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--アメリカの音楽業界の現状について伺いたいのですが。
Nakai:アメリカの音楽業界は今調子いいですね。これは音楽業界をどのように捉えるかによるんですが、レコード会社には厳しい状況かもしれません。以前とは流通の媒体が変わってきたため、固定メディアを使ったディストリビューションという形では売り上げが減っているだけで、音楽関連業界も含めて言うと、アメリカは過去10年くらいの中で一番伸びています。 どう変わってきているかというと、音楽をメインにではなく、付加価値として使ったゲームや映画、TVでの音楽の需要は増えているということです。それと同時にコンサートにおいての観客動員数や売上高も過去最高です。 --そんな中、やはりレコード会社は厳しいと。 Nakai:レコード会社は大変だと思います。レコード会社の中でも今まで出版や版権の管理を手掛けているところもあるので、そこを上手く使えば、何とかなると思うんですが・・・。映画の世界も同じなんですが、歴史的にアメリカはインディペンデントのプロダクションが多いんですね。アメリカのメジャーリリースの映画は、そのほとんどがインディペンデントなんです。要するにユニバーサルや、パラマウントといった大きな映画スタジオが直でやっているものは数としては少なくて、ほとんどがディストリビューションをやっているだけなんです。 レコード会社の強みはディストリビューションを持っていることで、それを生かしたビジネスをやらないと、将来は益々厳しくなると思いますし、今まで通りのビジネスモデルを続けていっても先行きは暗いかなと感じます。ただ、インターネット配信がどのくらい定着して、クオリティー的にどのように変わっていくかが勝負でしょうけど、レコード会社は配信によるディストリビューションにもっと力を入れて、インターネット配信業界みたいな横のつながりができればいいんじゃないかなと思います。 --アメリカでも配信の比重は大きくなっているんですか? Nakai:大きいですね。 --配信の影響で、ミュージシャンやエンジニアのギャランティーやスタジオ代が下がったということはあるんですか? Nakai:それは変わらないです。むしろ一番安い頃、2001〜2年くらいのいわゆる9.11直後より戻ってきた感じはあります。 --配信は今後どのようになっていくとお考えですか? Nakai:配信は今後ますます音質が良くなると思います。今現在もONKYOがやっている「e-onkyo music」ですと最高で24bit/96kHzまで出せます。データ転送時間の問題もありますが、それは時間が経てば解決されると思いますし、音質に関して、これからは聴く側の選択になってくると思います。 --SACDやDVD-Audioといった新しいパッケージに関してはどうですか? Nakai:音楽タイトルということでは、アメリカでもいまいち盛り上がっていないですし、難しい問題だと思います。個人的にずっと考えているんですが、DVD-Vのフォーマットでオーディオ・オンリーみたいなものを作るべきだと思うんですね。なぜかというとDVD-VのかからないDVDプレイヤーは世の中にないわけですよ。それこそPS2とかでもかかりますし、DVD-VだからといってそこにVideoを入れる必要はないんです。曲が始まったら固定の歌詞カードが出るとかにしておけばいいわけで、何故それを誰もやらないのか不思議でしょうがないんです。値段もCDと同等かそれ以下に設定すれば、そこそこ売れるんじゃないかなと思うんです。 ユニバーサルプレイヤーがあれば何でもいいんだという話になるんですが、現状で言えば、これからユニバーサルプレイヤーを買う人たちよりももうすでDVDプレイヤーを持っている人の方が多いはずです。あと重要なのはDVDプレイヤーを持っている人たちは映画を観る人たちなので、今後サラウンドのシステムが浸透していくと僕は信じているんですね。そうするとDVD-Vの音オンリーでもステレオ、サラウンドを供給できるので、音楽の楽しみ方が新しい方向に向いていくと思うんです。そのためにはタイトルをもっと作って、カタログ化するところから始めないといけないと思うんですよね。それはぜひとも期待したいですね。 --最後に、Nakaiさんが今後取り組んでいきたいことは何ですか? Nakai:僕が今、非常に興味があるのがゲーム音楽なんです。ゲームをクリアするとムービーシーン、アメリカではシネマチックと言うんですが、映画みたいなシーンがあるんですね。今までは、そこは普通にサラウンドだったんですが、ゲーム中は、プロロジック2と言って、エンコード/デコードを必要としていました。それがXBOX 360やPS3だと常時サラウンドが可能なんです。しかも、DVD-Audioと同じようにデスクリートでできるところまで来ています。 今の若い人たちはヘッドフォンで聴くことはあっても、スピーカーを2つ並べて、その真ん中で聴くということがまずないじゃないですか? ところがゲームをやるときは画面があってスピーカーが2つ並んでいる状態なんです。つまり、今、僕が考える彼らの現実的に良い音響環境は、彼らがゲームをやっているときなんです。そこでクオリティの低いものを流せば、彼らの音楽や音質に対するクオリティも下がってしまうので、僕はそのクオリティを上げたいんです。 話は違いますが、ゲームの世界は音楽の世界よりもビジネスモデルが確立されているので、契約も明確ですし、仕事が凄くしやすいんですね。今までに「ファイナル・ファンタジー IX」に始まり、「Romancing Saga」そして「ファイナル・ファンタジー 12」のクロージング・テーマであるアンジェラ・アキの「Kiss Me Good-Bye」、その後に「リッジレーサー6」などもやらせてもらいました。 --確かにゲーム音楽のクオリティは格段に上がりましたよね。 Nakai:しかもサラウンドなので非常によいかなと思います。それプラス内容的にも生のストリングスを録音して、それをそのままオーディオストリームとして出しているので、エンジニアとして映画音楽の仕事をやるための登竜門にもなるんじゃないかなという気がするんです。また固定媒体が売れていない中で、ゲームのサントラは非常に良く売れていますしね。 --ゲーム自体があれだけ売れるわけですからね。ちなみにギャラは良いんですか?
Nakai:もちろん良いものもあればそうでないものありますが、プロジェクトに興味があれば僕はやるべきだと思うんです。また「安かろう悪かろう」を許してもらえない業界なんですね。彼らはマーケットが世界で、相手はEA(エレクトロニック・アーツ)やマイクロソフトなどで、今までは日本のゲームのクオリティが断トツだったんですが、少しバランスが崩れつつあるようで、今はお互いのクオリティに追いつけ追い越せという状態なんです。ここはナムコさん、スクウェア・エニックスさん、コナミさん、セガさんといった国内メーカーさんに頑張ってもらいたいなと思いますし、その中で少しでもお役に立てればいいなと思っています。
--本日はお忙しい中ありがとうございました。これからも日米を股にかけてのご活躍をお祈りしております。 |
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