TAKUROが語る“ファンファースト”から生まれたGLAY公式アプリへの想い、アーティスト定額アプリが音楽産業にもたらす可能性【前半】

2018/06/21 (木) - 12:00

メジャーデビュー24周年を迎えたGLAYが、2018年2月1日にサブスクリプション型音楽サービスを開始した。

1994年のデビューから現在までの400曲以上にものぼる楽曲や、100を超えるミュージックビデオ・ライブ映像ほか、様々なコンテンツを聴き放題&見放題で楽しむことができる“GLAYの全てが詰まった”公式アプリとなる。

GLAYのリーダー・TAKURO氏は「GLAYという一番好きなモノ、愛するモノを突き詰めていった」結果、このアプリが生まれたと語る。

GLAYへの並々ならぬ想い、ファンへの絶対的な信頼、アーティストがコンテンツを持つ意味、地方創生といったあらゆる想いが詰め込まれ誕生したこのアプリが、今後の音楽産業にどんな可能性をもたらすのか、話を伺った。

 

GLAY・TAKURO


GLAYに合ったやり方で今後の人生を描いていきたい


ーーなぜサブスクリプション型音楽配信サービスのローンチに至ったのでしょうか?

TAKURO:アプリの開発を始めたのは2年ほど前からになります。このアプリのローンチに至る流れを考えると、GLAYの音楽業界における在り方というものが根底にあると思うんですよ。

僕らは1994年にデビューして、今年の5月25日に24周年を迎えました。デビューしてから前の事務所に10年間お世話になりましたけど、この10年間に一番感じていたことは「なぜアーティスト自らがプラットフォームを創って、仕事を生み出そうとしないんだろう」ということでした。

それにはいくつかの障害があって、例えばレコード会社や事務所との昔からある関係だったりもするけど…そういった色んな大人の都合で、例えば勝手にベスト盤が出ちゃうとか不本意な活動をさせられる人たちを見てきたなかで、GLAYないしメンバーにはそういう思いだけはさせたくない。僕はGLAYというメンバーの人生を預かるリーダーとして、GLAYに合ったやり方で今後の人生を描いていきたいと思えるようになりました。

そして、10年たった時に今までのGLAYの原盤権、著作権、ファンクラブの権利…GLAYに関わる全ての権利を僕に売ってくれと提案するわけです。2004年に交渉をはじめ、2006年頃には全てを有することが出来ました。

権利の持ち主を明確にすることは、アーティスト自身が新しいことを始めることに必要なプロセスだと思っていましたから後悔はしていません。
 
2006年に僕の個人会社がGLAYの全ての権利を有するに至り、ここからは「今までGLAYがやりたいと思ってたことをおもいっきり出来るぞ!」となって自社レーベルやECサイトを立ち上げる中で、アプリをスタートするのは当然の流れでした。

 

 

ただ純粋に「誰が一番GLAYを好きか競争しようぜ!」という気持ち


ーーこのアプリは、どのような人たちに向けて作られたのでしょうか?

TAKURO:このアプリがあれば最近GLAYを好きになった人が「もっとGLAYを知りたい!」となった時に、月額980円で音・映像に関してほぼ網羅することが出来ます。

月額料金をコンテンツで割ったら1円にも満たないけど(笑)、その代わりGLAYのことを思いっきり堪能して頂ける。音楽配信サブスクリプションサービスのいち選択肢として、GLAYが好きでGLAYと少しの邦楽と洋楽くらいしか聴かないなら、このアプリは中々魅力的ですよ。

今度はファンにとって何が良いんだろうかと考えて、ある意味見切り発車してしまったのが今年の2月だったんですけど、早速リアクションがあってなるほど…と気付かせてくれるメッセージを頂きました。

「私がGLAYを好きになったのは15歳の時です。ファンになってから24年間経ちましたが仕事で実家を離れ、結婚して…聴きたいと思っても現在手元にありません。この間、久々に帰省して当時のライブビデオを見たくなり、押し入れを1時間くらい探してやっと見つけました。開けたら…入ってないんです。」

これがリアルなんだと思って(笑)。恐らく、その人は探していたライブ映像をもう追わないですよね。なので、アプリに入れば自分たちが一緒に過ごしてきた楽曲、一度離れてしまって知らなかった楽曲が一同に集まっているということが、戻ってきたファンにとってありがたいことだとメッセージを頂いて。

それまではCD・映像作品を全部持っているコアなファンにとって、このサービスは関係ないものだと思っていましたが、新規ファンにとって楽曲は安く、手軽に聴けるというのが魅力なら、昔からGLAYを好きなファンにとっても、手間の掛からない手段で聴けることに価値があるんだと気付かされました。

ユーザーの音楽の聴き方が大きく変わっている時代だからこそ、このアプリによってスマホが全ての人たちにも「GLAYを聴くチャンスを逃したくない」というジレンマが解消されましたね。

ーー実際にサービスの運用を開始してから、予想もしていなかったことをユーザーから気付かされることはありますよね。

TAKURO:これはアプリを開発していく中で感じたことですが、今後GLAYを10年、20年と続けていくにあたり大切にしなきゃならないものは、突き詰めると2つしかないなと。ユーザーファーストであって、GLAYのメンバーが好きなだけ音楽に没頭できる環境を作りだしキープする。色んなことを言われている音楽業界ですが、この両輪があればGLAYに関しては守りきれると思っています。

巨大企業に対して自分たちの存在はちっぽけだけれども、ことGLAYに関しては博士号を持ってるくらい詳しいし、ファンのことを想う気持ちは誰にも負けない。そこは、町のまんじゅう屋としてアップルやグーグル、アマゾンに勝てるかもしれない。

その発想から全ての情報だけじゃなく、目に見えないものもお互い共有するために、揺るぎない信頼感でもってファンの人たちや音楽の世界に向かっているんだということを、このアプリを長く続けることによって感じて頂きたいです。

もちろん、どの音楽企業ともケンカをしたくなければ、無視もしたくない。ただ純粋に「誰が一番GLAYを好きか競争しようぜ!」という気持ちでやっています(笑)。

 

 

ファンの人たちの想いがGLAYの全てを支えている


ーー早い段階から権利関係を明確して、自らプラットフォームを制作していく。これは著作権・知的財産権が価値を持つ今の時代にとても合ったやり方ですよね。こういった権利を自分たちで保有できれば、アーティスト自身も自由な活動をしやすくなると思うのですが…そこのハードルはまだまだ高いような気がします。

TAKURO:良く例えに挙げるんですが、ライセンスというものに関して「メジャーリーガーのエージェントとプレイヤーの考え方」でないといけません。ミュージシャンの原盤を持つということは、お金を出した人というシンプルな考え方になりますよね。

僕たちが一番大事にしているのは、ファンの人たちへの想いです。それは経済的な意味ではなくモチベーションを含めて、ファンを裏切るとGLAYに直接響いてくる。だってその想いが僕たちの全てを支えているから。

もしアーティストが何か自分でやりたいのであれば、それを素直に話して…情熱もって話すだけならお金はかからないし、自分たちの音楽的な欲求が満たされることによってファンが喜ぶということを伝わるまで伝えなきゃいけないですよね。

 

 

アプリを通してGLAYが伝えたいこと


ーーファンへの熱い想いから今回のアプリがリリースされたんですね。

TAKURO:これからも「ファンに楽しんでほしい」というアーティストの欲求の炎は消えないと思います。ただ、それが音楽作りにだけに特化していくと、周りの経済状況に翻弄されすぎて才能自体が死んでしまう。だから、音楽だけでなく言葉と知恵を学ぶ必要があります。GLAYを守らなくちゃいけないと思った中で、それは良い曲を作ることと同じくらい大切なことなんだと実感しました。

僕はメンバーの希有な才能を預かっている身だから、これを世の中に出さなかったら音楽の神様に怒られちゃうよね(笑)。その行き着く先がこのアプリになって…これの何が良いかっていうと、楽曲が再生されたら「それがどの季節の何時に再生された」といったデータが自然に蓄積されていって、今のGLAYのファンがどう考えているか理解することが出来ます。

昔だったらそれはアンケートという形でしたけど、あれは手間の惜しまない一部の方たちが協力してくれているだけで、声なき声は吸い上げられないですよね。

ファンのことをちゃんと理解するには、その声の小さい人たちの想いも聞かないといけない。どの記事が読まれているのか、どの音楽が聴かれているのか、どのPVが見られているのか、どういった人たちがチケットを購入しているのか…これらの情報は、アーティストにとって今までは自分の物ではなかったわけです。

そういうことも含めて、僕らがアプリで伝えたいことは「ファンの信頼に値するバンドになるので、僕らの新しい夢を見守ってて下さい」ということです。

このアプリを通じて知ったこと、見たこと、感じたこと全部をメンバー全員で共有して、「みんなとの豊かな時間を共有するために、より良い音楽環境を作ります」という宣言みたいなものを感じてもらえればと思います。

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TAKUROが語る“ファンファースト”から生まれたGLAY公式アプリへの想い、アーティスト定額アプリが音楽産業にもたらす可能性【後半】