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- 3 - 真下:先ほど話に出ましたが、こういうツールがあると便利すぎちゃって、逆にディレクターさんの情報収集能力が落ちてしまうんじゃないかという危惧も囁かれてますが(笑)、DGがスタンダードになっていくと色々な権利者が乗ってくると思うんです。そうなると幅も広がってきますし、限られた時間内で膨大な情報の中から選曲していくディレクターの補助ツールとして活用してもらえると思います。実験の時には通常のプロモーションでは流通しない洋楽ものや、配信限定ものがいち早くプロモーションされ、テーマに使われたりヘビーローテーションになるなど、幅広い選択肢の中からいい曲が発掘され、リスナーの人気も上々だったようです。 屋代:ITの時代になってリスナーや若い人たちの音楽の聴き方がどんどん変わっているのに、音楽を作ってプロモーションする側はずっと変わらずに来たわけで、そろそろ新しい時代のプロモーションスタイルを作っていかないといけないのかなと感じますね。 山浦:すごくいびつなんですよね。プロモーションに来るところは来るし、来ないところには全然来ない。また欲しがっているところに音源が行かないし、必要のないところに山のように来ていたり・・・。DGはそこを公平な形にしてくれるのではないでしょうか。 古賀:DGはシステム的にはいいと思いますし、効率的にはなると思います。ただ、一番疑問なのはうちだと番組1時間で8〜10曲かかるんですが、DG上に楽曲がどんどん増えて、選ぶ楽曲の選択肢が増えることがいいことなのか、それは考えておかないといけないです。うちは手に入るものに関してはメジャーとインディーズの区別は全くないんですが、情報として全てが均一化されて、その数が増えてきたらどうやって選ぶのかな、と。そこで誰かが選ぶサジェスチョンを出さなくてはいけない。そのときに人と人の部分がどこまで見えるかだとか、選ぶ方も自分の価値観だけじゃなしに違う人の価値観も入ってくることによって、伝わってくる音ってすごくあるんですよ。例えば、プロモーターの人たちが「この音楽いいよ」と話すときに、他の話もする中で番組を作る側は色々な発想が広がってくるんですが、ネットってすごく便利な面と、探したいものがどこかにあるからそれを引っ張ってこれる便利さと、あまりに情報がありすぎて逆に選べない面とあると思うんです(笑)。それと同じようなことがこのDGにも起こると思うんです。そうなると「あまり今までと変わらないのかな?」とも思っちゃうんですよ(笑)。 常行:ただ、少なくともいちいち封を切ってプレーヤーにセットしたり、資料が山のようになってしまったりすることは少しは解消されますよね。 古賀:でも、「あのメールはどこへいったかな?」とメールのフォルダ内を探しきれなくて、紙もないから余計探せないということと同じような可能性もありますよね(笑)。だから、どういう使い方になるのかなと思っているんです。 屋代:どのプロモーターから送られてきたのか、どういう関係の人が送ってきたかは分かるわけですから、選ぶことは可能なんじゃないですか? 古賀:今まで人が介在していた部分がネットになると、やはり希薄になる部分はありますよ。だから、先ほど伺った後藤さんのプロモーションの仕方はものすごくよく分かるんですよ。1年に1回でも地方を回って顔が見えるようにする。その間で電話でやりとりしたとしても、その関係性があったらいいんですけど。 屋代:でも、メールだけ送りつけて「曲をかけてくれ」というまで図々しくもないんじゃないですかね、みなさん。 古賀:いや、そんなこともないですよ(笑)。実際にそういうことも増えていますしね。 山田:そういうプロモーションを受けた場合、古賀さんだったら曲をかけますか? 古賀:それは素材によって違います。人が介在するけども最終的にはその音楽の中身がいいかどうかですから、いい音楽だったら全然知らないプロモーターさんでも捕まえて、色々教えてもらうか、勝手にかけてしまうかですよ。 常行:これは古賀さんを否定しているわけではないのですが(笑)、おそらくFM802さんには常日頃たくさん情報が来ているからそういう発想になるのかもしれません。逆にレコード会社さんが「今後、放送局に対してサンプル盤を一切出さないようにしましょう」となったら、大変なことになると思うんです。自分たちでお店へ行って買ってこなくてはいけないですから、その経費だけでも馬鹿にならない。ですから、そこは放送局サイドも感謝の気持ちといったら変ですが(笑)、それがないと・・・。 古賀:もちろんそうですね。ただ、その「感謝」という部分にもやはり人が介在してくるんですよ。もちろんこのDGはツールとして素晴らしいんですが、このツールだけを中心に置きすぎて、いかにこれが凄いかと話し合っても、結局今までのプロモーションの仕方と何ら変わらないと思います。今の音楽業界の中で昔からの習慣が残っている部分に対して、「なぜ残っているのか?」をもう一度考えた方がいいと思います。 常行:このDGで全てがクリアにあるわけではなりませんしね。これだけでプロモーションが成立することはありえませんから。
山田:あくまでもDGは人間によるプロモーションを補完するものですからね。DGの試用の時に土岐麻子のCDを聴いていて、DGに曲を入れがてらにスタッフに「この曲知ってる?」と聞いたら、「いい曲ですね」とそこで初めてそのスタッフはLD&Kというレーベルの存在を知るきっかけになったんですよ。そういう始まりは沢山あった方がディレクターとしては素敵なことだと思うんです。音楽を作っている方から見ても、聴いてもらうきっかけが増えるということは色々なところで紹介してもらえるチャンスが増えるわけですからいいと思います。もちろん1時間のうちにかけられる楽曲の数には限界があるんですが、デジタルラジオやインターネットラジオ、携帯電話では音声ラジオ風のサービスが出てきて、音楽のチャンネルが増えるわけじゃないですか。そういったサービスが一気に増えていったときに、同じようなものを作りたいと思う人がどんどん出てくると思うんですね。そうなるともっとたくさんの人が音楽に関わってきて、色々な価値観の人が出てきて、それに触れるリスナーの人も色々増えてくる。結果、色々な人にチャンスが増えること自体でみんながハッピーになるんじゃないのかなと思うんですよ。 今は現場が疲弊しているので、DGによって番組が均質化するおそれは確かにありますが、音楽であれ放送局であれ人間一人の持つ時間を奪い合うわけですから、そんなことをやっているとメディア自体が見捨てられてしまいます。逆にこのDGがあることによって、より広い価値観のものが色々と流通していくきっかけとなればいいんじゃないかなと思います。
-2007.11.30掲載
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