エンターテインメントと人の距離を近づける「LINE チケット」 ー LINE 舛田淳氏×アミューズ 相馬信之氏インタビュー【前半】

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2017/09/22 (金) - 20:00
LINE 舛田淳氏×アミューズ 相馬信之氏

左から 舛田氏、相馬氏

 

LINE株式会社 取締役 CSMO/LINE TICKET株式会社 代表取締役社長

舛田 淳

 

株式会社アミューズ 取締役 専務執行役員/LINE TICKET株式会社 取締役副社長

相馬 信之

 

9月1日、LINE、アミューズ、テイパーズ3社の共同出資による新会社「LINE TICKET 株式会社」が設立された。LINE TICKETが提供する電子チケットサービス「LINE チケット」は、「LINE」プラットフォームを活用した電子チケットサービスを展開することにより、LINE IDを活用した転売対策のほか、主催者からユーザーへ、ユーザーからユーザーへとLINE上でチケットのやり取りが可能になるなど、LINEならではの機能を活かしたサービスの提供を予定している。2018年にサービス開始予定の「LINE チケット」についてLINE株式会社 取締役 舛田淳氏と株式会社アミューズ 取締役 専務執行役員 相馬信之氏の両氏に話を伺った。

 

 

LINEのチケッティングへの思いとアミューズの志が合致

 

――「LINEチケット」に関して、最初はLINE、アミューズどちらから話を持ちかけられたんですか? 

 

相馬:持ちかけたのは僕達からです。サザンオールスターズや福山雅治をはじめ、アミューズに所属するアーティストのファンの皆様方からチケットの不正転売に対するご意見やリセールに対するお問い合わせを数多くいただいていたので、根本的なチケッティングから対処していかないといけないと3年ほど前から社内で話し合っていたんですね。そして、去年の春くらいから転売対策を具体的に進めようとしていたときに、自社だけやるのは将来性がないですし、やはりどこかと組んで、他社のアーティストの方々や音楽以外のエンターテインメントでも機能できるプラットフォームを作ったほうがいいのではないか?という話になりました。

 

―― そのパートナーとして名前があがったのがLINEですか?

 

相馬:「LINE」は生活のインフラとして欠かせないものになっていますし、あらゆるコンテンツホルダーと展開するオープンなサービスにするためには、LINEさんのプラットフォームが必要でした。門前払いに遭う可能性もあるけれど(笑)、ダメ元で話を持ちかけたところ非常にいい返事をいただき、プロジェクトがスタートしました。

 

舛田:少し時計の針を戻しますが、我々も2014年に実施した事業戦略発表会のときに「アーティストバリューチェーンをつくりたい」というような発表をして、その中でチケットについても触れていたんですね。我々は「スマートポータル」を標榜してやっているんですが、やはりコンテンツやエンターテインメントは大切であり、おそらくエンターテインメント事業という産業自体は、どんどんライブに向かうという認識の中で、チケッティングは重要なカテゴリーだと検討を重ねていました。

 

ただ、勉強をすればするほど「チケットは難しい」と(笑)。やはり構造的に歴史を積み重ねてできているものですし、例えば、私たちが紙のチケットで新たにプレイガイドに参入しますと言っても、誰にも「面白いね」「よくやってくれた」と言ってもらえないと思うんですよね。やはり100%電子チケットじゃないと我々がやる意味がない。でも、我々がシステム、プラットフォームだけを持っていても、実際に一緒にやろうと言ってくださるパートナー、アーティストの皆様がいないとできないわけです。

 

そのような経緯もあり、チケットに関しては一時プロジェクトを凍結させていました。しかし、不正転売などのさまざまな問題が出ているときに、心の中では「だから電子チケットじゃないとダメなんだ!」と思う中で、アミューズさんからお声掛けいただいたわけです。こういった場合、通常ですと、初回のミーティングは他のメンバーに任せることが多いのですが、これは初回から「出ます!出ます!」と(笑)。そして「前向きに検討させていただきます」とほぼ即決でした。我々としては、電子チケットに関して一度踏み出す良いトリガーをアミューズさんに引いていただいたなと大変感謝しています。

 

LINE 舛田淳氏×アミューズ 相馬信之氏

 

―― では、基本合意に至るまでに大きな障害はなかった?

 

相馬:そうですね。すでにLINEさんサイドで動いていた部分と、我々の志がカチッと合ったんですよね。いちいち「役割分担をどうしましょうか?」なんて話し合う必要もなく、お互いの得意なものを持ち寄ると言いますか。そのあたりの話し合いは非常にスムーズでした。

 

舛田:我々も最初の段階で「100%電子チケット、本気でやりますか?」とお話させていただいて。

 

相馬:すごいですよね。「どこまで本気ですか?」「本当に電子チケット100%でできますか?」って(笑)。LINEさんの覚悟を感じた瞬間でしたね。

 

 

 

 「100%電子チケット」に振り切る覚悟

 

――「100%電子チケット」について、相馬さんはどのようにお考えだったのでしょうか?

 

相馬:例えば、サザンオールスターズや福山雅治は、非常に幅広い年齢層のお客さんがいるので、「100%電子チケット」は僕らだけでは振り切れなかったと思うんです。やはりスマホを持っていないとか、紙チケットじゃないと買い方などがわからないという人もいることを考えると、そこに対応していかないといけないですし、実はこの「LINEチケット」のサービスをスタートしても、初期は「LINEチケット」以外で、紙チケットも併用するような想定はあります。

 

ただ、同時にお客さんに「便利だね」と言っていただけるものを、いち早く取り込んでいかなくてはダメだという思いもあるんです。ですからLINEさんと組むことで「100%電子チケット」に振り切る覚悟をさせてもらったと思いますね。もちろん最初はお客さんも不安に思うかもしれませんが、きちんとしたサポートで対応させていただくしかないですし、そこは徹底していこうと考えています。

 

―― 電子チケットが高額転売対策に一定の成果をあげる中で、皆さん「100%電子チケット」に振り切れない部分もあるようです。

 

相馬:長らく続いた商慣習や業界特有の問題などもあり、なかなか電子チケットに踏み切れない事情があることも事実です。ですが、これを機に根本に立ち返って、お客さんとアーティスト双方にとってベストなチケットプラットフォームのあり方というものにチャレンジしたいと思っていますし、それには電子チケットへの移行というのがマストだと思っています。

 

 

 

「LINE ID」の優位性〜イベントのポテンシャルを引き上げる

 

―― では、具体的にどのような方法で課題を解決していくのでしょうか。

 

舛田:最も特徴的なのはLINE IDですね。LINE IDは、皆さんご存知の通り、1端末に1アカウントしか入りません。実存在性が担保できるIDにすることで、ご家族やご友人と安心して使っていただけるコミュニケーションツールとして、今では国民の半数以上に利用していただいています。このLINE IDを使うことによって、買い占めや不正転売に対応できると考えています。通常、買い占めは大量に取得されたIDを使ってなされるわけですが、我々のIDは1端末1個しかないので、不正をしようと思っても端末を100台とか、1万台とか用意しないといけないので、不正することのカロリーが高くなるんです。仮にやったとしても、LINE IDの個人認証が必要なので、次はこの1万台からエントリーができなくなるんですね。ですから不正対策にもなりますし、事後対応も迅速にできるようになります。

 

―― 新たな登録も不要な上に、個人認証もされているサービスはそう多くはないですよね。

 

舛田:我々も様々なサービス、事業を作っていく中で、「IDを登録する」という行為は、ユーザーにとってものすごくストレスなんだと重々理解しています。ですから、皆さんがいつも使っているLINE IDで、気軽にチケットを購入することができることが我々の強みになると思っています。

 

―― その点でもLINEというプラットフォームでサービスを提供する優位性がありますね。

 

舛田:もう1つの強みというのが、チケットを転売するときですね。二次流通を健康的にやろうと思うと、やはり一次流通が電子チケットでなければならないんです。今回LINEチケット内でユーザーが二次販売できる公式マーケットプレイスを用意する予定ですが、一次流通と二次流通はセットでなければ意味がないので、ここにはこだわっています。

 

二次流通させるときにも、LINE間でメッセージのように送れる設計を考えていますので、音楽、スタンプなどと同様に、チケットも気軽にご家族やご友人、もしくはそれ以外のLINEユーザーに送ることができるでしょうし、例えば、我々プラットフォーム側からもLINEを通じてユーザーの皆さんにチケットを送ることもできます。いつもの行動の中にチケットが溶け込んでいくことが、「LINEチケット」の特長ですね。

 

また、電子チケットであれば、守るだけではなく攻めることもできます。例えば、当日券の取り扱いも、電子チケットだからこそギリギリのタイミングでも色々な施策が打てますし、これは今後の計画になりますが、ダイナミックプライシングも可能になります。

 

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