--来年へ向けて、年度末には15万曲まで増曲予定ということですが、ほかにどんなプランをお持ちですか?
高堂:
メールニュースの配信数自体は増えたのですが、今は一律のものしか流せていないんですよ。なので今後はジャンル毎にセグメント化して、カユいところに手が届くような情報を配信することでユーザーをフォローしていきたいですね。要するに、情報なんですよ。最近は各レーベルも使い方を工夫していて、その中でも先行配信なんかは反応がビビッドに出てきてるし。プロモーションの一環として、ネット限定で未発表音源を配信したり。雑誌だと、情報が1ヶ月前のものになってしまう可能性もあるでしょ? その点で、ネットは雑誌なんかに比べて非常にフレキシブルに対応できますよね。 それと最近、新譜のアルバム配信も始まったんですよ。今まではなんとなくCDが優先で、というレーベルサイドの様子見があったんですが、だんだんそういうのも取れてきて、ユーザーにとっての利便性で選ぶという時代に来ています。レーベル側も、もっと積極的にプロモーションに使っていこうという姿勢ですし。
--現実に『Mora』を利用してプロモーションしてるところも多いんですか?
高堂:
出資会社に限らず、各参加レーベルの担当者を集めて結構頻繁に企画会議を行なっています。実際、成功事例も徐々に出てきてますし、社内でも技術チームとプロモーションチームの両方で新しい仕掛けを試行錯誤しています。だからある意味レコード会社がやってる会社ですので、うまく利用していただいて、一緒にいろんな仕掛けをして行きたいですね。
--ところで、最近『着うた』が1曲で遂に100万ダウンロードを達成した、というニュースがありました。
高堂:
実際、『着うた』と『iTunes Music Store』が同じくらい売れてますからね。
--『着うた』は楽曲ダウンロードに比べると敷居が低いんでしょうか。アーティストも特に嫌がりませんし。
高堂:
曲自体が短く、シングルを“食わない”という安心感があるのと、携帯から取り出せない分コピーの心配もないという免罪符がありますからね。
--ここ最近のビジネスでは顕著な成功例ですよね。
高堂:
着メロという土台もありましたからね。音質はまだまだ低いですけど、それでも本当の音という点でMIDIとは違う満足感があるんでしょうね。アメリカの企業も非常に興味を持ってるみたいですよ。
--そういう話を聞くと、配信にも可能性を感じたりしますが。
高堂:
以前から着メロがプロモーションに利用されていましたが、着メロで楽曲をプロモーションするよりも、実際の歌でやった方が絶対に効果的ですし。だから皆さん、先出ししたりとかいろんなことをされてますよね。レーベル側としても効率は絶対に良いし、ユーザーとしても気軽に“試し聴き”するような感覚なんでしょう。
--そうすると、楽曲フル配信も、アーティストの許諾を得ることでもっと敷居が下がれば、風向きもぐっと良くなってくると。
高堂:
ビジネスとして成功・確立して、アーティストやレーベルに認識させることができれば本格的になってくると思いますよ。
--つまり「儲かるよ」って思わせなきゃいけないんですよね(笑)。
高堂:
今までできなかった、新しい仕掛け方がいろいろできますよ、と。パッケージに入ってない音源を配信したり、メールマガジンを使ったりと、いろんなことを含めてネットならではの使い方ができる。まだまだいろんなアイディアが出てくると思いますね。
--パッケージに入ってない音源を配信していくっていうのは面白いですよね。
高堂:
最近は浜田省吾さんを始め、ちょくちょく出てきましたね。例えCDを全部持っていたとしても、そこに収録されてないのがあれば、ファンの心をくすぐりますよね。バージョン違いもあれば、音源にもいろいろあるし、使い道やくすぐり方も要はやり方次第だと思います。
--配信業界全体の将来性について意見をお聞かせください。
高堂:
レーベルゲートとして考えてるのは、今はパソコン上で運営してますが、テレビがネットワークにつながってくると、画面はテレビで操作はリモコン、パソコンを使わなくても楽曲が買える、ということが可能になってくると思います。つまりネットワーク家電という、日本が得意とする分野に応用していこうと考えています。その先駆けがエニーミュージックであり、今後はパソコンに加えてネットワーク家電とか、日本的な音楽配信というのが作れるんじゃないかな。アメリカ人は日本人と比べてパソコンに向かう時間が長いんですよね。日本に比べてテレビのバラエティ番組も少ないし、ケーブルばかりだし。その点、日本人は携帯やテレビに時間を取られて、パソコンに向かう時間が短い。そういった文化の違いもふまえて、今後はパソコン、ネット家電、携帯の棲み分けができるようにして行きたいし、いろんなカタチでユーザーに近づけるんじゃないかと思うんですよ。ブロードバンドが広がって、パソコンの数が増えたとは言え、立ち上げるのが面倒だとかパソコン自体にバリアがかかっている状態ですよね。そういうのを越えて、いつのまにか浸透しているという状態を目指しています。
--何年後くらいを目標に?
高堂:
意外と早いと思いますよ。家電メーカーと話をしてても、「ゆっくり考えてますよ」と言いつつも2006年だったりする訳で。だからあと2〜3年でそういう広がりがあると思いますよ。音楽番組を見ながら曲が買えたりだとか。パソコンでいうと、現在は能動的な方が買ってくれますが、今後、受動的なお客さんも気軽に買えるようになると本格的な時代が来るでしょう。
--先行きは明るい、と。
高堂:
そもそも今までは音楽を選ぶという作業は、家ではできませんでしたよね。CDショップへ行って試聴するとかしないと。それが今では試聴はもちろん、『Mora』ではほとんどの試聴ファイルに132Kという高いビットレートを使っていますので、売っているものと同じ音質で楽しむことができるんですよ。今までは非常に音が悪いんだけど、なんとなく分かればいいか、みたいな感じで。レーベルも保守的で、音を出すのが怖くて、試聴音源も「これくらいの圧縮音源でいいよね?」みたいなところがあったんです。でもやっぱり、音楽って音が良くないとダメでしょ?
--試聴は重要ですよね。
高堂:
聴いてもらってナンボですから(笑)。それに今は試聴しないで買う方よりも、試聴して買う方のほうが増えてますしね。汚い音だと、もしかしたら購買欲が失せてしまうかもしれないじゃないですか。この点は、最近始まった他のサイトに誇れる点ですね。やっぱり音楽は“良い音”で聴かなくちゃ。
--最後に、Musicman-NETを見ている方々へメッセージをお願いします。
高堂:
音楽配信というのは、まだまだこれから本格的になるところではありますが、『Mora』としては試聴曲ひとつをとっても良い音質で提供したいし、紹介していきたいと思っています。音楽を好きな方にとって、いろんな意味で楽しめる、情報が得られるサイトになるべく、切磋琢磨していくつもりでいるので、是非サイトに遊びに来て、音を聴いてみてください。サイト自体、しょっちゅうリニューアルを重ねたり、曲も急激に増えたり、サービスもどんどん追加しているので、出来上がったものを見るより、成長過程を見るのもおもしろいですよ(笑)。音楽配信の時代は必ずやってきますからね。
[2004年7月29日 赤坂・(株)レーベルゲートにて]
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