【後半】インターネットの恩恵を受けたアーティストKOHHとマネージメントの新たな挑戦

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2017/03/18 (土) - 19:00
【後半】インターネットの恩恵を受けたアーティストKOHHとマネージメントの新たな挑戦

【特集】ミレニアル世代のアーティストが創る新たな音楽シーン【後半】インターネットの恩恵を受けたアーティストKOHHとマネージメントの新たな挑戦
株式会社BM 高橋 良

2017年3月18日掲載


実家から歩いて5分くらいのところにKOHHは住んでいた2008年頃にKOHHがmixiでメッセージを送ってきて、彼と知り合うことになります。

当時、僕は、例えば、サラリーマンの人たちが「忘年会のためにラップやりたい」みたいなのもレコーディングしてお金を稼いだり、とにかく「仕事」としてやっていた側面が大きかったので、「KOHHってどんな奴だ」と見たら18歳とあって、18歳だったら金もないだろうし、「これはあんまり商売にならないなぁ」って断ろうと思っていたら、プロフィールのところに「北区」って書いてあったんです。

僕は足立区の新田というところが地元なんですが、北区はすごく近所なので、ちょっと電話してみようと思ったんですよ。それで「北区って、何中?」みたいな話をしたら、「○○中です」みたいな(笑)。本当に実家から歩いて5分くらいのところに住んでいたんですよ。

年は9個くらい違うので、知り合いとか被ってなさそうだったんですけど、それだったら「協力はするよ」と。レコーディングの波も落ち着いてきていて、仲間たちも自分でやり出した時期だったし、スタジオの中で色々トラブルもあったりで、もうスタジオを畳もうかなと思っていた時期だったんですよ。「じゃあレコーディングやっているから、遊びにおいで」と言って、まあ色々ありつつ、今に至るっていう感じです。

KOHH自分の日常をありのまま切りとる創作KOHHって異例で、曲も歌詞もすごく変わっていると思うんですよ。本当に身の回りで起きたことを歌詞に書いている。

KOHHがスタジオに初めて来たときに、僕が「アメリカの奴らはこういう風に自分らの日常を歌ったりとかしているんだよ」「それがかっこいいんだよ」って、和訳とかしながら熱心に教えたりしたんです。「俺らだったら北本通りだろ」「庚申通りとか、そういうマニアックなところまで言っちゃうんだよ」みたいな(笑)。

それで、「その日の生活だとか、あったことをそのまま歌っている感じでやって」みたいなことをアドバイスしたんですけど、その僕が言っている以上にKOHHがそれを忠実にというか、日記みたいなことをやりだして、それがすごく面白かったんです。

今でもずっとそうなんですけど、ラップとか始める子たちって、まずラッパー像みたいなのがあるんですよ。で、過去の人たちが使ったヒップホップ用語というか、僕なんか「ヒップホップディクショナリー」って呼んでいるんですけど、そういう辞書から言葉を取ってきて並べるだけっていうか、「自分を歌う」っていうよりも、「こうであるべき自分とか、なりたい自分とかを歌詞にしていく」みたいなのがすごく多いので、KOHHの曲は異色だと思いますね。

ビジネスとは真逆の資質のアーティストをマネージメントすること僕は裏方なので、やっぱり数字とかも見ますし、要領よく進めていきたいなという思いもあるんですが、KOHH本人が本当にアーティスティックな性格なので、KOHH案件に関しては線を引いていて、商業的なコラボとかそういうのはほぼゼロに近いです。

そもそも「レコーディングを手伝ってください」とKOHHが言ってきた頃から、地元の先輩・後輩的な感覚でやっているのに、急にコトが大きくなってきたからってビジネスライクになったら、おかしいじゃないですか。だから最初に始めた時から、変な話、お金の分け方みたいなのもずっと変わっていないです。パートナーっていう感じとも違うんですよね。友達っていう感じでもないですし。スタジオに来た、地元の若い人と、地元の音楽のお兄さんみたいな感じじゃないですかね。

KOHHは「お金のために何かをする」とか「人気を上げるために何かをする」とかっていうのをむしろ避けるくらいやらない。基本は「いい作品を作りたい」「いい曲を作りたい」だけなんですよね。

それは普通だったら、決定的な欠点になると思うんですが、彼の場合はそれがもう徹底しているので、そこが逆に人を惹きつけているのかなって思っていますね。ビジネスもしないといけない自分からしてみれば「何言っているんだ」って思うこともあるんですけど、最近ことごとく結果が出てきちゃっているので、「認めざるを得ないな」と。

どんどん音楽性を追求しちゃった結果、サードアルバム『DIRT』のように万人受けしないアルバムが出来てしまいます。僕的には『DIRT』が一番好きですし、本人も気に入っていると思うんですけど、一応音楽を長いことやっているので、肌感として「これは売れないぞ」ってすごく思ったんです。

KOHHサードアルバム『DIRT』

KOHH サードアルバム『DIRT』


そこで「どうしようか」と考えたときに、「逆輸入しよう」と。アメリカで評価されれば、もう否応なしに日本でも評価されるだろうと。それで韓国のヤツらとコラボしたり、海外でツアーを積極的にやるようにしました。それもあってか、アメリカのアーティストからオファーがあって一緒にやることになったりと、今のところ上手くいっていると思います。

自分たちだけでもある程度行けちゃうのが今の時代の特徴たぶん僕たちって、インターネットの発展の恩恵をすごく受けています。それこそ自分とKOHHが知り合ったのも、mixiとかSNSがあったからですし、その人が有名だから一緒にやろうみたいな意識で音楽をやっていないので、アルバムの中で、半分以上はYouTubeやSoundCloudとかで見つけたプロデューサーにこっちからアプローチして作ってもらったトラックとかが多いです。

やはりインターネットを通じて、アーティスト同士が国・地域関係なく連絡を取って、依頼できるのは大きいですよ。感覚で選んでいけますしね。才能があっても埋もれていた人って、昔はすごく多かったと思うんですけど、今はある程度のところまではみんな出てこられる。やっぱりレーベルの力を借りないと、大きいマネージメントの力を借りないといけない領域もあるとは思うんですが、ある程度のところまでは自分たちだけでも行けちゃうのが、今の時代の特徴だと思います。

株式会社BM 高橋 良 氏
例えば、KOHHみたいに「人の言うことを聞きたくない」「ただ自分を表現したい」とか、頭を下げつつ下積みをやってとか、そうじゃない人でも、ある程度のところまで行くチャンスが広がっています。

僕は、特にレーベルとかといい思い出がなくて、基本的にはあんまり認めていないので、レーベルとかが牛耳っている過去の音楽シーンよりも、IT企業が時代の先端を走っている、今の音楽シーンのほうが僕は面白いし、自分に合っていると思いますね。



 【特集】ミレニアル世代のアーティストが創る新たな音楽シーン
 

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【06】インターネットの恩恵を受けたアーティストKOHHとマネージメントの新たな挑戦【後半】
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【インタビュー新着】【特集 最終回】「【後半】インターネットの恩恵を受けたアーティストKOHHとマネージメントの新たな挑戦」株式会社BM 高橋良さんにKOHHとの出会いや独特なマネージメント哲学などお話を伺いました http://www.musicman-net.com/focus/86.html