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内沼映二氏 大人が楽しめるような生演奏の音楽を!

−−現在の現場は、ProToolsの登場以後すごく変わったと思うのですが、ProToolsによる功罪についてどのようなご意見をお持ちですか?

内沼:僕はProToolsに関しては何の拒否反応もないんです。逆にすごく便利だなって思っている方なんですよ。ただ1つね、ProToolsの中でミックスをしてしまうのが、僕は駄目なんです。まず音的に平べったいというのかな、全部、前に並んじゃっていて、奥行きがないのが駄目なんです。ProToolsでやるとどうしてもそういう風になってしまって。当然レコーダーとして、エディットその他ProToolsで行って、コンソールに立ち上げて新たにミックスするっていうのだったら一番OKです。だからヨンパチ代わりというか、まあヨンパチよりもっと機能的だしね。

−−ProToolsで全部やったものは聴いて一発で分かりますか?

内沼:だいたい分かりますよ。まずベタッとしている。

−−それがProToolsという機械の限界ですか?

内沼:そうだと思うね。だから、レコーダーとして使う分には絶対良いと思うんだけどね。

−−でも、ProToolsでミックスしたベタッとした音が、間違って世の中のメインになってしまったら危険ですよね?

内沼:そうそう。今の若いリスナーは、そのベタッとしたものがいい音だと思っていると思うんです。将来を考えるとゾッとしますね。

−−反面、DVDオーディオやSACDのような新しい媒体も出てきていますよね?

内沼:僕はもうCDは終わらせた方がいいと思うんですよ。今CD売れていないでしょ? 僕は2つ要因があると思うんです。1つは30代・40代・50代の人が買うものがメインとして売っていない。あと、再販制度ですよ。これはなくした方がいいと思う。自民党なんか「文化のものに値段を付けるのは」どうのこうのって言っているけど、おかしいよね。逆輸入CDが駄目だって言っているでしょ? でも逆輸入CDと同じ値段でも(国内盤を)出せると思うの。仮に2500円か3000円で売っているCDを1500円で売ったとするでしょ? それを倍売れば同じなわけだから。で、1500円だったらコピーをしないで買ってくれる可能性があるんですよ。

−−でも、そうなる前に音楽配信といった流れになるのでは?

内沼:そう思うんだけどね。選択は一杯あっていいと思うんです。音楽配信で聴く人はそれでもいい。だけど、もっといい音で聴きたかったらパッケージも買ってくれと。それが何千円ではなくて1500円で買えればということです。

−−パッケージを買うのは、音楽配信よりもずっと音が良いとか、何かがないと買わないですよね。

内沼:そうなんです。あと付加価値でジャケットとかが入っていれば、「じゃあコピーじゃなくて1500円出して買おう」という人が増えると思うんだけどね。

−−では、コピーコントロールCDに対しては反対ですか?

内沼:うん。反対ですね。

−−となると次のメディアは何がいいとお考えですか?

内沼:それは、やはりDVDですよ。DVD-AUDIOのいいところは、DVD-VIDEOの圧縮した音源も平行して入っているんです。だからプレイヤーによってどっちでも選択できるので、そこがいいなと思うんです。DVD-AUDIOっていうとみんなマルチCHと思うんだけど、2CHでもいいわけで、そうなるとハイスペックなリニアPCMで入るわけだから、音はCDなんかより数段いい。しかも、DVDのコピーコントロールは完璧にできている。あんなに無理をしてCDにコピーガードを付けるなんてね。

−−5.1CHになることはないですかね?

内沼:DVD-VIDEOのプレイヤーはすごい台数出てるでしょう? 意外と5.1CHのシステムって売れているんですよ。だから、音楽としても5.1CHとしてやってもらいたいね。僕サラウンドって大好きだからね(笑)。だから、サウンドトラックやるの非常に好きなんですよ。

−−最後にレコーディング・スタジオの経営者としてお伺いしたいのですが、今後レコーディング・スタジオはどうなるのでしょうか?(笑)

内沼:1つ言えるのはね、今の低年齢をターゲットにした音楽じゃなくて、大人が楽しめるような音楽っていうのは、打ち込みから生演奏に移行しないとできないと思うんです。そうなるとスタジオが必要になってくる。今の音楽を作るのにスタジオいらないんだもん。自宅でできちゃうしね。生演奏を収録して、それなりの音楽を作らないと、レコード会社もちょっとまずいんじゃないかな? と僕は思いますね。

−−本日はお忙しい中ありがとうございました。 M


今回のインタビューで一番印象的だったのは「好きだから苦にならなかった」という内沼さんの言葉と、ハツラツとした笑顔でした。内沼さんの輝かしい経歴は、むろん類いまれな才能の賜物だと思いますが、日々の研鑽と若き日からの音に対する変わらぬ情熱があるからこそ築きあげられたのだと強く感じました。技術革新が進む音楽業界で、内沼さんの経験と技術に裏打ちされた発言は、今後さらに重みを増していくのではないかと思います。

COMING SOON!  さて、内沼さんにご紹介いただいたのは、アビーロード・スタジオをはじめ世界中のスタジオを数多く手がけられたスタジオ設計の第一人者 豊島政実さんです。お楽しみに!

NEXT!
第42回 豊島政実氏
音響設計家

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INDEX
電話帳を頼りに仕事探し〜エンジニア内沼映二の誕生
スタジオに朝から朝まで〜テイチク・ビクター時代
より自由な環境へ〜ミキサーズ・ラボ設立
「内沼サウンド」の秘密〜筒美京平との出会い
いい音=感動させる音
好きだから苦にならなかった40年
▼ 大人が楽しめるような生演奏の音楽を!


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