3. インディーズの可能性

麻田浩スペシャル4 --日本人アーティストの申込は年々増えてきていますよね。

麻田:増えてきていますね。

渡辺:今年は72テープが送られてきました。

--それをSXSW ASIAで絞り込むんですか?

渡辺:いえ、それはアメリカの本部が絞り込むんです。

--ということは本部には世界中からテープが集まってくるんですか?

渡辺:8000本集まるそうです。

--それを何人で審査するんですか?

麻田:3、4人とか言っていたかな?

--3、4人ですか?! それは大変そうですね。

麻田:すごく大変らしいですよ(笑)。

渡辺:しかもプレッシャーがすごいらしいですからね。

--ということは、麻田さんと渡辺さんが考えていたアーティストと違うアーティストが選ばれたりすることもあるわけですか?

麻田:そうですね。彼らは僕らの聴き方と若干違うんですよね。

渡辺:それが面白いところでもありますね。

--日本ではメジャーなアーティストでも選ばれなかったりとか?

麻田:向こうではメジャーもインディーズも関係ないですからね。

渡辺:ですから全然知らないバンドがトップクラスで入ってしまったりするんですよ。

麻田:つまり何のバックグラウンドがなくてもチャンスがあるということです。

--純粋に音だけで評価してくれるんですね。

麻田:そうですね。

--ショーケース・ライブをやって、世界中の音楽関係者との商談成立の場所を与えるということなんですか?

麻田:そうですね。僕らに関して言えば、ブースを作ったり、サンプラーCDを作ったりしています。このカンファレンスに参加する一般の人は300ドルくらいかかるんですが、色々なものをもらえて、その中にサンプラーCDとか一杯入っているんです。僕らも日本のサンプラーCDを作って、資料と一緒に出しています。

--今の規模だと何枚くらい作るんですか?

麻田:お金を払って参加する人が1万人くらいいるので、その分を作ります。

--海外からも来るんですか?

麻田:ヨーロッパからも来ます。北欧がすごく熱心で、毎年サンプラーCDを入れていますね。

--先日の新聞に「JETRO(日本貿易振興機構)がMIDEMに協力する」といった内容の記事が出ていたのですが、ずっと昔から麻田さんは「日本の音楽ビジネスを世界に広げていくのに、なんで国が力を貸さないんだろう?」と仰っていましたよね。

麻田:というのはフランスでもスカンジナビアでも外貨を稼ぐために国がお金を出してくれているんですよ。フランスの場合は著作権の収入の何%はフランスのアーティストの海外進出のために使いなさい、という法律が確かあるんですよ。

--フランスのJASRACみたいなところが、そういう管理をしているんですか?

麻田:フランス政府の方針のようです。カナダもそうです。フランスの音楽の海外進出はイギリスと違って苦戦しているみたいで。

--言葉の壁ですか?

麻田:それもありますが、音楽的にもフランスはちょっと違うから、なかなか苦労しているみたいで、そこを国家が援助をしているわけです。

--SXSWはJETROからの援助はないんですか?

麻田:今回初めて参加します。何故かというとJETROは今まで物を売るお手伝いをしてきたわけですが、これからは知的財産権というもので日本は生きていかなくては駄目だろうと認識しているためでしょう。

--気づくのがものすごく遅いですよね(笑)。

麻田:そうしたことは外国ではどこもやっていて、アニメもそうだし音楽もそうだろうし、映画もそうです。

--「ひょっとして日本の音楽も可能性があるのでは?」とJETROもようやく気が付いてきたような感じですね。

麻田:特にアニメの音楽はすごく外貨を稼いでいるんです。

--そして今回初めてSXSWにも援助をしてくれるわけですね。

麻田:そうです。ブースを出してくれたり、出演者を紹介するCD付小冊子を作ったりとか大変な協力体制を敷いてくれています。そこいらへんは渡辺の方が詳しいです。

渡辺:何故JETROが支援をしてくれるようになったかというと、麻田さんが先ほど言ったように時代の波ということもありますし、海外に音楽コンテンツを持っていくときにメジャーとインディーズを較べたら、インディーズの方が契約において自由でフットワークが利くので、可能性があるんじゃないか? と経済産業省やJETROは考えているんですね。で、今パッケージを売るより配信も可能だし、配信する際にレスポンスよく反応できるのは、メジャーよりもインディーズの方ですから、ある意味で将来インディーズの方が可能性があるので、海外に音楽コンテンツを輸出する実験場としてSXSWが選ばれたんです。今までSXSW ASIAのブースは4畳半くらいの大きさだったんですが、今年はその4倍くらいの大きさのブースがJETROの参加で出せるようになりました。あと前述のサンプラーCDもJETROの製作です。

--そういう風になるまでに10年近くかかったわけですね。

麻田:そうですね(笑)。

--役人の中にも理解ある人たちがいるんですね。

渡辺:話してみると「大学時代ドラムを叩いていた」とか結構いるんですよね(笑)。

--今後「SXSW Japan Nite」に対してJETROからの支援は増えていくんですか?

麻田:今年やってみてでしょうけど、そうなってくれたら心強いですね。