四星球 高松ワンマンレポ、怒涛の曲数で貫いたコミックバンドの生き様

2018年5月16日 15:40
「モリスターバッシュ2018」


四星球が、1st e.pの発売を記念したツアー「『鋼鉄の段ボーラーまさゆき e.p.』発売記念ツアー『モリスターバッシュ2018』」を先日5月10日に高松オリーブホールにて実施した。

ライブレポート
四星球のライブにおける段ボール小道具を一手に担うメンバー・まさやん(Gt.)への賛歌とも言える「鋼鉄の段ボーラーまさゆき e.p.」のリリース後、月1回ペースで毎回テーマの異なるワンマンツアーを敢行中の四星球。

今ツアーも残すは2本となった5月10日。この日の会場は四国で結成し、四国に育てられた彼らにとっては「どホーム」と言っても過言ではない香川県高松オリーブホール。

そしてワンマンタイトルは「モリスターバッシュ2018」…「リ」を「ン」に変えれば、彼らにも馴染みの深い四国が誇るあの夏フェスが浮かぶタイトル。

何ならば…昨年の本家オフィシャルグッズにて四星球がコラボしたTシャツはフロントにデカデカと「モリスターバッシュ」と書いてある四星球Dr.モリス作のモノだったことを記憶している人も少なくないかもしれない。

今ツアーではお馴染みの光景となってきた会場内外に展示される「まさやんの作品」も、今回は「MONSTER baSH」関連のモノもあれば、フロアに入れば完全に手書きで書かれた看板が設置された「茶堂」ステージもある。
※「茶堂」…モンバスではアコースティックをメインに緩やかな風が吹き抜ける真夏のオアシス的な名物ステージのひとつ。

四星球は全ステージ制覇を叶えるべく2016年に登場し、アコースティックの概念を超えたステージを展開した。

そんな「オヒザモト」すぎる場で、なじみ深すぎる名を拝借して行われたこの日。レポートとして書くには書けないことが多すぎて困っているのが事実だが、伝えられる範囲を探りながらお伝えしたい(笑)。
 

「モリスターバッシュ2018」


平成のコミックバンドが担う役割
ザッと始まりからを振り返ると。定刻から約10分が経過した時、無音の中で四星球の4人が全員黒スーツ、髪もピッチリさせたスタイルでステージに粛々と登場。

四星球メンバーである「まさやん(Gt.)」がDUKE社員であり、四星球スタッフとして10年以上に渡り彼らの側で支え続けてきた男性スタッフに対し、感謝なのか愛ゆえなのか…ある行動を起こしてしまい、そのことが報道されたがため謝罪会見を行う…とのこと。

…もちろん架空のオハナシであり、今宵の茶番の設定だということを忘れずにいてもらいたい(笑)。

神妙な顔を崩さずに淡々と謝罪を続けるメンバー。当事者であり憔悴しきっているまさやんが振り絞るように答えた一言も…どこかで聞き覚えがある気がしないでもないが…4人の名優たちは今宵のストーリーの配役に徹しているため、その姿の一つ一つが見事な謝罪っぷり。

その姿や言葉の一つ一つに笑いが止まらないフロア。

彼らの謝罪内容をまとめると、
①先に書いたDUKE社員である男性は今夜も気丈にスタッフを務めている
②だからこそ、その人を特定するのはやめてほしい
※完全に名前を出していたため、特定は簡単に出来る(笑)
③こんなことをメンバーがした以上、不謹慎なライブは出来ない
④更にはDUKE社員でもあるスタッフとの問題のため、DUKE主催であり、すでに11年連続での出演が発表されている「MONSTER baSH 2018」への出演も危ぶまれている
⑤DUKEと話し合った結果、今日、この場所で四星球が他では成し遂げたことが無いライブを行えば通常通り出演を許可してもらえることになった
⑥そんな中で不謹慎なライブは出来ないからネタはやらない
⑦その上で今まで成し遂げていないライブとして曲だけ30曲のライブを行う
⑧それでもボケたくなってしまうため、気丈にスタッフを務める当事者のDUKE社員に電流装置を託す
⑨メンバー4人は電流装置を身に着けてライブを行うので、気に食わない時は電流を流してほしい

…という……茶番の始まりを淡々と告げていく。

昔…約10年ほど前だろうか。北島康雄(シンガー)が「平成のクレイジーキャッツ、ドリフターズ…そんな存在になりたい」と言ったことを思い出した。

先に書いたコミックバンドの先人たちは、その時々の世相を反映してネタにして、笑いに変え、世の中に少しの光を与えた人たちだから。彼からその言葉を聞いたとき、何だか妙に納得したことを鮮やかに覚えている。

この茶番の始まりを目にしたとき、その言葉が当時の北島の口調までもリアルに思い出すほどに浮かび、今宵の茶番に胸が躍る感覚を抑えきれなかった。

どうする?どうなる?ネタ無しワンマン!?
とはいえ、恐らく「ネタ無しで30曲」といった言葉に二言は無いはずで。彼らはどう魅せるのか……絶対に何か仕掛けがあると分かっていながらも、そのワードでワクワクさせてくるのは流石の技である(笑)。

粛々とした謝罪会見の最後。ステージ上にてメンバーが掲げたのはフェスではお馴染みのビジョン。そう、アーティスト写真とバンド名がドンと出るアレ。

それを段ボールで表現したものを意気揚々と掲げ、昨年の「MONSTER baSH」にて四星球が担当した登場ジングルが鳴り、未知すぎるネタなし30曲(予定)のワンマンが始まった。

最初に繰り出したのは今ツアーには欠かせない「鋼鉄の段ボーラーまさゆき」。重々しいスーツ姿のまま前半は演奏を終えたものの、「慣れないスーツで動けていない、下さえなければ何とかなる!」と北島が発した途端、両サイドのU太(Ba.)とまさやん(Gt.)はステージ上でブリーフ・法被の彼らの正装に生着替えをし、北島は上半身スーツでブリーフ姿のナカナカな姿に変身。

…それでも、その姿がおかしく感じないほどの熱量でその後も数曲をやり切る姿には潔さと誇りすら感じたほどだ。

すでに通常よりも汗みどろのペースが早いように思えるほど4人が汗を滴らせながら3曲目に演奏されたのは「MOONSTAR daSH」。言わずもがな、本家への敬意をこめまくっている彼らの大切な曲のひとつ。

「ファンファーレを歌ってください!」と叫ぶ北島の声に誘われて、ステージの顔を一つずつじっくりとみると、何だかいつもよりも笑顔が多い気がするし、表情の一つ一つが柔らかい気がした。

30曲のワンマンをやろうとしている人の殺気ではなく、自分たちも未知の領域が始まったこと、この空間へのワクワク感、その場への安心感…なんだか今宵は凄いことになるんじゃないか…と、その顔で感じさせられた。

「四国で観る四星球は格別やな」って言わせたい?
ちょっとした茶番(…というにはフロアとフロア外とステージをリンクさせまくった見事な仕掛け)を経て、北島が口を開く。

「分かってるんですよ、四国で観る四星球は格別やな、って帰りに言いたくて来てるんでしょ?僕らも言ってほしくて、言いたくてやってるんです」と告げて「ギンヤンマ」へ。

思いっきり飛ばして動いたU太の汗が肉眼で分かるくらいにバンバン飛び散り、北島は曲中で「始まるためのオリーブホールでございますー!!!!」と叫べば、まさやんも動きでソレに応えて、初期衝動でしかない光景が目の前に広がる。

このままバンバン曲をコレデモカ!とやっていくのか!?と思わせたのに、この後は…彼らだからやれる茶番曲のお時間。ネタナシなので、ネタではなく、言うなればネタ曲メドレー(笑)。

配信でリリースもしているため、ご存知の方も多い「時間がないときのRIVER(10-FEET)」から始まり、「作業が捗るKILLING ME(SiM)」「俺んとこ来ないときのOne Night Carnival(氣志團)」「N∀OKIがいないときの金色グラフティー(ROTTENGRAFFTY)」「swimたいやきくん(04 Limited Sazabys)」自身の曲から「クラーク博士と僕は突然に」と、これまでに各地のフェスを中心に(勝手に)お届けしてきた「四星球コラボシリーズ」を展開。

この曲たちをもって演奏楽曲は13曲をカウント。コラボ楽曲シリーズの後は本家(!?)「クラーク博士と僕」へ。序盤を歌い、フロアの人々に支えられて立つ北島が言う。

「今のトコ、ネタナシ!分かる?今やったのは曲やからセーフでしょ?今のトコ、ネタナシ!!!!」と、ネタナシを続けているコトを興奮気味に話す。

続けて、この曲はモンバスでは毎年歌ってきたコト、イコール10年連続で出て歌った曲だからモンバスで一番歌われた曲だということを話してから、まるで友達や戦友に話すような信頼しきっている顔でこう告げた。

「全国で戦っているつもり」だと。「でも四国でやるときは(ご褒美のように感じて)甘えているかもしれない」と。「けど(今年は)、3〜5月毎月高松でやってるから、今日は攻めるために来ました!!!!」と、北島が臨戦態勢に入りU太が一声「来いや!」と叫び、まさやんが思いっきり飛び、モリスが勇ましい顔になる。

ここまで言われて応えない四国ではないのは誰もがわかること。その後のステージとフロアの応酬たるや!相思相愛ってのはこんな光景を言うのだと信じたくなる景色だった。

ライブハウスとモンバスに育てられた諦めの悪い「ニューヒーロー」
これだけ書いてもまだ半分…というナカナカの内容だった5月10日。

その後の展開といえば…茶堂ステージに移動して、もう何年ぶりに聴くかも記憶に薄い名曲「猫舌」をU太以外の3人でしっとり演奏したかと思えば、ワンマンではお馴染みのタカタさん(おじいちゃん)なるキャラがピアニカを颯爽と掲げ、これまた彼らが本家でアコースティックをした時を彷彿とさせる「ビスケット」で、まるで夏のあの風が吹いたような錯覚を起こさせたり。

その後、バンドセットに戻り20曲目「妖怪泣き笑い」の途中で北島がまたしても語りだす。2017年1月にメジャーデビューを果たした彼ら。その打ち合わせの際にメジャーレーベルの会議室ホワイトボードに書かれていた一つのワード。

「飽和しているフェスのニューヒーローになれる存在・四星球」

そのワードを出し、「このGW付けで(ニューヒーロー)に就任したことをご報告いたします!」と声高らかに告げる。

なぜ就任できたか…それは「MONSTER baSH」があったから、その場所で育ててもらったからだと熱っぽく叫ぶ北島と後ろで照れ臭そうに笑う3人、その姿をナントモ表現しがたい柔らかすぎる顔で見つめて笑うモンバス関係者たちの姿は、今宵の茶番をやらせてくれる信頼関係以外の何者でもない気すらした。

本当に就任できたのかどうか…それは彼らがこの先の道で証明してくれるのだと、ビッグマウスは叶えるために使うものだと信じるしかない潔い姿だった。

ボケたい!ボケられない!ハザマが生み出す初の試み
ここまで来ると…なぜボケないのか、ネタをしないのか、曲だけで攻めようとしているのか…を忘れかけてくるのだが(笑)。ソモソモを辿れば冒頭の謝罪会見がすべての始まり。もちろん当事者のDUKE社員であり四星球スタッフの長である男性は電流装置を持ち続けているわけで。

そろそろ、四星球的にはボケたくて仕方が無くなる時間帯。案の定、耐え切れず…中2男子炸裂すぎるボケをカマしてみたものの電流は流れず、その後、チラッと電流が流れることはあったものの、汗まみれになりながら剥き出しの姿で演奏を続けまくる四星球…とイチイチ所々で爆笑しまくっているDUKE+四星球スタッフ。

同級生のチャットモンチー完結の話にも触れつつ。ずっと先を越されてきた、悔しかった、完結という形でも先を越された。だからこそ、僕らは意地でも完結せずに走る、と言葉で告げたことも含め。

いうなれば究極の身内ノリといっても過言ではない。それでも誰一人最後まで出来る限り置いていかないのが四星球のワンマンなのだ。

やっぱり来ました!伏線回収の嵐!!!!
その後の所謂「終盤戦」はこれまでとは一味違う?寧ろ分かりやすすぎる?伏線回収の嵐だった。

謝罪会見のクダリは助演男優賞を捧げたいほどの当事者であるDUKE社員の名演技と4人の息ピッタリの茶番で見事に誰も傷つけない回収をし。

先日悲願の出演を果たした際に演奏した「HEY!HEY!HEY!に出たかった」では、放送でも流れたマイクトラブルを再現し、出られたのはフジテレビの人のおかげ、でもマイクトラブルは応援してくれてる人たちの気持ちが一気に降りてきてドン!とマイクに来たんだと思う、とニコニコしながらオフマイクで大声を張り上げる北島。

ライブハウスで歌い続けてきた曲が夢を叶えてくれたから、歌い続けないと嘘だと、皆さんの夢が叶うまで歌い続けると、人生のリード曲だと告げて歌ったその曲。

どれだけの時間とどれだけの悔しい思いと、その倍以上のかけがえのない出会いと時間が彼らをその場所に連れて行ったのだろう…そんな感傷的な想いになりそうになってステージを見たら、そこにいる4人の顔は未来でしかなくて。感傷的になったことを恥じたくなるほどの未来を見る人たちの顔。

その直後にしっとりと演奏された人の幸せを喜べる人でありたい…というメッセージ性のある「幸せなら CLAP YOUR HANDS」の「君にも夜が来て 僕にも夜が来て 君にも朝が来て 僕にも朝が来て それでも同じように それでも同じように 幸せにはなれんのかなあ?」という歌詞が耳にこびりついて、それを演奏している4人の顔とフロアもステージ袖の顔も全部が彼らの歩んできた日々、歩いていく決意の姿のようでニヤニヤがとまらなかった。

コレぞコミックバンドの締め方?カオスすぎるドタバタ劇
予定では本編ラストだった30曲目「発明倶楽部」の終盤。本編中で1曲としてカウントするにはややこしい曲もあったから…と、この曲で時間を戻せる発明をした、と、約2時間半前の光景に会場を戻し、「鋼鉄の段ボーラーまさゆき」が再び鳴った事実上の31曲目。

ステージ上には各メンバーと今回の助演男優賞DUKE社員の名前パネルを掲げた多すぎる人がごった返し、ごちゃごちゃと走り回り、誰よりステージ上が楽しそうな平和すぎる光景が広がっていた。

が、皆さんお忘れかもしれないが…すべてが終わりかけた瞬間、今回のワンマンに異議を唱えた男がいる。
まずは、今回のワンマンタイトルを再度お伝えしたい。

「モリスターバッシュ2018」

そう、ソモソモはDr.モリスが生み出したワード。それにしては、スポットを浴びていなさすぎのモリス。もちろんココまで、モリスも大健闘して叩き続けているわけだが、レポートとして特筆する部分は無い。ゆえに?ココでモリスが大爆発。出番がない、と。歌わせろ、と。

…あの伝説の???四星球が本家モンバスにて奇跡のオオトリを務めた年の最後に見せたモリスカラオケ+ポンポン振りまくり光景を再現。

カオスと化したステージには、いつの間にやら四星球ワンマンでは数々のピンチを救い続けてきたキャラ「ちょんまげマン」が無駄に凛々しく現れ「今日は出る幕が無さそうだな」「良かった、出る幕がなさそうだ」と何度もしつこいほどに言い続ける中、モリスは気持ちよさそうに熱唱し、U太はチアリーダーさながらにポンポンを振りまくり、まさやんが全てを止めようと奔走し…先人のコミックバンドたちがブラウン管の中で見せていたようなドタバタ劇が目の前に広がっていた。

全国を「身内に!」宣言の先を進んでいく彼らの道程
実質33曲目(セットリスト的には32曲目)のアンコール1曲目「TEEN」の際。身内ネタに付き合ってくれた感謝を述べだした北島。

言ってしまえば、今回のツアーの発端である「鋼鉄の段ボーラーまさゆきe.p.」も身内ノリで、そのツアーでこの(内容の)ワンマンが出来て良かった、と告げた直後、全てを終えて振り返っている今は、彼らの決意とも感じる一言を聞くこととなる。

「日本全国を身内にしようと思う、そしたらもっとワガママにやれる」
「笑い声のある方に四星球がいる、(笑い声が)ない場所には起こす」
「ライブハウスとフェスの橋渡しが出来る存在になる」

…ザッと要約すればそんなコトを本当に本当に柔らかい顔で北島は話していた。こんな柔らかい安心しながら話す顔は正直「レア」だと思うほどの目尻が下がった顔。

そんな顔を北島がしている時の3人の顔も格別だ。いいバランスのバンドなのだと痛いほどに感じる光景。あの4人が揃っているだけで、もしかしたら今や「どこでも感じる」光景なのかもしれないけれど。

それでも今はやはり「四国で観る四星球は格別やなぁ!」と言ってしまいたくなる理由が嫌になるほどある。四国でやる時は身内を前提として、育ててもらった場所に成長した姿を見せたい男の子のプライド。

プライドでガンガンに固めても甘えたくなる男の子の可愛さ。それは「身内」だと信じられる場所だからトコトン彼らがワガママにやれる証。そんな場所を全国に作る、こんな夜を続ける、と宣言したも同じなのだ、この日は。

それならば。彼らが全国を身内にしていくのなら。「〇〇で観る」なんていうアタマの一言はきっと無くなる。どこで見ても毎回何かしら違う攻め方をしていて、凄く泥臭くても何でもその場を「笑い声」で満たして颯爽と去っていく。

そんな「ニューヒーロー」に名実ともになっていく日は、遠くないのかもしれない…と、30曲超え、ネタが無いことがネタになる!というテーマをやり切った彼らの姿をみて感じた日だった。

それでもきっと…生粋の「男の子」集団の彼らは、これからも「四国」を愛して「格別やな〜!」を超えたくて走り続けるのだろうけど(笑)。

今年もすでに四星球のフェスシーズンはスタートしている。昨年はどうやら33本、フェスに出ては毎回違うネタを繰り広げたらしい。

今年はどんな攻め方で「ニューヒーロー」として降臨するのか。そしてホームである自分たちの企画では何に挑戦し続けていくのか。

「生もの」の四星球の活動から目を離せない年になりそうだ。

Photo by Naritoshi Kitagawa