SPECIAL REPORT & INTERVIEW

「海外公演に向けて、日本アーティストがすべき準備とは」
【13th TIMM】レヴァレント・ムース氏×アソビシステム・中川悠介氏×ZAZA・南部喨炳氏×BBC Radio 3・ニック・ラスコム氏

【13th TIMM】「海外公演に向けて、日本アーティストがすべき準備とは」
第13回東京国際ミュージック・マーケット(TIMM)ロゴ<モデレーター>
Marauder / Co-Founder
Rev.Moose / レヴァレント・ムース (写真左)
<スピーカー>
アソビシステム株式会社 代表取締役社長
中川 悠介 (写真中左)
株式会社ZAZA 代表取締役 / 株式会社FYD 取締役
南部 喨炳 (写真中右)
Broadcaster/BBC Radio 3
Nick Luscombe / ニック・ラスコム (写真右)

 文化と同じく日本音楽の独自性は海外進出において有利にも不利にもなりえる。世界各国をかけまわる音楽業界のベテラン達が、日本のアーティストが海外のファンベースを作る際に直面する様々な障害について語るセッション「海外公演に向けて、日本アーティストがすべき準備とは」。北米で世界のアーティストをデベロップするスペシャリスト・Rev.ムース氏をモデレーターに、スピーカーとして、きゃりーぱみゅぱみゅや日本カルチャーイベント「もしもしにっぽん」を手掛けるアソビシステム・中川悠介氏、MAN WITH A MISSION(以下 MWAM)をマネージメントするZAZA・南部喨炳氏、そしてBBC Radio 3・ニック・ラスコム氏が登壇した。
2016年11月18日掲載

きゃりーぱみゅぱみゅとMAN WITH A MISSIONのグローバル展開

ムース:今回のテーマは「海外公演に向けて日本アーティストがすべき準備とは?」という事ですが、これは非常に包括的な、大きなテーマだと思います。日本人アーティストが世界に目を向けるにあたって、まず一番最初に何をしなければいけないのか?というお話からしていきたいと思います。

中川:僕たちは元々日本のカルチャーが世界から注目されていると思っていたんですね。僕は原宿という街に事務所を構えていますが、原宿に来ている外国人や、原宿に行ってみたいと思っている外国人のたくさんの意見を聞いていて、やはり原宿のブランドを日本オリジナルとして注目した外国人がいるというのは、すごく大きなことだと思いましたし、作り出す音楽だったり、PVの世界観だったり、日本人の作るクリエイティブの凄さみたいなものがあるんじゃないか? とずっと思ってきました。

そこで増田セバスチャンという原宿カルチャーを代表するアートディレクターがいるんですが、彼をきゃりーぱみゅぱみゅのPVに投入して映像自体の色味だったり、世界観を細かく作り込んでいきました。そして、YouTubeにアップしてみたら、世界中から多くの反応が来たのが第一歩でした。きゃりーはバンドではないので、PVだったり、本人のSNS発信だったり、見せていくことをすごく重要視してやっていました。

ムース:インターネットに素材をアップロードするというのは、世界に発信するための手軽な方法ですよね。

中川:当時の日本はPVをフル尺でアップするということ自体、懐疑的な意見が多かったんですが、世界に広めていくためにどんどん出していきました。彼女が最初にPVをアップしたときは、ケイティ・ペリーやリンキン・パークが「このPV超面白い」とツイートしてくれた影響で拡散していったんですが、ファッションマガジンの『DAZED & CONFUSED』の表紙をやらせてもらったのもすごく大きかったです。アジアのポップカルチャー特集みたいな号だったんですが、そのときはすごく反響がありました。やはり音楽だけでなくファッションとリンクして世界に出ていったのかなと思いますね。

ムース:南部さんが手掛けてらっしゃるMWAMは、おそらく外国人が考える典型的な日本人アーティストとは違うと思います。それを踏まえた上で、どのようにグローバル展開されていったのでしょうか?

南部:MWAMは日本のアーティストという言い方も中々難しいのですが、彼らがどうやって日本以外のエリアで活躍していくかを考えたときに、様々な壁がありました。想像してみてください。日本のアーティストでこれまでビルボード、グラミーを獲ったロックバンドはいませんでしたし、きっちりとした形で世界中に知られる日本のロックバンドはいなかったように思います。そこには言語の壁、人種の壁、宗教の壁とかいっぱいあると思うんですね。ただMWAMはそういった壁をぶち壊せるんじゃないかなと自分自身は思っておりますし、その上で重要なのは、やはり言語力だと思っています。

また、日本を推していく手段の一つとしてニッチ戦略があるかと思います。日本の音楽で言えばヴィジュアル系やアニソンなどがそうですね。自分自身もすごく愛着がある音楽ですし、良いものをクリエイトしてくださっていると思うんですが、それが果たしてマスにリーチしているのかと言えば、そうではないんじゃないかなと思うんです。例えば、oasisは英国出身のバンドですがどこから来たバンドなのか特に意識せずに聴いていたと思います。国や国籍、民族などそういったものを淘汰できるというか、どこから来たものか気にせずに評価されるのが、音楽が持っている本来の良さであり、そういった普遍的なメインストリームできっちり評価されるようなものを、日本人のチームで輸出していきたいという思いが強くありますね。