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 OASISのメジャーデビューへのきっかけとなったことで知られるイ ギリスの音楽コンベンション「IN THE CITY」をモデルに、音楽制作者連盟 (FMP)が、1999年から東京渋谷でスタートさせた音楽産業の次代を担う新人アーティストの発掘を主眼とした都市型ミュージックフェス『in the city TOKYO』。
昨年から佐藤剛氏を実行委員長に迎えたことで、その内容・コンセプトは飛躍的な発展を遂げ、今年のin the cityは過去最大規模の音楽イベントとなっている。
常に現在の音楽業界の根本的な問題にまで目を向け、問題提起をし続ける佐藤氏が提唱する「J-STANDARD」とは一体何か、また来月1日より開催されるin the city TOKYO 2004を目前に控え、その魅力について佐藤氏にお話を伺った。

[2004年9月6日/目黒区下目黒 ファイブ・ディー(株)にて]
佐藤氏
▼プロフィール
佐藤剛(さとう・ごう)
ファイブ・ディー株式会社 代表取締役社長/
(社)音楽制作者連盟 理事 in the city TOKYO 2004 実行委員長
1952年岩手県生まれ、幼稚園から高校まで仙台で育つ。
1974年に明治大学文学部演劇科卒業後、週刊ミュージック・ラボの営業・編集・ライターを経て、1977年からアーティスト・マネージメント及びプロデュースに携わる。
1982年、ファイブ・ディー株式会社を設立。
1988年から本格的にプロデュース業を開始。
プロデューサーとしてTHE BOOM、ヒートウェイヴ、中村一義、SUPER BUTTER DOGなど多くのアーティストを手がけている。
2002年、東芝EMI、ロードアンドスカイ・オーガニゼイションとともに株式会社ファイブスターズを設立。 また2003年より「in the city TOKYO」の実行委員長を務める他、様々な形で「J-Standard」の企画を行い、J-Standard RADIOの企画/番組出演の他、レコードメーカー5社から5枚同時発売というテーマ別「J-Standard」コンピレーションアルバム等を制作。

■in the city TOKYO2004:10月1日(金)〜10日(日)開催
<Official web> http://www.inthecity.jp/live/index00.html



【INDEX】
音楽業界への危機感と使命感から生まれた in the city
現実とのズレをどう補正するか
CDが売れまくった90年代から、音楽業界全体が「あがいている」今の状況になったわけ
「J-STANDARD。」の誕生
今こそ必要なのは、「文化としてのポップス」「カルチャーとしての音楽」
「J-STANDARD」の流れをたどる「J-UNDERGROUND」をはじめ、様々な文化・音楽とコラボレートする今年のin the city TOKYO
これからのin the city TOKYOの向かう先
in the cityの裏テーマ−音楽が生まれる瞬間に立ち会えること、同じ文化的空間を共有すること

音楽業界への危機感と使命感から生まれた in the city
--佐藤さんが実行委員長に就任されてから、今年で2年目を迎えるわけですが、今年は過去最大級の規模と伺っております。

佐藤:そうですね。今年の規模は過去最大だと思います。ただ、やってみないとわからないことがあるんですけどね。

--in the cityが始まったのはいつなんですか?

佐藤:正確に言うと99年ですね。プロトタイプというのが一回あって、2000年から本格的に始まったんです。

--最初は誰が実行委員長を?

佐藤:最初は、今の理事長の糟谷さんがこのアイデアを出したんだと思います。イギリスのリバプールで1992年から行われている音楽コンベンションにアイディアを得て、そこからin the cityという名前も許諾していただいて、始められたというふうに伺っています。

-- in the cityというイベントを国内で立ち上げるにあたって、その目的というのは何だったんでしょうか?

佐藤:当時は音楽業界の表面上の華やかさの裏側の内実というのは、かなり危ないところまで来ていて、新しいアーティストをどんどん発掘して活性化していかなければいけないな、と皆が危機感を持っていた状況だったんですよ。我々のやっている音楽制作者連盟というのは、基本的にはいわゆる『芸能プロダクション』ではない、ある種こだわった作品を作り続けている音楽プロダクション・原盤制作会社が中心になってできた団体なんです。in the cityをはじめた当初は、あくまで音楽業界内の話ですから、いわゆるレコード会社や事務所や出版社を中心に音楽業界の方達が集まって、自分たちが育てている新しいアーティストをみんなに見ていただいて、その中で様々な交流をえながら世に出していくという趣旨で始まったんですね。

--なるほど。

佐藤:ただ、 in the cityを始めた当時は、音楽業界の構造がまだ幸せな時代だったんです。いわゆるメジャーなレコード会社っていうのがトップにあって、それをヒエラルキーの頂点として大手の出版社とか大手のプロダクションが下にあって、またそれを支える形でコンサートをやるイベンターなり関連した機材会社があり、スタジオがあり、音楽制作の様々なビジネスが成り立っている。つまり事務所が新しいアーティストを見つけて育てて、メジャーのレコードメーカーがそれをさらに発見して世に送り出す、というのが音楽業界全体の使命だとされていたんです。それで99年ぐらいに『新しい才能をいい形で世に送り出す』っていうことを始めなければいけないんじゃないかと。そんな目的で、6年前に渋谷のライブハウスを中心にして、in the cityを音制連が始めたわけです。

--最初は新人アーティストの見本市のような趣旨で始まったイベントだったんですね。

佐藤:そうですね。いわゆるニューカマー・新しいアーティスト達を一堂に集めてライブイベントをやる、という目的が主だったんですよ。

--佐藤さんがin the cityの実行委員長を引き受けるにあたっては、何かきっかけや経緯というのはあったんですか?

佐藤:そもそも事の始まりは、たまたま一昨年、in the cityのスペシャルイベントが直前に何かの行き違いかトラブルでやるものがなくなっちゃったんで、S.O.S.でなんとかしてくれと頼まれたんです。それで「じゃあ僕が一本なんかプロデュースしましょう」ってことで、ライブイベントをプロデュースしたのがきっかけでした。僕としては、その時はじめて、in the cityの全体像が何かっていうのを知ったわけです。そしてその次は全体のin the cityを引き受けてくれないかというお話があり、去年お引き受けしたんですよ。

--佐藤さんご自身、予想外な展開でin the cityにそのまま駆り出されちゃったという流れだったんでしょうか?

佐藤:そうですね。正直言って、最初からやっていたわけじゃないんで、in the cityの意義うんぬんといわれても困るんですけどね。ところでin the cityは、ご存じでしたか?

--それが、まだ実際に足を運んだことはないんですよ…。

佐藤:実は僕もそれと同じで、業界にいながらも、そういうことをやってるなということは知っていても、まぁ正直言うと、それどころではないといったふうだったんですね(笑)。 自分で作ったアーティストや自分でやってる仕事の方がよっぽど面白いし楽しいし、あと忙しいしで…音楽業界全体についてものを考えるというのは、実はあまりそういう発想は持っていなかったんです。いざin the cityに関わってみたら、なるほどなるほど、と。やろうとしている志は正しかったんだけど現実とはやはりズレがあるな、と思ったりもしたんです。見ていて、やってることが現実のスピードに追いついていけないな、と。現実的には、年に一回やっているペースよりも世の中の方が早く進んでしまっていたんです。

現実とのズレをどう補正するか
佐藤氏2 --就任されてすぐに、これまでのin the cityの流れや内容を『変えよう』と思われたというのは、実際はかなり凄いことだと思うんですが、具体的な方向性なんかも既に佐藤さんの頭にヴィジョンとしてあったんですか?

佐藤:そうですね。引き受けるにあたっては、現実とのズレをどう補正するのかなっていうことから始めて、去年から僕が引き受けたことで内容を切り替えたんです。というのは、音制連が中心になってイベントをやっていて、しかも公的な機関からサポートも出てる、と。音楽業界を少しでもよくしていこうという意図でやっているんであれば、もう少し現実のスピードに追いつくんじゃないか、あるいは追いつかないまでも、何か扉の開け方を工夫すれば、もうちょっと現実とリンクするんじゃないかって思ったんです。お陰様で『こういった事をやりたかったんだ』っていう反響もいただいて、今年も引き続きやってます。どうなるかはわからないんですけどね。これで今回こけたら、僕は来年は辞めますんで(笑)。

--去年はやってみて、実感としてはいかがでしたか?

佐藤:去年は「J-STANDARD」の提示だったんで、J-STANDARDとはなんぞやみたいなことをイベントでやったんですけど、今年はスタンダードっていうものを支えてる、尖った気持ちとか、継続している人達とかに、もっとスポットを当てようかなと思ってやってるんですね。去年は逆に言うとね、あまりにも閉ざされていたんで、もうちょっと、それこそMusicman-NETを見ているような人にも来てもらおうかと思ってるんですよ。完全にインサイダーなのではなくて、スペシャルイベントだけでも、もっとたくさんの人に見てもらえたらな、と思ってます。去年はほとんどの席がキャパがいっぱいで売り切れてるぐらいなので、音楽業界の人が魅力的なものを用意して、in the cityっていうイベントをやってるんだよ、ということを一般にも広く知ってもらおうと思ってるんですよ。

--今年に関しては、どんな趣旨をお持ちなんでしょうか?

佐藤:外に向けて広げていこうという趣旨は変わってないんですが、トータルで10日間にしました。一個一個の中身を考えると、今、業界で働いている人達が自分のルーティンワークとは違うところで刺激を受けたりした方が面白いんじゃないの?勉強になるんじゃないのかな、ということで、去年よりたくさん増やしたんですよね。そういう意味では、去年よりも今年の方が業界内部向けということになりますかね。こんなこと言うのも何なんですけど、裏工作も何にもないんですよ。

--というと?

佐藤:5人のプロデューサーにばっと200アーティストの応募音源を渡して、それぞれに印をつけてもらって、そこで選ばれたアーティストが40ぐらいあるんですよね。そこからイベントの一日を構成してるんですね。つまり、無名のアーティストもいれば、メジャーで出ている人もいる。極論を言うと、個人参加みたいな形で応募してきているといったアーティストもいるんです。でもやっぱりいいと思われたものは選ばれるわけですよ。なんとなく全体で選ばれましたよっていう曖昧なんじゃなくて、自分の責任で「このアーティストは、こういう取り上げ方をしたい」っていう部分が一番肝心だと思ってますから。

--レーベルであったり、プロデューサーであったり、きちんと名前を出して、責任を持って一つのアーティストをセレクトして取り上げているわけですね。

佐藤:はい。全部記名入りですよ。こういうことが一番大事なんじゃないかと僕は思うわけです。

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