|
| 著作権法一部改正に関する 音楽評論家 小野島 大 氏の主張 |
|
「輸入盤がなくなる」「音楽を自由に聴けなくなる」そんな不安が音楽ファンの間で大きな問題になっている。これは現在国会に提出されている「著作権法の一部を改正する法立案」が輸入盤を禁止にしてしまう可能性があるということによるもの。黙っていれば5月末にもこの法案が通過しようとしていた矢先、一部の音楽関係者が異議を唱え立ち上がった。 彼らは音楽メディア関係者などに声をかけ、賛同者を集めて、5月11日「私たち音楽関係者は著作権法改定による輸入CD規制に反対します」というインターネットサイトを立ち上げ、輸入CD規制に反対する声明文を発表した。その噂はインターネット内の音楽ファンを通じて瞬く間に広がり、その後も賛同者は増え続け、その数は2004年5月24日現在677名を数えているとのこと。 そこで今回、中心となって活動している音楽評論家・小野島 大氏に、活動の経緯や状況、この著作権法一部改正案の問題点などについての主張を聞いた。
[2004年5月19日 新宿某所にて]
|
|
【プロフィール】 音楽評論家。著書に『音楽ライター養成講座』(音楽之友社)、編著に『ロック・オルタナティヴ』(音楽之友社)、『NU SENSATIONS 日本のオルタナティヴ・ロック1978-1998)』 (ミュージックマガジン社)、『The DIG presents DiscGuide Series UK NEW WAVE』(シンコーミュージック)、『200 CD ヘヴィ・ロック』(立風書房)などがある。レコード会社8社合同のNew Wave再発プロジェクト「UK New Wave Renaissance 2004」(04年2月〜5月リリース)の企画監修にたずさわる。 【関連サイト】 ・私たち音楽関係者は著作権法改定による輸入CD規制に反対します ・newswave on line(小野島氏 運営サイト) ・newswave on line/personal edition(小野島氏blog) |
|
【INDEX】 ▼ 自由に音楽が聴けなくなる?〜活動に至る経緯 ▼ 主旨はわかるが、弊害が大きすぎる ▼ 消費者の選択肢がなくなる?ワールドミュージックの消滅 ▼ 法案の裏にあるもの、このまま法案が成立してしまったら… ▼ 好きな音楽くらい自由に聴かせて欲しい −−まず、この問題を知った経緯と時期は? 僕もこの問題の問題点を知ったのは本当に最近の事で。還流盤を阻止するための法律の改正の動きがあることは去年の12月頃から知っていたのですが。でも、もともと対象になるのは、アジアからの邦楽の還流盤に限るというのを信じていましたし、それならしょうがないかなと思っていましたね。ですが、今年の3月8日に民主党の川内博史・佐藤謙一郎 議員から「これは洋楽も対象にしているのでは?」という質問書が文化庁宛に出されて、それに対し、文化庁(小泉内閣総理大臣名義)が3月30日に「洋楽(アメリカ、EUからの輸入盤など)も対象になる」と答えたことから大騒ぎになったんです。そうこうしているうちに法案は参議院を通ってしまって、これはまずいぞと思いました。もちろん鋭い人ははじめから気付いていたのかもしれないですが、僕も含めてこの時点でおかしいと気付いた人は多いと思いますね。 −−そこから今回の活動につながったと。 そう、5月4日に高橋健太郎(音楽プロデューサー)、ピーター・バラカン(音楽評論家)さんのよびかけで「〈著作権法の改正法案〉に関するシンポジウム」が開催されて、その前後から高橋さんと「シンポジウムだけじゃなくて、次の行動を起こしたい、何かやれることはないか」と話していて、音楽ライター、メディア関係者をとりまとめて、意見書を発表しようってことになったんです。その延長として今の活動がありますね。 −−業界内のこの問題についての認識や状況は? もともとは文化庁の一部の役人しか知らない状況で、今もレコード会社の現場の人間はまず全然知らないんですね。逆に「どういう状況なんですかね?小野島さん」なんて聞かれるくらい(笑)まぁ、今はだいぶ伝わってきたと思いますけど。 −−具体的な活動の主旨・目的・活動内容は? 別にレコード会社に敵対しようなんて意識は全然なくて、今回のような著作権法の改定が本当に 音楽産業の未来につながっていくのか、これで、音楽を聞く人が増えて、売り上げも上がって、レコード会社が儲かって、われわれも含めた音楽業界全体が潤っていくのかと考えると、どうもそうは思えない。むしろ考えられる弊害と危険性のほうがはるかに大きい。こんな法案がいつのまにかみんなが知らない間に通っていいのか、という思いが、ありますね。 法案ができてしまっている以上、日本レコード協会(以下、レコード協会)や文化庁からの明確な説明が必要なのは明らかですし、このままだと、音楽業界のイメージが悪くなる一方かなと思うんですよ。別に事を荒立てようとしているわけではなくて、ただ今の段階では不安が払拭されるようなことを提示していただけないから、こっちもまずいなぁという感じになっていますね。 僕たちは、世論を喚起するためにも、声明文を発表して記者会見を行って、関係者にメールを送って、賛同者を集めるとかやってきました。それでレコード協会や文化庁にいろんな話を聞かせてもらって、いろんな発言がでてきた段階で、こっちからもいろいろ言いたいこと、聞きたいことが出てきて、有志6人(大貫憲章、小野島大、北中正和、高橋健太郎、ピーター・バラカン、藤川毅)で、文化庁(文部科学大臣)、レコード協会あてに、意見書と公開質問書を送ったところです。それで議論が深まって結果的にこの不安が払拭されたらいいと思っています。 −−その賛同者の代表として小野島さんはじめ何人かの方が動いていると? いや、別に代表として動いているわけではないですよ。600人以上の賛同者は、あの声明文の意見書に対して賛同してくれているだけだから、その人たち全員の信託を受けてやっているということではないですし、代表と言うよりは行き掛り上、ここまでやろうと決めて、自分達が動いている感じです。 −−そもそも今回の著作権法の一部改定の問題点というのは? 邦楽の還流盤(逆輸入盤)だけではなく、世界中の音楽CDが「輸入権」によって輸入禁止になる可能性があるということです。日本で発売されている作品の輸入盤がこの輸入権を行使されると、輸入禁止になってしまうんですね。そうなれば、売るのはもちろん、在庫を持っているだけでも違法になってしまうから、事実上、輸入することができなくなるというわけです。 それはさっきも言いましたけど、音楽産業にとって何のメリットにもならないですし、何の利益も生まれないと思うんですよね。だから何故、今こんなに急いで、68万枚の「還流盤」を阻止するために、結果6000万枚の輸入盤全体を対象としてしまうような、法律を作らなきゃいけないのかわからない。邦楽の還流盤を阻止したいという主旨はわかるにしても、弊害が大きすぎるんですよ。 |
|
Copyright(C) 1998- F.B.Communications Inc. & Magnet Co.,Ltd. All rights reserved.
Contact info@musicman-net.com with question regarding this site. |