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松本晃彦氏 日本人ミュージシャンの使命〜世界進出の3本柱

−−最近は、クラブ・ミュージックも手がけられていらっしゃいますね。

松本:ええ。渋谷にWOMBってクラブがありまして、そこのDJ/YOSHI君と一緒にハウス・ミュージックの楽曲を作ったりとか、そのクラブでレーベルを持っているんですけど、そこでCDを出したりとかしてるんです。

−−ユニット名は?

松本:A.Matsumoto & DJ Yoshiってそのまま(笑)。で、アナログ盤を作ったんですけど、ちょっと評判が良くて、ロンドンのベン・ロストっていう人が主宰するロスト・ランゲージ系の新レーベルPRECINCTというレーベルからリリースすることになったんです。で、そこで僕の曲をオーストラリアのルーク・シャペルっていう人にリミックスしてもらったものとか、僕の作ったヴァージョン、あと他の方にもリミックスしてもらっているんですけど、2004年にリリースするんです。

−−そうなんですか。クラブ・ミュージックは一番世界に出て行きやすい音楽でもありますよね。

松本:そうですね。例えばロック・バンドとかだとヴォーカルがあったりしてなかなか難しいじゃないですか。ハウス人口って世界中でも狭いマニアックな世界なので、僕がよく言うのは「中央線沿線の畳4畳半からいきなりニューヨーク」みたいな(笑)。だから全世界で1万枚しか売れないような世界なんですけど、その人がいきなりマドンナをプロデュースしちゃうみたいな、そういう世界なんですよ。で、アナログ盤なので世界中のDJが購買層で(笑)。ロスト・ランゲージというレーベルは、アナログ盤8000枚というレベルで出すと、1万枚弱ぐらい売れるんですって。つまり1万人のDJが曲をかけてくれるわけで、世間的な影響力は高いんですよ。ただ購買層がアナログ盤を買うっていう人たちなので、DJをお客さんに持つバイヤーみたいな人を通さないといけないんですよ。

−−CDでは出ないんですか?

松本:もっとメジャーになってくると、CDで出るんですけどね。

−−業務用商品(笑)。

松本:それはそれでマニアックな人たちがいらっしゃって、ラジオでリクエストしてくれたりして。僕のこのアルバム(『Lights』)の最後に入っている曲が、A.Matsumoto & DJ Yoshiの曲なんですけど、あるUKのラジオ・チャートで6位かなんかに入ったんですよ。

−−「Ai-shu」って曲ですね。

松本:今、「Japan cool」っていう流れが世界的にあって、意外と取り入れられているんですよね。僕が一昨年やった「リターナー」っていう映画が今ニューヨークとロサンゼルスで公開されているんですよ。でも単館上映でマニアックな人たちが見るっていう感じじゃなくて、西海岸の何館かでやっているらしいんです。今ちょうど手がけている「バイオハザード」はアメリカの子供たちの中では知らない人はいないって感じですし。

−−その「バイオハザード」は新作ですか?

松本:そうですね。今月発売(2003年12月)のプレイステーション2のゲームソフトですね。

−−どのくらい売れるんですか?

松本:たぶん1000万セットとか売れるんじゃないでしょうかね。

−−うわ! 市場が世界ですから大きいですねー。

松本:サッカーのセリエAとかスペイン・リーグとか見ていると、スタジアムにも「PlayStation2」とかって書いてありますよね。ヨーロッパとかですごく人気なんですよね。プレステ2は世界規模のヒット商品ですね。

−−「バイオハザード」って怖いやつですよね。

松本:そうですね(笑)。結構ゲームやるんですよ。夜中、レコーディング作業の途中とかで(笑)。意外と面白いんです。これは通信ゲームになっていてですね、誰かわからないけど接続している者同士で助け合ってゾンビを倒すようなゲーム(笑)。まあ、そんなこともあって、世界進出したいなと思っていますね。

−−テレビ・映画音楽にハウス・ミュージックにゲーム音楽と本当に活動が幅広いですよね。

松本:今まではアーティストをプロデュースするポジションで、連続して仕事をやってという感じだったんですが、今はもうちょっと音楽の裾野みたいなものができたんで。

−−世界進出の柱が3本もありますしね。

松本:そうたやすいことではないと思うんですけどね。ハウス・ミュージックの方は本当に趣味で、ビジネスにはなり得ないですけど、やっていること自体は楽しいですし。あと、使っている楽器、例えばヤオヤ(TR-808)とかが日本製という部分で、世界に対して「何でこの音楽をやっているんだ」っていう自分の中での理由付けのひとつということもあると思うしね。例えば、日本に東南アジアのロック・バンドみたいな人が来て、英語がすごく上手くても、何でそういう音楽をやっているんだっていう風に日本人として見たら思うわけじゃないですか?それと同じで、アメリカ人としてみたら東洋人で日本にいるのにアメリカのスタイルでロック・バンドをやってるの?って思われると思うんですよね。そういうところで僕たちがやっている音楽って、どっかで輸入品を自分たちで取り入れている気持ちでいても、本国の人から見たらちょっと変わったものに見えてしまうんじゃないか?と思うんですけど、多分それがテレビ・ゲームであったり、ハウス・ミュージックであったりが「これは日本のものでもあるんだよ」っていう必然になると思うし、世界で僕が活動をする意味というものをわかりやすい形で示すことができると思うんですよね。僕というよりも日本人の音楽家が。映画も黒澤明さんとかのおかげで「日本のものでもあるんだよ」っていうことを示していると思うし、その辺が僕たちの使命なんじゃないですかね。

−−今日はどうもありがとうございました。世界進出も含めて、今後のご活躍も期待しております。 M


 音楽的才能と拮抗するビジネス感覚、そして先見性を併せ持った松本氏は、日本において希なミュージシャンなのかもしれません。しかし、その土台にある音楽に対する純粋な情熱と、現状に満足せず絶えず新しいことにチャレンジしていく姿勢が、今日の松本氏を作り上げたのだと実感させられるお話でした。前回ご登場いただいた森田和幸氏も仰られたように、「世界に通用するミュージシャン」になられる日も近いかもしれません。

COMING SOON!  さて、松本氏にご紹介いただいたのは、ジャンルを問わず数多くのアーティストを手掛け、日本では当時先駆的であったリミックス(12インチ・シングル)の制作を始めるなど、キャリア30年を数えるレコーディングエンジニアの内沼映二氏です。お楽しみに!

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第41回 内沼映二氏
(株)ミキサーズラボ
代表取締役社長/レコーディングエンジニア
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▼ 日本人ミュージシャンの使命〜世界進出の3本柱


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