株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント
取締役/コーポレイト・エグゼクティブ 盛田昌夫 氏
ポリシーは「どうせやるならいちばん最初にやって失敗しよう」

●高校2年生から10年間、一番多感な時期をそのように海外で過ごされて、その影響ってすごく大きいでしょうね。 
基本的に、何が起きてもどこに行っても怖くないっていうのはありますね。「なんとかなるよ」って。
●その時期をどういう風にどこで過ごすかっていうのは、すごく人生にとって大きいですよね。
僕は基本的にものすごく楽天的なんですよ。うちの奥さんやいろんな人にも「君のその自信はどこからくるんだ」って言われるんだけど、やっぱりその10年間が大きいでしょうね。ぜんぜんわけのわからない所で、言葉も違って文化も違う所に行ってなんとかなったっていうのが。
●サウジで大変な目にあいながらも生きて帰ってくるわけですから自信になりますよね。
自信があるわけじゃないんだけど「なんとかなる」っていう非常に楽天的な性格はこの10年間で磨き上げられた感じはありますね(笑)
●そういう素質は小さい頃からあったんでしょうね。
そうかもしれないですね。何から何まで全部用意してもらうっていう育ち方はしてないから。
●同じ体験をしても悲観的になっちゃう人もいるでしょうからね。
たしかに「なんで僕だけこんな目に合うんだろう」って思う人もいるかもしれないよね。これ言うとみんなに笑われるんだけど、僕は毎日楽しくてしょうがないんですよ。夜寝る時には「あー面白かった。明日はどんな日になるかな。どんな人にあって、何が起きるのかな」と思いながらドキドキしながら寝るんですよ。
●素晴らしいですね。寝る前にはいいイメージしか浮かんでこないんですか。
そうですね。だって辛いこと考えたって何にもならないでしょう。ネガティブに考え始めると果てしなくネガティブに考えてしまう。そういうのは性格的にダメなんです。
●家族全員そんな感じなんですか?
わりとね…。うちはO型の集団ですからね。これがすごいんですよ。僕のじいさんとばあさんがO型なんですよ。ということは、うちの親父の兄弟ってみんなO型なんです。それでその連れ合いがまた全部O型なんです。だから僕のいとこまで3代、O型しかいないんですよ。すごいでしょ?
●それはすごいですねぇ。
僕らの代になって初めてほかの血液型が混じってくるんですよ。うちのかみさんがAB型で、兄貴のかみさんがA型なので…でもとにかく3代全部O型の一族なの。
●それは楽天的になりますね(笑)
うちの一族が集まると、ほとんど収拾つかなくなりますよ。なんていうか、とにかくすぐ盛り上がっちゃうんですよ。イベント好きみたいなね。
●名前も「盛田」ですものね。
すぐ盛り上がる。例えばスキーに行くとするとね、昼飯食ってる時に、晩飯なに食うかっていう相談をして予約を入れてるんだからね。「次のイベントは何だ」みたいな(笑)
●明るい一家ですね(笑)
ほんとにね。これはほんとに血だろうね。
●お子さんはいらっしゃるんですか?
いますよ。でも奥さんがAB型だから子供はA型とB型なんですよ。なんかねぇ…。
●ノリが違うんですか?(笑)
子供達にまで冷ややかな顔されて「パパ、なんでそんなに一人で盛り上がってるの」って言われますよ(笑)。だからね、やっぱりそういうのってあるんだよね。

そういう環境で育ったから、仕事をはじめても、自分ではすごくシリアスでも、あまり周りがシリアスだと思ってくれないし、わりと気楽に仕事を引き受けちゃう。「なんとかなるや」って思っちゃう。仕事やる時の考え方っていうのは「とにかくやるなら一番最初にやりましょう」。一番最初にやると何がいいかっていうと、一番最初に失敗できる。それは他の人よりも早く2回目ができるってことでしょ。人の後からやって失敗したらバカとか言われるけど…。
●その成果が「bitmusic」とか…
「MORRICH」とかね。とにかく「Think, before action」じゃなくて「Action, before think」だよね。とにかくまずやってみる。やってみたら失敗できるし。最初に失敗するのはしょうがないっていうのがあるじゃない。
●言い訳もできますしね。
でしょ?それで、人より先に2回目ができる。やっぱり先に2回目できる方が絶対に強いんだから。
●それに失敗しなきゃ一人勝ちですしね(笑)
だから、一緒に仕事してるみんなにも「とにかく思いついたらやろう」と。やってダメだったら、絨毯の下とかに隠して、闇から闇に葬って知らんぷりしちゃう(笑)
●「何かありましたっけ?」みたいな(笑)
そう。それですぐ次のことを始めてしまう。そのほうが人よりたくさんできて、たくさん失敗して、結果として、先に人よりたくさん経験をすることになるでしょう。
●失敗してくよくよするようなことは全くないんですね。
やっぱりね、過去をひきずったら次やる時に臆病になっちゃうでしょう。臆病ってとても大事なことだと思うけど、でも、始めなきゃ何も起きないっていうのもある。始めるから成功もするし失敗もするわけでしょう。だから「何もしなきゃ何も起きない」だったら、とりあえずやってみようと。そうすると、新しいことが起きて、新しいことが起きれば、新しいルールを作ればいいわけじゃない。
●人の後をくっついていくよりは、とにかく自分で道を切り開くということですか。
そんな格好いいものじゃないんだけどね。アインシュタインとか、ああいう頭いい人と違うから、先に全部読み切れないだけですよ。
●その強気なところとかはやっぱりお父さん譲りですよね。強気なだけじゃなくてちゃんと実現してみせるっていう。
そうですねぇ。うちの親父も自分で見てみなきゃ、触ってみなきゃっていうものすごく好奇心の塊みたいな人だったからね。だからじっとしてない人でしたよ。どこにでも行ったし、誰にでも会ったし。親父には人よりも多くのことを経験すると、答えが必ず人よりも違うっていう持論があったから。人よりも多くのことを経験するっていうことは、人よりも先にいろんなことをやっていかないとダメだから。だから新しいことをやることに対する怖さっていうのはないですね。
●盛田さんはSMEに'98年に移られたということで、4年前に初めて音楽業界に来られたわけですよね。
そうです。それまでは16年ぐらいずっと僕はハードで働いてたんです。事業部からカナダの営業販売会社、カーオーディオ、携帯電話…。わりといろんな所にいましたね。
●音楽業界でインターネット関連の動きが出てきたのもその頃ですけど、それも盛田さんの「先にやっちゃえ」っていう考えとタイミングが合ってたような気がしますが。
…音楽業界って、基本的には保守的なところがあるでしょう。ネットの時代になると、パッケージにしがみついてても、時代がどんどん変わっていっちゃうのに「とはいうものの」っていう雰囲気があるじゃない。僕は携帯電話とか通信をやってたから、「デジタルではどんどん世界中に飛び立っちゃうんだから、音楽配信を考えなきゃいけないですね」って言った時に、音楽産業ではネットのやり方は歓迎されないんだな、というのがわかったんです。「できる限りパッケージを売ってた方がいいんだ」っていうのがね。そういう雰囲気は外だけじゃなくて、SMEのなかにもありましたね。今でこそ、何でそう思うのかもすごくよくわかりますけど、来たばっかりの頃なんて知らない世界だからね。世の中どんどん進んでっちゃうんだから、人にやられるよりも、自分たちでやった方がいい。その頃音楽業界以外のネット系の、特にベンチャー系の人たちが、我々よりも早くインターネットのことをよく知っていて「音楽配信、音楽配信」って言ってたでしょ。だから「よその人達に自分たちが今までやってきたビジネスを取られて、新しいルールを作られるぐらいだったら、自分たちでやって、自分たちでルールを作った方がいい」って提言して「bitmusic」をはじめたわけです。
●考え方がロック的ですよね。シンプルだしストレートだし。

BACK
NEXT

INDEX
初告白・名門小学校に行かなかった理由…
多感な時期の自由な海外生活…生きる知恵を学んだ留学時代
アメリカでの学生生活、そして初就職
まさかの国外退去!?波瀾万丈の世界旅行
▼ポリシーは「どうせやるならいちばん最初にやって失敗しよう」
ハードの側から眺めてみると…音楽業界の難しさ
ブロードバンドの普及がもたらすもの
囲碁の宇宙観にハマってます
BACK


Copyright(C) 1998- F.B.Communications Inc. & Magnet Co.,Ltd. All rights reserved.
Contact info@musicman-net.com with question regarding this site.