4. アメリカで売れる条件とは?

--9年もJapan Niteを続けられて苦労も多かったと思うんですが、少しずつ参加者や理解者も増え、状況は良くなってきている今の課題は何だと麻田さんはお考えですか?

麻田:僕らの出来ることはアーティストを紹介することであって、その後ビジネスとしてやっていくのは別問題じゃないですか? それがなかなか難しいですね。

--ビジネスで成功するかしないかは本人達次第?

麻田:本人達もそうですし、事務所だって向こうに行くのにお金がかかりますしね。

--ちなみに、この9年間で一番手応えのあったアーティストは誰ですか?

麻田:自分で言うのも何ですが、ペティ・ブーカというのをやっていまして、去年1枚アメリカのインディーズからCDを出して、4000枚くらい売れたんですよ。今年新しい作品を作って3社くらいからオファーがあって、それを今年の秋に出しツアーをやろうと考えています。あとスプージーズというバンドがいて、「これは行けるだろうな」と思って、向こうでツアーを1回やってCDも出したんですが、解散してしまったんですよね。

--確かにスプージーズはアメリカで売れそうな感じでしたよね。

麻田:実際アメリカでウケたんですよ。惜しかったですね。

--アメリカで通用するには何が必要なんでしょうか?

麻田:レコード会社も言うんですが、年に2回ぐらいツアーをやって、草の根運動みたいな形でお客さんを増やしていくことは、アメリカのインディーズにおいて売れる必要最小限の条件なんです。

--年に2回のツアーが最低条件ですか…。

麻田:それは結構辛いですからね。

--言うのは簡単ですが、やるとなると大変ですよね。

麻田:僕は50日間で45カ所回ったことがあるんです(笑)。アメリカは広いですから下手したら10時間ぐらい車で走るんですよ。向こうはライブが始まるのが遅いですから、終わるのが2時とかそのくらいで、その後にバンドは自分でTシャツやCDを売って、楽器を片づけて、移動の途中にモーテルを見つけて…その繰り返しです。

--寝る時間がないですね(笑)。

麻田:でもライブが始まる時間が遅いですから、それが救いですね。

麻田浩スペシャル5 --その時はアメリカ中を回ったんですよね。

麻田:そうです。車が途中で故障したり大変でした(笑)。

--聞くだけだと楽しそうですけどね(笑)。

麻田:本当に大変ですよ(笑)。10時間の移動といったら日本だとへたしたら東京〜福岡くらいでしょう? ライブが終わって福岡まで移動して、次の日にまたやるんですよ(笑)。それが連日ですからね。

--でも、そういうようなことをみんなやっているわけですよね。

麻田:そうです。

--それをやり通す根性がないと、全米からは出てこれないんですね。

麻田:一時くるりが向こうへ行きたいと言ったので、一緒にツアーを回ったんだけど、彼らもすごく驚いていましたね(笑)。

--物理的にアメリカは広いですからね。まず必要なのは体力ですか(笑)。

麻田:本当にそうですよ(笑)。

--音楽的にいうと受け入れられる日本のバンドの特徴はありますか?

麻田:アメリカはすごくオリジナリティを重視しますから、何かの真似というのは糞味噌に言われてしまうじゃないですか?(笑) だからどこかで自分たちのアイデンティティ、独自性をアピールできるかどうかが重要ですね。一時期ボアダムスや、最近ではmonoというインストのバンドがいるんですが彼らとかが良い例ですよね。あとギターウルフは当初ラモーンズぽかったけれど、何度もツアーをする中でギターウルフという色を自分たちで作ったから、ここまで人気が出たんでしょうね。大体どこへ行ってもギターウルフのことは知っていますからね。

--ゴルフと同じように向こうで勝つには、アメリカに生活の拠点を移して、本気でやらないとそう簡単にはいかないんですかね。

麻田:当然日本のバンドは、日本でも売れないとビジネスとしては成り立たないので、アメリカに誰かが居ればいいと思っているんです。僕も今まで「レコードを出してください」と色々なところへ行きましたが、なかなか上手くいかないんですね。1つは年に二回くらいのツアーですよね。ピチカートをやっていたときも「年の半分はアメリカに住んでくれ」と言われたりするんですが、そこまでしなくてもアメリカにキチッとした会社があって、年間のスケジュールが組めればいいと思うんですよ。ですから僕の次のステップとしては向こうに日本人アーティストを紹介する会社を作ることが必要なのかなと思っています。