭りみたいなイベントがあって、その中に日本のアーティストさんがたまに来たりします。

 


地域ごとにどういったアーティストが受け入れられるのか把握する

 

 
【14th TIMM】「中南米からの熱い視線」
▲セミナーの様子

 

YAZ:最近はJ-POP、J-ROCKも人気だというお話がありましたが、なぜこれらのジャンルも人気になったのでしょうか? 

 

近沢:最初、ブラジルではアニソンシンガーに対する要望が大きくて、アニソンシンガーの招聘から始まり、6、7年の間はアニソンシンガーのライブがすごく盛況でした。その後、ファンの人たちから「シンガーだけでなくバンドも呼んでくれ」という声がありまして、アニメのオープニング、それからエンディングを歌うバンドを招聘するようになりました。そうするとそのバンドがアニソンだけではなくて、他の曲もライブでやるので、そういったきっかけからJ-POP、J-ROCKのファンが増えたと思います。

 

先ほど「ブラジルで演歌」と話しましたが、実はペルーでも今、演歌は非常に人気が出ていて、なぜかというと、堀内孝雄さんや五木ひろしさん、坂本冬美さんが招聘されて何度もソロコンサートをやっているからなんです。それでファンが増えてきたと。ブラジル、ラテンアメリカに関しては日系移民の県人会というのがあります。その県ごとに文化協会があり、そういったところを通じて演歌やアイドルのプロモーションが始まっています。

 

YAZ:ブラジルは日系人の人口の多いところなんですね。これは、移民した方たちが、皆さんそこに根付いていらっしゃって、毎週のようにカラオケ大会が行われています。ペルーに関しては実は日秘会館というのもありまして、かなり日本人のお年を召した方、高年齢の方たちのためのコンサートが行われています。それから「アエル」という日本人青年会がやっているお祭りがあって、15,000人くらい集まるんですよね。こういった催しに招待されているアーティストたちもたくさんいて、そういうところから演歌やJ-POPが広がっていっているように思います。メキシコはどうでしょう? 

 

富樫:メキシコでは演歌とかではなくて、J-ROCKが一番売れると思います。やはりアニメが大人気なので主題歌をやっている人たちや、アイドルグループもすごく売れています。

 

近沢:YAZさんがおっしゃったように、ブラジルではカラオケ文化というのが非常に古くから定着していて、恐らく日本文化のブームの中でも一番古いものではないかと思いますが、先ほど申し上げたように移民の110周年というのがもうすぐ来るわけです。

 

私たちは“じっちゃん”“ばっちゃん”と呼んでいますが、日系人のご高齢の方々は体力的に日本には帰れない、でも、好きな演歌歌手を生で見たいなという方はたくさんいらして、そういう方々に演歌のリサイタルの招待をすると、本当に涙を流して喜んでいただけます。ですから演歌であるとか、そういった方々が観たいと思われているアーティストをブラジルにどんどん招聘できるように、お力添えをいただきたいと思います。本当に日系人の高齢者の市場というのは大きいという風に私は感じています。

 

そしてJ-POP、J-ROCKのアーティストそれからバンドの皆さんについて、私どもの方は現地のファンに直接「どんなバンドを呼びたい? 呼んだらいい?」と調査しているんですが、「このバンドがいいよ」と聞いてコンタクトをしようとすると、スケジュールが一杯でもう駄目ということが随分あります。ラテンアメリカは遠いですので、行き帰りに非常に時間がかかりますから、スケジュールを空けていただいてブッキングするのはなかなか難しいと感じています。

 

YAZ:とにかく南米は日本と真反対の地域で、12時間の時差もあります。日本から最短で26時間、直行便はないので、「ちょっと南米へ行ってきてください」というのは難しいです。そこで「南米でコンサートやツアーを行いましょう」と言ったときに、どういう方法があるんでしょうか? また、将来、アーティストを南米でどういう風に展開していったらいいのか? お伺いできればと思います。

 

近沢:プロモーターの立場として言わせていただくと、すべての国に同じようにファンがついているアーティストを探すのは難しいんですね。というわけで、一つのところでブッキングをして、ライブを行っても、他所でまたブッキングをしていくのが非常に難しいんです。例えば、日本ではすごく人気があるアーティストさんでも、ラテンアメリカに行くとそうでもないとか、逆に日本でほとんど知られていないのに、ラテンアメリカではものすごく人気があるというケースもあります。

 

YAZ:そんな状況の中でYamatoさんは南米のエージェントのような形になって、どの地域で人気があるのかを把握し、南米の色々な国でコンサートをブッキングする試みをされていますよね。

 

近沢:はい。まずブラジル国内では、日本のアーティストを招聘して、地域ごとにプロモートができる、その可能性を持った地域ごとのプロモーター25社から30社くらい集めて会議をやっています。その会議の中で、特定の地域、都市ではどういうアーティストがいいのか議論もしています。それからブラジルの国内ですと、Skypeを利用して、地元のプロモーターさんと議論して、どういったアーティストがいいのか把握するように努めています。

 

つまり、私どもはプロモーションを全体的に見ていくことを考えています。例えば、ブラジルではまだほとんどファンがついてないバンドを招聘したい場合、6カ月から1年くらい前から、主にインターネットで集中的なプロモーションを行って、実際にライブの期日が来たときには満場のお客さんを迎えられるという形に持っていけるようにしています。

 


国ごとのコンサート文化を理解する〜カルネ(通関)、法律、VIPパッケージ

 

 

YAZ:先ほど地の利の話をさせていただきましたが、南米と一言で言っても、メキシコは北米と非常に近くて、ロサンゼルスからですと4時間の距離にあります。そして、メキシコから南米、例えばサンパウロに行こうとすると最低でも6時間かかります。ということで、メキシコは中南米の中米に当たる位置なんですが、アメリカでツアーをするアーティストの場合、アメリカにメキシコをくっつけてツアーをしたり、南米にメキシコをつけてツアーを行ったりします。例えば、今回のマキシマム ザ ホルモンのツアーも、前回のASIAN KUNG-FU GENERATIONのツアーも、南米とともにメキシコでもツアーを行っています。そういうツアーのルートにメキシコは利用されていますよね。

 

富樫:そうですね、メキシコってビザがいらない国なんですよ。日本からブラジルまで行くと24時間かかってしまう一方で、メキシコは直行で12時間くらいです。ですから、すぐに行けて、そこからツアーできるメリットはあると思います。

 

近沢:ツアーをオーガナイズするときに、日本からどのようにルートを取ればいいか考えると、やっぱりそういうルートをとることが多いです。日本からメキシコに入ってベネズエラ、ペルーと南下していくわけです。ペルー、チリ、アルゼンチン、そして最終的にブラジル。で、ブラジルの国内でツアーを行う。もしくはまったく逆に日本から直接ブラジルに飛んで、そのあとアルゼンチン、チリ、ペルー、ベネズエラ、メキシコと上がっていくということを考えます。というのも、ツアーの日程をキチンと組んでおかないと、移動費が非常に高価になってしまい、ツアー全体が採算の合わないものになってしまう危険性があるからです。

 

あとビザですが、日本国籍の方に対してお勧めしたいのはどの国のビザを取るにせよ、3カ月くらい前からビザ取得の準備を行っていくのがいいのかなと思います。とりわけペルーやチリは、ビザ取得についての手続きが非常に細かいですので、十分な時間をとっておくのがいいのかと思います。

 

YAZ:私も南米にはツアーで相当行っていまして、日本と欧米とこんなとこが違うぞという話を少しさせて頂きます。

 

まず、さきほどビザの話が出ましたが、メキシコは商業ビザが必要ありません。なので、コンサートで行く場合もビザを取らなくていいんですが、メキシコが大変なのは通関です。皆さん機材を持っていかれる場合、カルネの手続きが必要で、怠ると相当の税金を取られてしまう可能性があります。そういうちょっとしたことも海外の場合は気を付けなければいけません。

 

反対にブラジルにはカルネがありません。ですから何を持っていっても全然引っかからない。その代わりにブラジルのビザを取るのは結構ハードルが高くて、ブラジルに入国する方たちは観光ビザなり、必ず何らかのビザを取らなければいけない。国によってビザの種類が違ったり、先ほど近沢さんがおっしゃられたように取得に非常に時間がかかったりします。

 

やはり違う国が集まっている大陸なので、その辺をプロモーターさんたちとお話しながら、中南米に行かれる際は機材の早めの準備、それから取りまとめが大切になって来ると思います。日本のプロダクションさんがライブされるときって結構ギリギリにならないと機材が出なかったりするんですが、これは一発でアウトです。

 

それから中南米のすごく大きな違いというのにVIPパッケージがあります。それについてちょっとご説明いただこうと思います。

 

富樫:メキシコではVIPイベントというのがありまして、海外にいるファンの皆様になるべく触れ合ってもらうということで、ハイタッチをしてもらいます。普通だったら握手なんですが、そこでハグとかされたら危険な場合もあるので、安全性のためにハイタッチです。あとはサイン会や写真会があります。

 

近沢:南米の諸国も、今おっしゃったメキシコのケースと変わらないと思います。例えば、ハイタッチとかサイン会とか、そういったことを行います。VIPチケットが売れるのはなぜかというと、これを買うことによってファンはアーティストと一緒に写真が撮れるのを期待しているわけですね。これがやっぱり交渉のときにとても難しくなるんですが、そんなに時間がかかるかといったら実はそうでもなくて、200人のVIPのチケットを買ったファンに対して例えば10人ずつアーティストと一緒に集合写真を撮ると、10人、10人、10人とやって、大体10分から15分くらいで終わることがあります。

 

もう一つ言っておかなければいけないのは、ブラジルの場合は法律がありまして、学生の人、それから60歳以上の高齢者の人たちはコンサートのチケットを買うときは半額でいいという法律があります。ですからプロモーターの方でも50パーセント、すなわち定価1人分のチケットの50パーセントの金額で計算しています。また、チケットの額面が100パーセントだと非常に高いんですが、学生ではない60歳未満の人に対しても、例えば寄付のために1キロの食料を持ってくれば、50パーセントのお金でチケットを買える、というようなシステムを作ったり、色々な施策をしています。

 

YAZ:今お話しいただいたブラジルの法律なんですが、私も最初はよく分かりませんでした。チケット代を見るとやたら高くて「なんでこんな高いんだろう?」と思うんですが、その法律があるためにプロモーターさんも最初から50パーセントになるものと見越して、チケット代を高く設定しないといけない。

 

こういうルールじゃなくて「法律」がブラジルにあるので、ブラジルのチケット代は高めに設定する。そうすると、そこに当てはまらない人たちが高いお金で買わないといけないという矛盾が起きて、それだけでなく若年層向けのコンサートを開催するには、チケット代はある程度に押さえなければいけない。では、なぜVIPパッケージを出すのか。これは欧米でもまったく同じ状況ですが、VIPに特典をつけて、その代わりに高く入場料を課すためです。そのためにVIPパッケージの内容としてハイタッチがあったり、写真をアーティストと撮ったり、優先入場にサインなど、その内容によってVIPのパッケージの値段を高くして興行価値を高めるという方法が取られています。

 


現地プロモーターは強い味方になってくれる

 

 

YAZ:天候や治安、食べ物など非常にベーシックな情報についても伺いたいと思います。先日、メキシコは地震があって、皆さん心配されていると思うんですが、現地の様子はどうなんでしょうか?

 

富樫:日本で放送された地震はすごいことになっていますが、実際はそれほどでもなくて、古い建物が崩れ落ちたという感じなんですね。1985年のまったく同じ日に大地震があったんですね。それから建築の新しい法律ができたんです。その新しい法律はもっと厳しいもので、Ninshiがコンサートをやってきた会場は全て新しい法律の基準で作られた会場なので、まったくヒビも入っていません。また、その規格を満たさない会場の場合、Ninshiではコンサートに使用しません。

 

YAZ:メキシコの治安はどうですか? 結構、皆さんメキシコと聞くと、映画やドラマの印象もあるかと思いますが、悪いイメージを持っていたりもしますよね。

 

富樫:そんなに治安は悪くないです。顔に入れ墨している人とかは全然いないです(笑)。でも、夜に一人で街をぶらついたりするのは抑えた方がいいと思います。例えば、メキシコでツアー、コンサートをやるときは、私たちスタッフが飛行場に迎えに行ってホテルまでお届けしますし、コンビニに行くのにも、スタッフやセキュリティの人たちがちゃんと付いているので安全です。

 

YAZ:言語はスペイン語ですが、Ninshiのスタッフさんは日本語を喋れるんですよね。

 

富樫:そうですね。Ninshiの強みは全部のスタッフが日系人、ハーフの人とか日本人とか、アジア系の方が多いんですね、それでおもてなしの心とかも分かりますし、日本で当たり前のことをメキシコで同じようにできて、居心地の良い場を作るというのがNinshiの強みですね。だから会話の問題もないと思います。

 

YAZ:南米の風土・治安などはいかがでしょうか?

 

近沢:まず、天候についてですが、ブラジルは広いですから、例えばリオグランデ・ド・ノルテ、一番北のところに行きますと平均気温が35度になりますけれども、同じ日にリオグランデ・ド・スルという一番南の州に行くと気温が10度から12度ということがありますし、同じ1日の中で気温がずいぶん変化することがあります。そして治安についてですが、メキシコ、それから他のラテンアメリカ諸国とも同じだと思うんですがやっぱり油断をしたその瞬間にやられます。

 

私も夜の一人歩きはなさらない方がいいかなと思いますが、例えば、日本からアーティストをお迎えするということになると、私どもプロモーター側は100パーセント安全で居心地のいい滞在を可能にするようなサービスをしております。日本語であれば日本語、英語の方であれば英語、全部通じるようにスタッフを配置しますし、どこへ行くにもお1人では行かせないよう必ず通訳と警備を1人つかせます。

 

YAZ:油断大敵ということで、これは南米だけじゃなくて、アメリカ、欧米も同じで、パリでスリにあった方とかもたくさんいますし、まず日本人によくある荷物を置いたまんまどっかに行ってしまわないとかですね。荷物を置いたら3秒でなくなりますから。

 

つまり油断さえしなければ、南米も非常に安全な場所でありますし、その辺りを踏まえて現地プロモーターの皆さんは配慮されているので、日本人アーティストの力強いパートナーになってくれるのではないでしょうか。


本日は長い間ご拝聴いただきましてありがとうございました。

 

【14th TIMM】「中南米からの熱い視線」
▲共催のJ-LOP4補助金事務局からトークセッション前に行われた、VIPO専務理事事務局長 市井三衛氏による、J-LOP4補助金制度プレゼンテーションの様子