第29回 恒川光昭 氏

7. 日音一の暴れん坊!?「バカヤロー」は愛のムチ

恒川光昭8−−恒川さんにとって村上さんという存在はどういうものなんですか?

恒川:僕は、父親は知らないに等しいぐらいなんです。かと言って村上さんが父親代わりっていうのも失礼な話ですよ。8つしか離れてませんので。でもね、僕にしてみれば父親以上の存在ですね。

−−育ての親みたいな感じですか。

恒川:そうそう。父親には何もしてもらってませんから。だから父親以上ですね。

−−もう一上司を通りこしてるんですね。二人の出会いから今までが長いですよね。

恒川:出会いが21歳の時だから、37年になりますね。

−−それがいい関係で続かれてるんだから並大抵の出会いじゃないですよね。そういう出会いが20代のそういうタイミングであったっていうことはすごいことですよね。

恒川:そうですよね。
少年時代悪ガキだった話もありましたけど、実は僕は日音に入ってからの方が悪ガキで暴れん坊だったんですよ。

−−はははは(笑)

恒川:日音の暴力の歴史っていうと、ほとんど僕でしょうね。

−−暴力?

恒川:うん。暴力事件の主人公はほとんど僕ですよ。僕以外いないですよ。入社して何日後かにやりました。

−−誰に対する暴力なんですか?

恒川:まず先輩をずいぶん殴ったし。

−−社内暴力ですか?

恒川:ええ。あ、社外にもあります(笑)。

−−そうなんですか(笑)。優しい方だと思ったら怖い方なんですね(笑)。手の早い感じですか?

恒川:いや、喧嘩強くもないし、好きでもないんだけど、今の言葉で言うと「キレちゃう」んですかね。

−−当時を知る方は恒川さんといえば、ちょと怖い方になるのかな?

恒川:嫌だったでしょうね。今その先輩達が副会長の木山(貢吉氏)と会長の村上ぐらいしかいませんけども、ひどかったと思いますよ。

−−警察ざたになる喧嘩だったんですか?

恒川:いや、なりません。当時の社長に殴られましたからね。それも半端じゃないと思うけど(笑)。

−−社長が社員を殴ったんですか?

恒川:僕があまりにも暴れん坊だったからね。石坂さんも知ってますよ(笑)。一緒に暴れてえらい目に合いましたから。村上にこてんぱに怒られて、二人で1ヶ月ぐらいシュンとしてましたもん。二人ともいいかげんな性格なんで、1ヶ月したらケロンとしてますよね。1年間近く一緒にやってましたから。

−−今の日音にもそういう元気のいい人は?

恒川:今はいないですねぇ。

−−さすがに村上さんに暴力を振るうことはないですよね?

恒川:いや、あったんですよ。

−−あったんですか?!(笑)。父親って言いながら…。

恒川:まあでも仕事上の議論で興奮してね…(笑)。

−−だって村上さんて紳士のイメージですよね。

恒川:たしかに紳士ですよ。紳士なんだけど、ものすごく熱い人だから。今でもそうだけど当時は若いから半端じゃないですよ。行くところまで行っちゃうと、僕は口だけじゃ理解できないから、最後は飛んできました。

−−愛のムチですね。

恒川:バーンと。そうすると「何をー!」ってやり返しちゃうから、またマズイんだよね。

−−日音っていう会社は、会長と社長が殴り合っちゃう会社なんですね(笑)。

恒川:さすがに今はやってないですよ。

−−取っ組み合いになっちゃうんですか?

恒川:取っ組み合いじゃないけど、引っ掻きあい程度ですよ!(笑)

−−正直言って大人げない話ですよね(笑)。でもそれができる間柄っていうのはものすごく深い絆ですよね。ほかの部下もそうやってしごかれてきたんですか。

恒川:そうですね。私に殴られた奴はいますよ。やっぱり言葉で殴ることもあるじゃないですか。同じなんですよ。実際に殴られた奴も、言葉で殴られた奴も同じですよ。やっぱり辞めちゃうんです、それは。それ以来、僕は「バカヤロー」って言わなくなりました。

−−それだけで辞めちゃうんですかね。

恒川:「バカヤロー」だけで、泣いて家にまで来た子いますよ。

−−男ですか?

恒川:もちろん男ですよ。「バカヤローっていうのはどういうことでしょうか?」って泣いてるんですよ。「何言ってんだ、そんなの俺の決まり文句だろうが」ってね。「親にも言われたことありません」って。そういう子いっぱいいるから。

−−そういう時代なんですねぇ。

恒川:昔は一つ挨拶みたいなもんじゃないですか。放送局なんかでも当たり前のように飛び交ってたでしょう。みんな言わなくなちゃったんですよ。

−−そういう時代になりましたねぇ。日音の社員もエリート化してひ弱になりつつあるんでしょうか?

恒川:どうなんでしょうね。どの業界も同じでしょうね。だからもう一回「バカヤローは愛の言葉なんだ」って言いたいんだけどね。言われない奴の方がよくないわけでしょう。

−−社長としては、社内で正々堂々とファイトができるような会社にしたいと。

恒川:そうですね。議論はとことんしなきゃいけないと思いますよ。最後の判断、結論は責任のあるものがするんでしょうけど、それに至るまではやらないとダメだと思ってますね。