松本晃彦氏 リレーロゴ BACK NUMBER
松本晃彦氏
 今回の「Musicman'sリレー」は、ロードランナー・ジャパン(株) 森田和幸氏のご紹介で、ミュージシャン・松本晃彦氏の登場です。
 音楽一家に育った少年時代から、年に100曲を手がける売れっ子アレンジャー時代を経て、「踊る大捜査線」の音楽やゲーム音楽、ハウス・ミュージックなど幅広い活動で世界にはばたく松本氏。その後の人生を決定づけた大学時代の思い切った決断とは? 名サックス奏者であった叔父・松本英彦氏が残したものとは? じっくりお楽しみ下さい。
[2003年12月18日/駒沢・(株)ロックダムアーティスツにて]
プロフィール
松本晃彦(まつもと・あきひこ) コンポーザー/アレンジャー/プロデューサー

早稲田大学第一文学部中退。叔父に勲三等、サックス奏者の故 松本英彦。
'84年大学在学中に、かの香織、元PINKの岡野ハジメ、渋谷ヒデヒロと「ショコラータ」を結成しデビュー。
'87年にプロデュースした吉川晃司「終わらないSUNSET」がオリコン1位を獲得したのをきっかけに、プロデューサーアレンジャー活動に入る。サザンオールスターズ、中森明菜、久宝留理子、KAN、ザ・イエローモンキー、RATS & STAR、福山雅治、CHAGE&ASKAなど、現在までに日本の音楽シーンに1500曲余りを提供。
ステージサポートとしてEPO、松任谷由実、ASKAなどのコンサートツアーにキーボード奏者として参加。
また 映画やドラマの音楽監督として『踊る大捜査線』『蘇える金狼』『サラリーマン金太郎3』等のサウンドトラックも手掛けている。
『踊る大捜査線』の映画版では第22回日本アカデミー賞映画音楽部門優秀賞を受賞。
最近では、渋谷WOMBのクラブDJ/YOSHIとのコラボレーションにより、最先端のハウスミュージックCDをリリース。
<松本晃彦 OFFICIAL WEB SITE> http://www.rockdom.co.jp/rockdom/matsumoto/
INDEX
音楽一家に育った少年時代
内定もらって就職せず〜大学4年の決断
年間100曲を手掛ける売れっ子アレンジャー時代
自分のカタチになるような音楽を作りたい〜叔父・松本英彦の影響
飛躍の「踊る大捜査線」

音響システムの進化──5.1chシステムの未知なる可能性
日本人ミュージシャンの使命〜世界進出の3本柱

松本晃彦氏 音楽一家に育った少年時代

−−ロードランナー・ジャパンの森田和幸さんとのご関係からお話ししていただきたいのですが。

松本:森田君とは、もう15年くらいの付き合いです。彼がまだ織田裕二さんのマネージャーをしていたときに、織田君のアルバムの制作で出会ったのが最初の出会いですね。それ以来、彼自身がプロデューサーで、その時に僕が編曲の仕事をしたり、サウンド・プロデューサーの仕事をしたり、必ず何年かに1回はご一緒させてもらっています。最近だと「踊る大捜査線2」は彼が音楽プロデューサーで、僕が音楽担当って感じで。彼は新しい音楽とかにもすごく敏感で、それでいて音楽ビジネスとして大事な要所要所はしっかり押さえているという部分もあって、刺激しあっているなという感じはありますね。

−−どこかウマがあうという感じですか?

松本:彼の場合は、「将来こういう風になっていたい」という計画をわりと若い頃から持っていて、現状の音楽シーンに対する分析をしているようなタイプだったので、そういう話もしましたし、今も会ったりすると音楽シーンの将来像とか、現状の分析みたいな話をします。

−−この間、森田さんにインタビューさせていただいたときも、通常の3倍くらい語っていただいて・・・(笑)。

松本:すごい情熱ですよね。彼は20歳くらいから変わりませんよ。

−−情熱がほとばしってました(笑)。松本さんのご出身は東京で、誕生日が2月14日、バレンタインデーですね。東京のどちらですか?

松本:世田谷で生まれたんですけど、ヤマハに勤めていた父は転勤が多かったもので、子供の頃から引っ越しが多かったんです。父は音楽教室をやっていたり、財団にいたりとかしたんですけどね。ヤマハの音楽教室でカリキュラムみたいなものを作る仕事をしていたんです。

−−お父さんも音楽に関わられていたんですね。

松本:そうです。ヤマハを定年退職になったあとで、音大の講師をやったりもしていました。一応そういう影響もあって、うちの姉も作曲家になりましたし。

−−本当に音楽一家ですね。

松本:あと、父は「外国部」っていう部署にいるときもありましたね。今は、世界中でヤマハの楽器を売っていますよね。たぶん父はヤマハの教室を世界中に作って、そこのお客さんにヤマハの楽器を使ってもらうというようなシステムの中で、カリキュラムみたいなものを作る草分けだったと思うんですよ。僕や姉とかも、音楽教室の実験材料みたいな部分もあって、海外に出張しては現地の楽器、例えばペルーのケーナとかを買って帰ってきたりして、家には色々な楽器がありましたね。もちろんフルートやヴァイオリン、ピアノとか、普通の楽器もあるんですけど、それだけじゃなくてインデオ・ハープとか、沖縄の三線、あとギターに進化する前のナイロン弦四弦の楽器とか、雅楽の笙とか、マニアックな楽器がいっぱいあったんですよ。そういうのを子供ながらに遊びで弾いてました。

−−意識する前から音楽的環境はバッチリ整っていたんですね。

松本:ピアノやフルートも習っていたんですけど、ヴァイオリンがあったり色々な楽器があって、なんとなくこの楽器はこんな風に演奏しているんだろうなっていうことを遊び弾きで覚えたのが、今サウンドを作る上では役立っているのかなとは思います。

−−子供の頃からマルチプレイヤーですね。

松本:いや(笑)、正式に習った楽器とは違いますから・・・。

−−現在何種類くらい楽器が弾けるのですか?

松本:どうでしょう…。最近ってそんなに演奏能力が高くなくても、コンピューターでエディットできるので、音色が欲しいってときは僕でもできるんですよ。だけど、卓越したプレーが欲しいときは、スタジオ・ミュージシャンの皆さんがどうしても必要になります。「まあ、だいたいこんな感じ」というデモ的なものを自分で弾いて、それをスタジオ・ミュージシャンの方に聴いてもらって、ちゃんとした演奏をしてもらうというようなことですね。

−−職業を意識する前から、音楽があるのがごく当たり前の生活であったということですね。

松本:そうですね。

−−少年時代から音楽漬けだったんですか?

松本:いや、そんなことはないですよ。

−−では、ごく普通の学生生活ですか。

松本:テニス部でしたしね(笑)。早稲田の付属高校だったんです。だから、大学受験もなかったものですから、その分ピアノを弾いたりするチャンスに恵まれたのだと思います。

−−バンドは組まれていなかったのですか?

松本:中学生くらいからギターを弾いたりしてて、高校のときはフュージョン、クロスオーバー全盛。そのあとにニューウェーブとかパンクという流れがあって、すごく刺激的なことが多かったですよね。楽器奏者としてジャズに興味を持っていたり、練習したりしつつ、時代はシンセサイザーとかデジタル黎明期みたいなところもあって。普通は「この道一筋」みたいな感じになっちゃうんでしょうけど、僕の場合は面白そうなものがあると飛びついちゃったりするものですから(笑)。ある日、ジャズを弾いていたかと思うと、ニューウェーブみたいなものを聞いてみたり、そういうことが多かったです。

−−じゃあ、1つのスタイルでバンドをずっと続けていたということではなくて、プロデューサー的な感じですか?

松本:そんなに深くは考えていなかったですけど(笑)、アメリカンTOP40みたいなものも好きでしたし、クラシックも聴いてましたし。

−−ピアノはずっと続けられていたのですか?

松本:ピアノは、途中でやめちゃったのかな?クラシック系は途中でやめてしまったのですが、中学生くらいになると音楽にまた興味を持ち出すじゃないですか?そんなときにまたピアノを始めたりしましたね。

−−ちなみに子供のときはどんなお子さんだったのですか?

松本:お調子者でした(笑)。転勤が多かったからでしょうね。ひどいときは2年に1回くらい転勤していた時期があって。

−−今まで住んだ町というと?

松本:まず、世田谷でしょ、横浜、浜松、九州、横須賀、川崎だったり転々と。ほとんど旅のような(笑)。

−−友達を作るの大変ですよね。

松本:初めのうちは大変なんですけど、慣れちゃうんですよね(笑)。それでその地方の方言とかを3ヶ月で覚えちゃったりとか、そういうことができるようになるんですよ(笑)。

−−方言を覚えるのが溶け込む近道ですか?

松本:たぶんそうなんですよね。例えば、すごく方言があるところに横浜から引っ越していくと、最初はちやほやされるけど、本当の仲間意識みたいなものは持ってもらえなかったりするんです。やはり地元に溶け込まないと。

−−「よそもん」っていう。

松本:そういう感じになりますよね。

−−そうすると何カ国語かしゃべれる感じですよね。

松本:わからないですけどね(笑)。ただコンサート・ツアーでその地方に行くと友達に会えたりして、それはそれで楽しいです。

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