SPECIAL REPORT & INTERVIEW

各社新人開発スタッフが語る“アーティストの才能を見抜くコツ”
SONIC ACADEMY FES 2016「デビューを目指すアーティストのための”オーディション必勝講座”」開催

SONIC ACADEMY FES 2016「デビューを目指すアーティストのためのオーディション必勝講座」
ソニーミュージックによるエンタテインメントの学びの祭典「SONIC ACADEMY FES 2016」の公開プログラムとして、各レコード会社の新人開発スタッフが今求められているアーティスト像や審査のポイントを語る「デビューを目指すアーティストのための”オーディション必勝講座”」を開催。オーディションのマル秘情報はもちろん、これまで関わってきた有名アーティストとの裏話や業界あるあるなど、第一線で新人開発に携わるスタッフならではのリアルな意見が次々と語られた。
2016年11月2日掲載


◆参加パネラー陣(写真左から)
・ソニー・ミュージックエンタテインメント SDグループ 須藤一希氏
・ソニー・ミュージックアーティスツ(SMA) 開発部 冨永周平氏
・エイベックス・マネジメント株式会社 代表取締役社長 伊東宏晃氏
・ビクターエンタテインメント 制作本部ADグループ 奥口法子氏
・ヤマハミュージックパブリッシング 音楽出版部 RDグループ 石田裕一氏
・ソニー・ミュージックエンタテインメント Red Project 加茂啓太郎氏(元ユニバーサル/Great Hunting)

・司会・進行 ハグてっぺい氏(浅井企画 / 渋谷gee-ge. / イベントプロデューサー)

オーディションだけじゃない!始発電車で出会ったUNISON SQUARE GARDEN

ハグ:まずご自身のキャリアの中で出会った時に印象的だったアーティスト、そしてその印象を教えて下さい。

須藤:今日はビクター ADグループの奥口さんもいらっしゃいますが、自分の中で一番印象に残っているアーティストは、最近ビクターさんからメジャーデビューした「雨のパレード」です。一昨年、下北沢のライブハウスで見て「このバンド良いな」と。特にボーカルが、オーラというか雰囲気をまとっていて、「これはいける!」と思ったんですけど、同時にビクターさんも声をかけていて、最終的にバンドがビクターさんを選んだと、よくある話ですがやはり悲しいですね(笑)。

ハグ:では、お隣の冨永さんはいかがですか?

冨永:SMAは音楽事務所でもあるんですが、芸能事務所でもありまして、役者さんも声優さんもいます。僕は元々東京スカパラダイスオーケストラのマネージャーをやっていて、新人はそれまでやったことがなかったんです。それがある日、上司から「新人を探してきてほしい」と言われて、だんだんと今の仕事になっていきました。その中でオーディションではない出会いを2つ軽くお話します。

1つは電車の中です。総武線の始発電車でギターを抱えた男の子が座っていて、「ルックスがいい男子だな」と思って、彼の前に座るわけですね。ギターケースに聞いた事もない名前のバンドのパスが5枚くらい貼っているので、おそらくそのバンドのメンバーなんだろうと。普段だと声をかけたりすることもあるんですが、その日は会社に行ってパソコンで検索して「UNISON SQUARE GARDEN」というバンド名が出てきまして、それがボーカル&ギターの斎藤宏介くんだったんですね。2006年の5月でした。その直後に下北沢のライブハウスに行ったら、まだ数人しかお客さんがいないような感じだったんですが、とにかく顔が良かった(笑)。僕らはギターとか楽器を背負っている子は結構どんな人なのかを見ます。電車の中でも道ですれ違ってもわざわざ覗きに行ったりとかします。

ハグ:その後、ユニゾンにアポをとったんですか?

冨永:ライブハウスで観て「良いな!」と思って、そこから1年以上ずっと口説いていたんですが、当時はメジャーデビューする気が全くなかったらしく、その間にも色々な事務所から声がかかったそうですが、最終的に我々を選んでくれました。ありがたいですね。

ハグ:最初に総武線で見つけた冨永さんの手柄になったと。ご縁が実ったわけですね。

冨永:そうですね。もう1つは、日テレの『音燃え!』という高校生が勝ち抜くバンド合戦みたいな番組にパンクロックのバンドが出ていて、「かっこいいな」と思ったんですよ。そのしばらくあとに漫画家のみうらじゅんさんの高校時代を描いた映画のオーディションで主役の男の子を探していて、パッとその番組に出ていたバンドのボーカルの子のことを思い出しまして、それが「黒猫チェルシー」なんですが、当時高校2年生だったのかな。2008年の2月です。

「絶対この子はピッタリ合う」と思って、日テレさんに問い合わせたら「そういう青田買いみたいなことは出来ませんので、連絡先は教えられないです」と言われるわけです。それはそうですよね。ですから「黒猫チェルシーではなく、あのボーカルの子にオーディションを受けさせたいんです」と言って連絡先を教えてもらって、本当にヤラセも何もなくオーディションを受けさせたんです。そうしたら、2,000人の中から渡辺大知が選ばれて『色即ぜねれいしょん』の主役で日本アカデミー賞の新人俳優賞を獲るんですよね。僕らはなるべくアンテナを張って、「ピンと来よう」と思ってます。ピンと来る子は何かしら出していると思うので、出し続けてくれればテレビの片隅でも僕たちは見ているんです。