第85回 つんく♂ 氏

6.この過渡期を耐えしのいで音楽をしっかり作っていきたい

--つんく♂さんはこのあとどこに向かってらっしゃるんですか?

つんく♂:そうですね…みなさんわかってらっしゃると思うんですけど、音楽商売が成り立ちにくくなってきました。CDを売ってきたんですけど、自分らが聴くときもyou tubeで聴いたりもしますから、おかしな世の中になってるんですけどね。多分レコード会社も淘汰されていって大手2つぐらいになるでしょうし、配信会社もそんなにたくさんあっても仕方ないだろうなとか。ただ、先日高嶋ちさ子さんがやってる「バギーコンサート」という、小さいお子さんを連れてきていいですよっていうコンサートを観に行ったんですが、大人が座って200人ぐらいのところかな? 1時間ちょっとのコンサートで1日3回まわしで数日間やるんですが、チケット代は5,000円というのが即完するっていうから「やっぱりライブは需要あるな」と思いましたね。でもクラシックっていうものはそういう歴史というか、新しい曲を作るというよりは、何百年も前の曲を繰り返し演奏しているわけじゃないですか? だから歌謡曲っていうのも下手したら新しいものというよりも古い曲を何度も歌っていく時代になるかもしれないのかなと思いながら観ていたんですよね。

--海外ではマドンナやプリンス、日本では矢沢永吉さんがメジャーとの契約を切って興行収入を主体とした形に切り換えていますが、つんく♂さんもそういったことは考えていらっしゃるんでしょうか?

つんく♂:どうでしょうか。自分でレコード会社しながらですから矛盾してしまうんですけど。

--大きな過渡期ですよね。

つんく♂:でもその辺をなんとか耐えしのいで音楽をしっかり作っていきたいなと思うんですけどね。

--総合エンタテインメントプロデューサーとしてはもっと映像とか、ゲームとかそういう方向にも拡大していくんでしょうか?

つんく♂:映像に関しては3Dがあるのでちょっと楽しみですけどね。あと、今までは、アーティスト1に対してお客さんがほぼ無限で、美空ひばりさんみたいなみんなが知ってる曲を売るという商売をしてきたってことですよね。もしかしたら、昨日の「バギーコンサート」みたいに、200人の需要に対してどんな商売ができるのかとか、1千万払うからうち子供のために演奏しにきてよ、みたいな商売も成り立つのかなと。

--モーツァルトの時代みたいに?

つんく♂:そうそう。そのぐらい極端でもこれからは1バイ1とかそういう1対5とか1対10みたいなそういうビジネスはありじゃないかなって思うんですよね。

--本日はお忙しい中ありがとうございました。つんく♂さんの益々のご活躍をお祈りしております。m.gif
(インタビュアー:Musicman発行人 屋代卓也 山浦正彦)
 つんく♂さんのお話はとにかく面白く、テンポも絶妙で長時間ながらも笑いの絶えないインタビューとなりました。そして、巧みな話術もさることながら、物事のとらえ方が天才的で、その人生哲学には驚くばかり。お子さんの育て方の話で、「3歳になる前から怒られて育った子は、1のものを10にしかできないけど、そうでない子は0のものを100にできる」とおっしゃっていましたが、つんく♂さんは間違いなく、0を100にできる方だと思いました。現在も、プロデューサー、TNXの社長として多忙を極めるつんく♂さんですが、日本から世界に羽ばたけるようなアーティストをたくさんプロデュースしてくださることを期待しています。