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−−JASRACとJRCとの兼ね合いはどのようになっているのですか?
荒川:我々に預けて頂いている方のほとんどは、録音権とインタラクティブ配信権に関してはJRC、演奏権、出版権、貸与権といったところに関してはJASRACに預けています。
−−つまり、JRCは録音権とインタラクティブ配信権以外は扱っていないということですか?
荒川:そうです。
−−「録音権」とはどのようなものか、ご説明願いたいのですが。
荒川:一般的なのは、CD・レコードに作品を固定・複製するという行為です。あとはビデオグラム=映像と共に固定する、それからゲーム、CM放送・送信用録音、また、映画における最初の録音ですね。そこまでが「録音権」と言われているところです。また、携帯電話で着うた・着メロをダウンロードしたりする場合やインターネットを経由してPCで楽曲を試聴したりダウンロードしたりする場合は、「インタラクティブ配信」という利用形態の範囲の中で処理されます。しかし、ちょっと面白いのは、同じ携帯電話の「着信メロディ」でも携帯電話を買ったときに最初からプリセットされている音源は録音権が働いていて、買った後でダウンロードする音源は「インタラクティブ配信」として処理されるんです。
−−複雑ですね…。でも、どちらもJRCが取り扱っている権利ですから、今の時代には合っているわけですね。
荒川:そうですね。その携帯電話なのですが、人気機種は1機種で200〜300万台軽く行くわけです。つまり、言い方には語弊があるんですが、300万枚売れることがほぼ確実なシングルに近いわけですから、プリセットされた音源の著作権使用料って結構大きいんです。
−−それは確かに大きいですね。
荒川:我々は著作権者と近しいところにいますので、携帯電話のメーカーさんに対して働きかけをし、実際に4、5機種くらいにJRCで管理している楽曲をプリセットして頂いています。
−−例えば、何が入っているんですか?
荒川:例えばTHE BOOMの『島唄』。これは複数の携帯電話メーカーさんのプリセット音源として、MIDIの着メロや着うた、着信ムービーとして採用していただいています。
−−ちなみに、そのプリセットする楽曲の決定権は誰が持っているんですか?
荒川:ケース・バイ・ケースなんですが、例えば広告を絡めていく場合は、広告宣伝部的なセクションの人がイニシアティブを持ちますし、単純に機種の販促という側面から言うと、工場のトップの人という場合もあります。あるいはプリセットするデータを作って納品するビジネスをなさっている方もいらっしゃいますので、そういうところと組んでプレゼンテーションをしたりもします。
−−やはりそれは重要な仕事の一つなんですかね?
荒川:変な話なんですが、JASRACには絶対にできないことですから、我々に預けたことの非常にわかりやすいメリットになると思います。実際に数字として300万台出るわけですから。
−−現在、JRCでは何曲くらい楽曲管理をしているんですか?
荒川:2,000曲くらいです。すごく少なくて「もっと増やしてゆかなければ」と思っているんですけどね。
−−ただ、少数精鋭で売れる曲が多いわけですよね?
荒川:そういう傾向になっていけばいいなとは思っていますが、これからはもっと視野を広げてゆくことも必要だとも思っています。我々が作り上げた著作権管理システムは、相当高いレベルで完成しており、また管理スタッフのスキルも申し分ないので、これからは色々な人の曲を幅広く数多く預けて頂けるようにしたいですね。
−−先ほどJRCさんの持つメリットについてお話頂きましたが、そのほかにJRCに楽曲を預けることによってどのようなメリットがあるのでしょうか?
荒川:着うたや着メロといったインタラクティブ配信は、多くの配信事業者さんにたくさんの作品を使って頂いているわけですが、権利者としてはその実態を把握する術が非常に限られている状況があります。JRCでは、権利者さんに対して、JRCが管理を受託している楽曲がどの事業者のどのサービスで、どういった状態で、いつ、何回使われたかということに関して、詳細なデータを作成し、3ヶ月に1度、著作権使用料をお支払いする際にお渡ししています。インタラクティブ配信の著作権使用実績報告において、明細をそこまで出しているところは、弊社だけだと思います。
これは「私たちはしっかりやっています」というアピールにもなるわけですが、それだけでなく、権利者側の立場に立ってみると、そのデータを色々と活用できるはずなんですね。例えば、紙だけで明細をお渡ししたとしたら、紙に付箋や丸を付けて…みたいなことが必要なんでしょうが、データだったら作家ごとにソートをして別の形に加工したり、カテゴリー別で見てみるとか、お渡ししたデータを二次的に上手く使って頂ける・・・それが、我々にとって一番の目的です。
もう一つは、データが3ヶ月、3ヶ月とずっと溜まっていくと、当然同じ曲の売り上げがどういう風にカーブしていくのか傾向を見ることができます。これからインタラクティブ配信はマーケットとして大きくなればなるほど、そういうものを持っておくことが権利者さんとしても、重要になってくるのではないか? と思います。
−−そのデータはデジタルのみなんですか?
荒川:いえ、紙をご希望の場合は紙でお渡ししますし、紙とデータということであれば両方お出しします。そこは各権利者さんの事情に合わせて対応します。
−−JRCの一番のメリットは、ビジネス・データをいかようにも提供できるというところなわけですね。
荒川:そこが一番大きいですね。あと、積極的に謳っているわけではないんですが、3年以上この仕事をやらせて頂いていると、直接著作権に関係のない契約周りの相談などが持ち込まれることがあるんですね。それらに対して私たちがご協力できることであれば、最大限にやらせて頂いておりますが、そういった点についても評価して頂いていると思います。
−−昔は全部の権利をJASRACに丸投げしていたわけですが、丸投げされた過去の曲も、JRCさんに預けることは可能なのでしょうか?
荒川:JASRACが「著作権等管理事業法」というスキームに則って管理をスタートしたのは'02年4月で、我々もそれに合わせて開業しているんですが、その時点において、すべての支分権がJASRACにあるとなっていた作品は、そこから5年間は動かしてはいけないとされたんですね。厳密に言えば、動かしてもいいんですが、万が一外に出ていって、何かあったとしてもJASRACには戻れませんよというような約款改正をしたんです。で、'02年4月から5年間なので、'07年3月末までがその期間なのですが、'07年4月1日以降、'02年3月以前のものの支分権を変えたい人は、'06年9月末までにJASRACに届けを出す必要があり、そうしたら'07年4月1日以降は動かせるんです。
−−ということは、JRCにとっての最大のビジネスチャンスが来年の9月までの間ということになるわけですね。
荒川:そうです。ですから今年の下期からは、色々な形で表に出ていこうと考えています。
−−例えば、来年の9月までにJASRACに届けを出さなければ、契約は自動的に更新されてしまうんですか?
荒川:そうですね。
−−もし、JRCや競合他社の(株)イーライセンスができていなかったら、どのようになっていたとお考えでしょうか?
荒川:私の立場でそのご質問にお応えするのは大変難しいのですが、よく聞くのが、私たちが参入していったことによって、JASRACの対応がお役所然としたものから、柔軟になってきたということですね。私はJASRACともいい関係を保って、今このビジネスをやっているつもりなんですが、JASRACの内部の人からも同じことを言われます。ただそれは、私たちのような民間の事業者が、まだJASRACの足下を脅かすほどの存在になっていないから、それだけ余裕の発言があるという裏返しでもあるので、そろそろ焦って欲しいなと思いますが(笑)、そのためにもしっかりやっていかなければなりませんね。
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