Musicman-NET SPECIAL REPORT 梶原進氏スペシャルインタビュー


DUOのプロデューサーはJAY KAY?

duo内装 -- ところで、なぜジャミロクワイのJAY KAYがプロデュースなんですか?

梶原:JAY KAYは東京ドームでやったら、小さいところでもギグをやるとか、アーティストとユーザーとが身近なところでやりたいっていう意思がすごく強い人で、世界のどこでもいいから自分が納得できて身近でユーザーに触れられる場所「ライブハウス」を作りたい、探してるっていう話が聞こえてきた。じゃあうちとバッティングするじゃない、っていう話になって。それで僕がロンドンに行って、一緒にやらないか?と誘ったんです。で、ぜひやろう!ということになって、それから、会場のスピーカーをこうしようとか、内装・入り口・イメージをこういうふうにしていこうとか、インテリアに関してとか、音響とか照明システムとかにも全部意見を出してきて、図面も引きながら一緒に話し合って作ったんです。それが今のDUOなんですよ。

-- 最初、競合するかもしれなかったんで、仲間になっちゃったと?

梶原:そうですね。彼は世界レベルでそういう所を探していたのですが、たまたま、日本でそういうことをやるよといったら、ぜひ協力するよって言ってくれて。結構忙しい人だし、お金持ちなんで、なんでこういうことにわざわざ協力してくれるの、なんのメリットがあるのかなとも思いましたが、会場のビデオや音なんかを送ったらすごく気に入ってくれて。たぶん今年の冬か来年ぐらいに、ジャミロクワイが世界ツアーをやるんですが、そのときは必ず出演してくれると約束してくれています。

DUO誕生!招聘・制作・興行・宣伝、何から何まで梶原氏の独自の判断で

梶原氏 -- そうした経緯があって、実際にDUOのオープンに至ったわけですが、様々な苦労がきっとあると思うのですが…。

梶原:外部から見ると、DUOってどう見えますか?

-- スケジュール通りに煩雑なオペレーションをこなしていくのはものすごく大変なんだろうな、という想像ぐらいはつくんですが…。

梶原:実際にスタートしてみて気づいたんですが、これってなかなか日本にない珍しいスタイルだなと…。つまり自分の独自の判断で、招聘・制作・興行も宣伝もして、チケッティングもしていくっていう。そこが昔でいうと、小さなキャバレーみたいなもんですよね。ブエナビスタじゃないけど、キューバとか戦後アメリカにあったような。つまり小屋に親父がいて、オーナーとしての立場でアーティストのギャラの交渉から何から何まで全てやって、そのときの飲食と入場チケット売り上げて、なんぼ儲かったかっていうところで物事が終わっていく。…まるで昔の「芝居小屋」や「キャバレー」みたいだな、と思ったんですよ。単純にハコ貸ししているところとは基本的に考え方が全然違うでしょう。

duoイベントスケジュール -- つまりイベンターと劇場主とプロモーターとショー自体のディレクションから宣伝まで自分でやってるわけですよね。他にはないんですかね?

梶原:ないでしょう。世界的にもないんじゃないかな。昔のキャバレーだってそこまでやってなくて、誰かがその箱に売り込みに来るわけじゃない。それで、オーディションやって、よかったら出してやるよっていうことで。で、そこは飲食とかチケット入場料とかで儲けて終わりじゃない。そこに、うちは毎回アーティストが来るたびに映像も撮ってDVDまで発売しようっていう……とんでもないおまけまでついちゃった感じなんでね。けっこう複雑ですよ、これ。やっぱり今からでもやめといた方がいいかもしんないな(笑)

-- オープンしてから、この3ヶ月間を振り返ってみてどうですか?

SWEETBOX&Karla Bonoff 梶原:そうですね、3月はカーラ・ボノフ(Karla Bonoff)とかはチケットがソールドアウトになったし、2月はスウィートボックス(SWEETBOX)、K-CI & JOJOも完全にチケットが売り切れて非常に評判がよかったですね。お陰様でお客さん達に高い評価をいただいています。環境、立地のよさも含めて、すごくいい音楽が聞けたって喜んでもらえてます。それにも増して評価が高かったのはアーティスト側。うちは音響システムだけで7,600万円使っちゃってるんだけど、通常あのぐらいの小屋だったら1,000万〜2,000万ぐらいの音響システムらしいんですよ。そこに、JBLのVERTECSシリーズっていう、上から釣って音の位置を動かせるスピーカーを入れたんですが、これが音がめちゃくちゃよくって。それで、クリストファー・クロスと彼のエンジニアが、最初に日本のちっちゃな小屋だと聞いていたので、あまり期待していなかったようなんですが、絶賛してくれまして、ここの音響システムは最高だ、ぜひまたここに来たい、と言ってくれて。クリストファー・クロスなんかはアメリカに戻ってから、みんなにその良さを伝えてあげるよって言ってくれまして、実際にナタリー・コールとかマイケル・マクドナルドとかに「今度DUOっていうのが日本にできて、めっちゃくちゃ音がいいから今度そこでやれば」って言ってくれた瞬間に、全米でDUOの名前が、ガーって広がっていったんです。だから、今はすごく楽ですね。電話で「DUOです」って言うだけで、各エージェントはみんな知ってくれてますから。

-- クリストファー・クロスがDUOの広報マンとして働いてくれたんですね。

梶原:そうみたいなんですよ。クリストファー・クロスが所属しているエージェントで、ウィリアムモーリスっていうところがあって、そこが全米最大というよりは、ほとんどの著名アーティストがそこに所属してるんです。で、そこに直で情報が入っていったので、こちらとしてはすごく楽になった。それもね、全然意図していたわけじゃなかったから。たまたま、音響をヒビノさんに発注したら、「だったらこれがいいですね」って提案されたのが7,600万のやつだった(笑)。

-- ふっかけられたわけじゃなくて?(笑)

梶原:そうかもしれないね(笑)。あとから、これって武道館クラスでも対応できるような音が出せますよって話をされて。最初はちょっと頭にきてたんだけど、結果としてはよかったんですよ(笑)。

-- うれしい誤算でしたね(笑)。

梶原:来日したアーティスト達はありがたいことに「また来年も是非DUOに呼んでくれ」ってみんな言ってくれるんです。

-- ライフワークになりそうですね、これは……。

梶原:うん……ライフワークですね。あまりにも大変ですけどね。

-- 実際には、どんなトラブルが起こったんですか?


梶原:実際にやってみたら、やっぱり全然知らなかったことが色々あって。一番驚いたのは、機材の運搬の問題ですね。彼らは200種類ぐらいの機材を持ってくるんですが、そのカーゴ代だけで、最初に呼んだクリストファー・クロスが400ナン10万でした!アメリカから日本に持ってくる機材の運搬料だけで。で、もう全然売り上げに見合わないから、どうしようみたいなことでちょっとメゲていたら、JALが協力してくれたんですよ。で、今はJALが正式なスポンサーになってくれて、カーゴ代金の問題は片づいたんです。それだけじゃなくて、JALは非常に協力してくれて、販売から機内誌での宣伝等もやってくれて、これがすごく助かっていますね。加えて、オフィシャルクライアントに、三菱モーターズ、サントリー、KDDIが付いてくれました。DUOのコンセプトをみんな気に入ってくれて、是非応援したいという話になって。

-- 大人達に待ち望まれていた場所だったわけですね。

梶原:たまたま各企業の担当のトップで決裁権を持ってる部長クラスの人たちが、だいたい僕と同じぐらいの歳なんですよ。それで、みんなそういう音楽がすごく好きで、そういう小屋ができるなら応援するよって言ってくださって。本当に嬉しいことですね。

-- ところで海外との交渉は誰がやってるんですか?

梶原氏 梶原:僕がやってます。

-- 梶原さんって英語がバッチリなんですか?

梶原:まあ、ほぼ。

-- 全部、ご自分で交渉できちゃう?

梶原:そうですね、全部自分でやってますけどね。

-- 大学はアメリカで行かれたと聞いていますが?

梶原:はい。大学は向こうです。そういうのもあって、できてるんでしょうね。

-- もし全部通訳をたててたら、どうなりますか?

梶原:ああ、それはもう全然無理ですよ。毎日夜中の3時に電話だから。ナッシュビルのエージェントと。これどうする、ギャラいくら出せるとか、3日を6日にのばしてこうしようとか、一日2回のコンサートを1回にしてギャラの単価を下げようよとか、日々あるじゃないですか、そういう話が。それ全部英語でやんないといけないですから。

-- アメリカの学校に行ったというキャリアがあればこそですね。

梶原:そうかもしれないですね。それと、アメリカ人の性格知ってるから。普通の日本の企業だと、気が狂っちゃいそうなことが起こっても、まぁ僕はそんなこともあるだろうな、みたいな感じで。その辺のアメリカの契約とか、人間関係の対応はもしかしたら得意かもしれないですね。クリストファー・クロスもすごい神経質だって聞いてたから、コンサートに来る前に先に自宅行って、リラックスして一緒に話したり。で、一回会っていたから、日本に来たときも全くノープロブレムでした。

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