SPECIAL REPORT & INTERVIEW

3年目に突入する「山口ゼミ」、大型タイアップも決まるなど修了生は活躍中
山口哲一氏×伊藤涼氏 対談

山口哲一氏
プロデューサー 山口哲一 氏
伊藤 涼
音楽プロデューサー 伊藤 涼 氏
株式会社バグ・コーポレーション代表取締役
山口 哲一(やまぐち・のりかず)
音楽プロデューサー
伊藤 涼(いとう・りょう)
 いよいよ3年目に突入した「山口ゼミ」。プロレベルと判断された修了生が参加しているCWFでコーライティング(共作)した楽曲がNEWSのシングル「KAGUYA」のカップリング曲に選ばれるなど、大きな成果を残している。また、キティ伊豆スタジオに泊まり込みでデモテープを完成させる「コーライティングキャンプ」も行い、来年は100人規模での実施も予定しているそうだ。着実に実績を重ね存在感を高めている「山口ゼミ」の精力的な試みについて、ゼミを主催する山口哲一氏、そして音楽プロデューサー 伊藤涼氏が対談を行った。
山口 哲一(やまぐち・のりかず)
音楽プロデューサー/コンテンツビジネス・エバンジェリスト/(株)バグ・コーポレーション代表取締役

1964年東京生まれ。『デジタルコンテンツ白書 (経済産業省監修)』編集委員、プロ作曲家育成「山口ゼミ」主宰、「Start Me Up Awards」オーガナイザー。SION、村上“ポンタ”秀一、佐山雅弘、村田陽一などの実力派アーティストをマネージメント。東京エスムジカ、ピストルバルブ、SweetVacationなどの個性的なアーティストをプロデューサーとして企画し、デビューさせる。プロデュースのテーマに、ソーシャルメディア活用、グローバルな視点、異業種コラボレーションの3つを掲げている。2011年頃から著作活動も始め、パネルディスカッションのモデレーターやコンテンツ系ITサービスへのアドバイザーとしても活躍している。著書に、『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』(ふくりゅうと共著/ダイヤモンド社)、『ソーシャル時代に音楽を“売る”7つの戦略』(共著/リットーミュージック)、『プロ直伝!職業作曲家への道』(リットーミュージック)、『世界を変える80年代生まれの起業家』(SPACE SHOWER BOOKs)、『DAWで曲を作る時にプロが実際に行なっていること』(リットーミュージック)がある。
Twitterブログ詳細profile

伊藤 涼(いとう・りょう)
音楽プロデューサー

2001年にJohnny's Entertainmentに入社し、近藤真彦・少年隊・KinKi Kidsのディレクターを経て2004年にはNEWSのプロデューサーに着任。修二と彰、山下智久のソロ、テゴマスの海外デビューなども手掛ける。2009年に株式会社マゴノダイマデ・プロダクションを設立後は、作詞研究室リリックラボなどの音楽に関する企画運営をしながらフリーのプロデューサー/作家としても活動。「ここにいたこと (AKB48)」「走れ!Bicycle (乃木坂46)」の作曲者。山口ゼミの副塾長/コライティングファーム(CWF)のヘッドディレクターも務める。著書に『作詞力』(リットーミュージック)がある。
Twitterブログ株式会社マゴノダイマデ・プロダクション作詞研究室・リリックラボ

NEWSのシングル カップリングに採用

—— 「山口ゼミ」も3年目に突入ですね。

山口:そうですね。2013年1月から始めたので、3年目になります。第7期まで終わって、受講生はのべ136人になりました。

伊藤:あっという間でしたが、たくさんの出逢いと、一歩一歩しっかりとした前進が実感できる2年でした。

—— コンペでの成果が出ているそうですね。

山口:最近は、山口ゼミ&CWFへの指名コンペに近い形の発注も増えてきましたね。あそこに出せば楽曲のクオリティは担保される、という信用はできてきたみたいです。

伊藤:僕らの耳には入りづらいけど、業界内でもかなり意識される存在になってきているんじゃないかな(笑)? っていうのは半分冗談なんですけど、そろそろ見つけてもらえる存在にはなってきているんじゃないかなと思います。声をかけて頂くことは増えました。

山口:アニソン系のコンペでも、A&Rからキープ(決定前の候補曲になること。他のコンペに流用される場合もある)される率が高くなってきました。

伊藤:そうですね。

山口:でも、最新のトピックスは、NEWSで採用されたことですかね。

伊藤:ですね。1月7日発売のシングル 「KAGUYA」のカップリング曲に選んでいただきました。

山口:この「TRAVeLiNG」は、1期生安楽謙一と3期生瀧口系太がコーライティング(共作)した曲ですね。瀧口は編曲もしています。

伊藤:そうですね。なんだかんだで半年くらい修正したりブラッシュアップしたりして磨いてきた作品でした。最後は歌詞をリニューアルして収録された最終形になりました。いままでのNEWSにはなかった面白い世界観をもった楽曲として、提案できたんだと思っています。まだ詳しいことは言えないんですけど、他にも大物アーティストのA面も決まり始めていますよ。

—— クレジットにも表記されているCWFというのは?

山口:Co-Writing Farmの略です。山口ゼミを修了した時に、僕らがプロレベルで活動できる能力が備わったと判断できる人だけをメンバーにしています。山口ゼミのOBOG会でもあるので、懇親会的なこともやりますが、次世代型の作家エージェントの機能も有しています。

伊藤:そうですね。月1でミーティンングをして近況報告はもちろん、制作曲を聴いたり、コンペ情報を共有したりしています。基本的に各メンバーはインディペンデントなマインドを持つことを推奨しているので、自分たちでどんどんコーライトして、できた曲を持って「ここにプレゼンしてください!」って来いってスタンスです。メンバーたちからの意見も聴いて、「じゃー次の3カ月はアニソンを徹底攻略しよう!」みたいなこともしていますね。

山口:活動を制限するような拘束は一切無いので、事務所などに入っていてもOKです。希望者には事務所を紹介したりしています。

伊藤:今の作曲家たちはベッタリなマネージメントよりも、ある程度の自由度があるコミュニティのなかでソーシャルに動くほうが成長にも、結果にもつながると思うんです。「本当のことを伝える」のがマネージメントの大きな役割だとすると、CWFはちゃんとそこはできているし、囲い込むようなやり方はもう古いと考えています。

山口:CWFも設立して1年を超えて、メンバーが40人位になっているのですが、コミュニティの力って凄いなって思います。一対一の関係だけでは起きないような、成長の仕方をしますね。やはり情報の共有、刺激を与え合って、切磋琢磨するというのは、クリエイターにとって大切なんですね。

伊藤:そうですね。コーライティングという制作方法は彼らのプロ意識も高めますし、ただの仲良しグループではない、戦友という気持ちにさせますね。いままで孤独だった作業をチームで戦うようになるって、職業作家としてはかなり新しい感覚ですよ。

—— そのコーライティングについて教えてください。

伊藤:簡単に言えば共作です。それぞれに強みを持ち寄って、独りではできない事をチームワークで完成させる。それってベルトコンベア式の流れ作業じゃんって思われる人もいるんですが、そうじゃないんです。持ち寄った物をぶつかり合わせて化学反応を起こすことがコーライティングなんです。

山口:いろんなやり方があります。日本では、まだ一般的ではないので、コーライティングの効用とやり方を伝えるために、来年リットーミュージックから書籍を出版予定です。タイトルは未定ですが、伊藤さんとの共著になります。

伊藤:この本もコーライティングですから、ケミストリー起しましょうね(笑)

山口:我々2人のコーライティングでコーライティングの教科書を書くということですね(笑)。