中世の西洋画をイメージしてほしい。子供が描いたように顔が平坦で、背景も乏しい。感情も貧しく見える。ルネサンスの絵画はどうだろう。たとえばダヴィンチ。光と影を巧みに使うことで、人物像は奥行きを持ち、こころの深淵を表現している。ダヴィンチは持ち前の科学的センスをアートに導入した。遠近法と陰影法を集大成した彼は、美に新たな時代をもたらすことになった。
特集
- 『スター・ウォーズ』のジョージ・ルーカスが映画監督を目指すきっかけとなったのは、夢を諦めざるをえなかったからだ。高校卒業の前日に彼は改造し倒したフィアットを、エピソードIのアナキン坊やのように駆ってレースに出場。エピソードVIのスピーダーバイクのように接触され木に激突。シートベルトが切れ、車外に放り出された。
- 副社長は勇気を振り絞って、ジョブズに議題をぶつけた。半年後に控えるCGの祭典、シーグラフに出展する短編アニメ『ティン・トイ』の件だった。それはたった今、身を削る思いのリストラをもって作ったカネと、ほとんど同じくらいかかるのだ。
- プロデューサー気質の強かったジョブズは、まばゆい才能に出会うと顰め面から晴れやかな顔をしたものだった。だから10万ドル、現在価値で30億円弱の大金をはたいて稼ぎのないCG集団を手に入れたとき、「気でも触れたか」と揶揄されたが気にすることはなかった。
- Spotifyも無事上陸した今、4年前に始めた本連載の真意も改めて言明しておいたほうがよいかもしれない。われわれは定額制配信を超えるものを創りうるのか、ポスト・スマートフォンのかたちを創りうるのか。衰退するかにみえるこの国に生きるわれわれは、次の大物(Next Big Thing)を手がけることが出来るのか、という問いだ。
- ARM社。Appleがジョイントベンチャーで立ち上げた会社だ。かつて若きジョブズを追放したスカリーが社長を務めた時代にあたる。AppleのNewtonはタッチスクリーン式携帯ガジェットの先駆けだったが、ARMの設計したマイクロプロセッサを心臓に持っていた。以来、ARMは携帯デバイス向けのCPU設計に特化している。孫正義率いるソフトバンクが3兆円で買収し、その名は日本の人口に膾炙するところとなった。
- 「次の大物は何か、どうしたらわかるでしょう?」26歳のジョブズは初めて勤めた会社の社長にそう尋ねた。「そうだな、君の業界なら…」後に『ゲーム業界の父』と呼ばれるアタリ社の創業者ノーラン・ブッシュネルは、カフェラテを一口飲んで、アドバイスを練った。
- 齢二十三ですべてを手に入れたはずだった。フェラーリ。高級マンション。クラブのVIPルーム。光と音楽。シャンパンと女たち。だが成功のあかしは幻滅の苦痛に変わっていった。「ずっとじぶんのいるべき場所を探していたんだ」スウェーデン人らしい抑制の効いた微笑をたたえながら、若者は当時のじぶんをそう説明した。
- 本連載も最終回が迫ってきた。いま、音楽産業はエジソンが世界初のメジャーレーベルを立ち上げて以来、初めての大転換を経験しつつある。それはiTunesが興した以上の何かであり、そこには21世紀のエジソン、スティーブ・ジョブズの若き日の挫折と、壮年期の人格的成長が深く関わっている。今回、書いていく話はそういったものである。
- 「社会変革をもたらす本当の力は、テクノロジーだ。政治でもビジネスでもない」Naspter、FacebookそしてSpotifyで幹部を歴任してきたショーン・パーカーはそう語った。だが音楽産業100年の物語を書き連ねてきて、歴史を動かす真犯人が独り技術のみとは、筆者には感じられなくなっている。
- 「これ、読みましたか?」青山のとある店での夜だった。Aさんは料理の並ぶ上から、分厚いレポートを筆者に見せた。今年は会食の機会が多い。節目の年だからだろう。音楽産業の今後について、真剣な相談がほとんどである。「今回はずいぶんと気合の入った調査ですね」
- 2015年、レコード産業は勝負の年になるだろう。世界はYouTube Music Keyによって。日本はLINE MUSIC、AWAなどの新サービスによって。6年前、欧州メジャーレーベルはSpotifyで社会実験を始めたが、日本の新サービスは、Spotifyのフリーミアムモデルに匹敵する大胆なものも出てきそうだ。
- それでもミュージシャンがYouTuberのように稼ぐ方法はあるのだろうか。まず『YouTubeバンド』の先駆者、OK Goが編み出してきた方法を見ていこう。 1 プライベート・レーベルで、YouTube広告料の分配率を上げる
- 少し歴史から離れて、今の話をしよう。今年9月、バルセロナ。フューチャー・ミュージック・フォーラムでのことだ。「YouTubeはプロモーションになってません」英国最大のインディーズ・レーベル、ベガーズ・グループのデジタル部門を率いるサイモン・ウィーラーは講演でそう述べた(※1)。ベガーズにはアデル、ベック、レディオヘッドなどが所属している。
- 1991年の夏。MTVに「Smells Like Teen Spirit」のデモが送られてきた時、編成部ではただひとりの他、反応するスタッフはいなかったという。他は、ガンズ・アンド・ローゼズの開いた試聴パーティで総出だったからだ。
- 「そこのロッキングチェアにずっと座ってたよ。歩く気力もなかった」リビングにいたジョブズは、作家のアイザックソンにそう言った(※1)。押しのけても絡みつく倦怠感に、やがて来る死を意識せざるをえなかったろう。肝臓に三箇所、転移がみつかっていた。「結局、エネルギーが回復するまで6ヶ月くらいかかったよ」
- ビルボードチャートディレクター シルビオ・ピエトロルオンゴ氏が来日し、先日開催されたデジタル時代の新型ミュージックフェス「THE BIG PARADE 2014」に登壇した。「デジタル時代の音楽チャート」をテーマにトークセッションを展開したシルビオ氏に改めて取材を敢行。ビルボード・チャートの現状から、シルビオ氏から見る日本の音楽業界の現状、そして「チャートの本質論」までお話を伺った。
- 「ホームレスになった。ほとんど破産してたんだ」2001年の夏。後にFacebookの初代社長となるショーン・パーカーはNapster社から追放された。失業の上、Napster裁判の弁護士費用で借金を背負っていた。「友だちの家に二週間ほど置いてもらい、それから出て行くということを繰り返した。路上生活者になりたくなかったからね」
- BIG PARADE 2014 最終日の15日、音楽プロデューサーのスティーブ・リリーホワイトが基調講演を行った。
- 2014年2月に2度目のワールド・ツアーを成功、7月には3rdアルバム「ピカピカふぁんたじん」を世界4大陸でCD同時発売したきゃりーぱみゅぱみゅ。9月13日〜15日の期間、東京・代官山エリア一帯で開催されたカンファレンス+音楽フェスティバル「THE BIG PARADE 2014」の最終日にて、彼女を中心としたプロジェクトを仕掛けた2人の対談が実現した。