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内沼映二氏 好きだから苦にならなかった40年

−−内沼さんは、今まで延べ何時間スタジオにいらっしゃったんですかね?

内沼:何時間だろうねえ(笑)。僕はテイチクで残業時間の記録を作ったんですよ。あの頃月-土で月180時間が通常勤務時間なんだけど、僕の記録が残業だけで月283時間かな?

−−えっ! 残業だけで283時間ということはそれプラス180時間ということですよね? ということは460時間くらいスタジオ・・・。

内沼:そう、ほとんどスタジオですよ(笑)。

−−1ヶ月720時間ですから、寝てるかスタジオかという感じですね。

内沼:終わってスタジオでちょっと仮眠して、また10時から始めて。

−−内沼さんはその生活を19才くらいから、今まで40年間ずっと続けられているわけですよね? 不規則な時間に働いて、不規則な時間に食事して、周りは煙草を吸っていて、音は大きくて、体にいいこと1つもないですよ(笑)。それを40年。

内沼:好きだったんだろうね。全然苦にならなかったから。

−−最近ミキサーの中でも、自律神経失調症になったりとかしている人が多いじゃないですか? 内沼さんは40年間何もなしですか?

内沼:10年くらい前に、自律神経やりましたよ。ロンドンのヒースロー空港でひっくり返っちゃってね(笑)。「どうなっちゃうんだろう」と思って、病院に行ったら自律神経じゃないかって薬もらって飲んだら治っちゃった。

−−嫌になったことはなかったんですか?

内沼:仕事ではありましたよ。ビクターに入ってからかな? ドラムの石川晶さんのグループを毎日の如くやっていたんですけど、最初の頃、結構石川さんにいじめられたんですよ。その時、エンジニアとして悩んじゃってね。「駄目なんじゃないかな?」と思った時代もありました。

−−いじめるというのは?

内沼:単純に「俺の音じゃないよ」とか言われたりね。でも、その後は石川さんと仲良くなっちゃって、後半は和気あいあいとやっていたんですけどね。

−−スタジオ以外の場所では、どこに多くいらっしゃったんですか?

内沼:飲み屋(笑)。飲み屋は結構すごいな。

−−あまりストレスを溜めない性格なんですかね?

内沼:酒飲んで、馬鹿話して、それで終わっているかも知れないですね。だから、ストレスを溜めることはしないんですね。清水は全然飲めないでしょ? だから結構ストレスが溜まるじゃないかな。僕はそこら辺で飲んで、ワーッと発散しちゃって終わっちゃうから。

−−自分としては完璧なミックスなのに、オーダーで変えざるを得ないみたいな状況でのストレスというのはありますか?

内沼:あー、それはあるかもしれませんね。

−−自分の意見とお客さんの意見がぶつかったとき、内沼さんはどのように対処するのですか?

内沼:昔は結構仏頂面していたかもしれないけど、最近は大人になって、意見を聞きますよ(笑)。

−−折れてあげる?

内沼:折れるというか、相手が言っていることを理解してあげるっていう風に変わったね。

−−それはテクニックで説得できるものなんですか?

内沼:できますよ(笑)。

−−「こいつトンチンカンなこと言ってるな」というときもあるわけですよね?

内沼:あります。でも、やっていると相手の癖が分かるんですよね。何をしておけば喜ぶかとか。なので、あくまでも影響のないところでやってあげていますけどね。

−−つまり、いかなる状況でも自分のペースで自分の音を作っているということですね。

内沼:そういうことですね(笑)。平(哲夫)さんとSPEEDやMAXをまたやるようになって、昔は荻野目洋子とかやっていた時から平さんの癖は分かっているから、平さんのチェックで僕のミックスが引っ掛かったことないですよ。すぐOKを出してくれる。

−−プロ中のプロですね。それにしてもSPEEDとやっているのはすごいですよ。へたすれば孫ですよ(笑)。

内沼:ですよね(笑)。孫か(笑)。

−−ここで少しプライベートなことをお伺いしたいのですが、ご趣味は何ですか?

内沼:趣味はね、さっきも言ったように鉄道模型。

−−未だにやっていらっしゃるのですか?

内沼:やってる。

−−広い部屋を潰したりとかしているんですか?(笑)

内沼:それに近いかもしれない(笑)。でもね、意外と(鉄道模型が好きな人が)多いんでね。丁度ね、今4代目のレイアウトを作っているんですよ。といったって9@ゲージだから結構長い編成もできるんだけどね。本当はHOゲージをやりたいんだけど、これはもう6畳1間じゃとても足りないからね。今作っているのは1m×2m40か。

−−作るというのは細かい線路とかを買ってきて、1つずつ作るんですか?

内沼:そうそう。その線路のプランニングしているのがすごく楽しいんですよ(笑)。

−−それは小さいときからずっとやられているんですか?

内沼:いやいや、小さいときはお金がないからできない。

−−結構高いんですか?

内沼:高いですよ。HOゲージなんかやったら、お金がいくらあっても足りない。HOゲージで機関車一両買うとしたらだいたい20万くらいするもの。9@ゲージは1万円くらいですけどね。

−−いつかはHOゲージに挑戦したいと。

内沼:HOも買えるときに少しずつ買っているんですけど、場所がなくて広げられない(笑)。

−−会社のどこかを潰して展示するとか(笑)。

内沼:屋上に何か作ろうかな?と思ったこともありますけど。

−−お子さんはいらっしゃいますか?

内沼:娘が1人います。

−−確か内沼さんの娘さんも、エンジニアをなさっているんでしたっけ?

内沼:それは吉田保ですよ(笑)。3年前までかな? 娘がワーナー・スタジオの営業をやっていてそのときに吉田保の娘と一緒だったんです。

−−内沼さんは家ではどんなお父さんなんですか?

内沼:どうなんですかね。娘が大学に入るくらいまでは、ほとんど顔も見ないくらいでしたね。だって僕が家に帰ってくる時は当然寝ているでしょ? 起きたときは学校へ行っているの繰り返しだから、ほとんど会話がなかったね。悪いことしたなぁとは思うんだけどね。

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INDEX
電話帳を頼りに仕事探し〜エンジニア内沼映二の誕生
スタジオに朝から朝まで〜テイチク・ビクター時代
より自由な環境へ〜ミキサーズ・ラボ設立
「内沼サウンド」の秘密〜筒美京平との出会い
いい音=感動させる音
▼ 好きだから苦にならなかった40年
大人が楽しめるような生演奏の音楽を!


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