Musicman-NET SPECIAL REPORT 小室哲哉氏文字

どっちを選ぶ?配信とパッケージ

小室哲哉氏写真 --つまり非常に素朴に言うと配信の音をもう少し良くしていこうということですよね。

TK:そうですね。配信の音を良くしようというのと、それから今後CDはどういう立場になればいいのか、ということに対する認識、確認ですかね。

--CDというメディアをもうやめて、DVD-AudioとかSACD等次のメディアに移行していこうよということでは・・・。

TK:そういうことではないですね。

--では、CDはCDとしてこれからも存在し続けると思われますか?

TK:そうなるかならないかは、ユーザーが決めていけばいいのかなと思ってますね。ただ、これからCDがどこにいくのかは、僕も分からないので確認したいというのはありますね。その辺りに関しては、僕が何もかも分かっていて、だから「こうしなさい」ということでは全くないですね。

--そこはまだ小室さんにも見えていない?

TK:見えていないということですよね。ただ、ダウンロードミュージックということに関して言えばすごく見えてますね。

--今のこんな音じゃ全然駄目だと?

TK:ええ。音は良いものが、もうできているわけですからね。あとはiTunesのような問題がありますよね。日本だけ売れないとか、ショップが開けないっていうこととか。パッケージに例えて言うと、ミュージックストアがオープンできないということですからね。でもなんだかんだ言っても、Virgin MEGA STOREやHMV、TOWER RECORDSといった外資系のミュージックストアもその昔日本にはなかったですけれど、入ってきて普通に定着しているわけですから、それは何でも一緒だと思いますね。食品産業、化粧品産業、その他様々な外資のものが入ってきて、ローカライズするという意味では一緒だと思います。なので配信ということでは、やっぱりその可能性の大きさの想像がつきますよね。

--小室さんの予想では将来ダウンロードが中心になっていくと。

TK:パッケージのCDっていうフォーマットはもうちょっと違うかもしれませんね。

--パッケージにはもうあまり可能性を感じていない?

TK:いわゆる書籍とかとはちょっと別だと思います。例えば立派な装丁の書籍が本棚に置いてあるのと、CDが並んでいるのを比べた場合、CDの場合も価値はあるのかもしれないんですけど、何か違うんですよね。きっと、みなさんが感じてるものも多分一緒だと思いますね。アナログ盤が並んでいる感じに比べたら、CDがたくさん並んでいるということに対して、あまり感動しなかった気がするんです。CDがバーッと置いてあって、「うわぁすごいですね」っていう風にはあまり思わなかったような気がします。でも、相変わらず書籍とかは、テレビのインタビューとかでもよく評論家の人や教授の後ろに必ずといっていいほどあって、きっとみんなそれに価値を見いだしていると思うんです。そういう意味でも、やはり(パッケージのCDマーケットは)ますます小さくなっていくということになりますかね。

--さんざん言われてきたことですが、何故音楽業界がCDから次のものへ移行できなかったかに関して、小室さんはどう思われますか?

TK:それに関しては、僕も責任の一端になっていると思います。やはり大量コピー、大量生産という方向に向かわせてしまったということです。自動車産業における、一時期の日本やアメリカとかと似てるところがあるかもしれないですね。拡げるだけ拡げてしまったというところがあると思います。一番最大級の需要に合わせてしまって、下げるわけにはいかないところがありましたね。

--もう産業全体の問題としてですね。

TK:プレス工場で一生懸命紙ブックレットを入れてくれてるおばさん達とか、そういう人達のことも含めて、産業自体の縮小というのが大きな問題だったんじゃないかなと思います。ハード、家電の方も同様でしょうね。移行してしまうと「えっ、CD家電はもう全部無しかよ」みたいなね。

--日本でダウンロードミュージックが浸透しないというのは、レンタルというものがここまで普及してしまっている影響が大きいからだという方もいますが?

TK:そういう事をおっしゃっている方も沢山いらっしゃいますね。まぁそれも間違いない事実でしょうね。

--加えて権利関係が非常に複雑であるということと同時に、すでに音楽を手に入れるのにもう高いお金を払わないという感覚が、今の若い人たちには根付いてしまっている気がしますが?

TK:ナップスターの問題というのが5年ぐらい前でしょうか。状況として現在の日本は、そのナップスター辺りのことが今やっとおきているような感じがします。そのぐらい、日本はそういうところがちょっと遅れているのかなと思います。あるいはいわゆる携帯ビジネスが先に特化、突出してしまったのも一因かもしれません。

--今回の試みが日本のレンタルシステムに与える影響というのは?

TK:要は、選択肢が増えるということですよね。「Aしかありません」と言うようりは、「Bもあったらどうしますか」ということです。いい音というのがある程度分かっているプロがエンコードしてくれ、それでもなおわざわざ労力をはらってレンタルショップに行くのか?しかも金銭的にもリーズナブルだったとしても、若い人達はどちらを選ぶのかな? ということです。

--選択はユーザーにまかせようと。

TK:そうですね。レンタルショップで、パッケージになるまで、どんなに早くても一週間から10日かかりますよね。きっとスピード感だったらおそらく、(レンタルショップは配信システムに)抜かれるでしょう。

--日本においてレンタルショップ自身は、CDのレンタルをやめたところでそう影響はないように思えますが。

TK:そうですね、DVDとかまた新しいものもありますしね。その辺りもレンタルショップ側の方達も分かっていらっしゃると思いますけどね。(CDが)もう違ってきてるのは分かっているでしょうね。



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