| 「スーダラ節」ができて、初めて聞いたのが大阪のコマ劇場でやったクレージーキャッツのショーでね。その時初めて人前でやってるのをみたの。そしたら大阪の客がシーンとしてて、途中で笑わないんだよみんな、初めてそんなの聞くからさ。それで「♪〜っときたもんだ〜」って終わるでしょ。終わって一瞬の間があってものすごい拍手。笑い声とかじゃなくてものすごい拍手。そのときは感動したね。お笑いの、どちらかといえばくだらないことばっかり言ってて、こういう音楽をシーンとして聴いて終わったらワ〜ッて拍手したでしょ。びっくりしたね。なんというすごい曲だろうと思った。 |
| ●すごい瞬間を目撃されたんですね。 |
| ああいう冗談系の曲、日本の曲っていうのはほとんどそうなんだけど、ドレミファソラシドの「ファ」と「シ」はほとんど使わないんですよ。「ドレミソラドラソミレド」って音階で作る。「ファ」は西洋音楽の音階で日本にはない音でしょう。「ドレミソ」って続いちゃうし、「シ」はあるんだけどね、「ファ」はないの。ところが、あの「スーダラ節」には「ドドソドドソレミミレドレソソ〜(ちょいと一杯のつもりで飲んで) レレドレレソソミファミレド(いつの間にやらはしご酒)」って、ここだけ「ファ」があるわけ。 |
| ●そうなんですか! |
| あとは1回も「ファ」は出てこない。でもそこに1箇所だけある。これがいいのよ。それは萩原さんが計算したんじゃなくて、どうしてもそうなったんでしょうね。そっちのほうが洒落た感じだなって思ったんでしょう。僕だったらこうは書かないと思う。よくある日本のメロディーにしちゃうでしょうね。それと1回使っちゃうとそこで洋風な味がでるから、あとでまた使いたくなるのよ、僕だったら(笑)。 |
| ●それも出てこないんですか。 |
| うん、絶対出てこない。それはもうびっくりしたね。 |
| ●僕もこの方は天才だと思ってましたけど…スゴイお話ですね。 |
| それからああの曲、「タ〜ラララタラ〜…てなこと言われてその気になって…」ってあれ何だっけ。 |
| ●それそれ!「これが男の生きる道」ですね。 |
| そういうタイトルだっけ?あれは作詞が最初だったからそうなったのかな?おそらく頭は哀しいブルース調のマイナーな感じで行きましょうってなったんでしょうね。それでだんだん調子が出てきて、「…てなこと言われてその気になって〜」ってエイトビートのノリになって、聞いてるほうも「来た来た来た〜!」って感じになるじゃない。ああ、植木等だ、これだってんでツイスト踊る感じになって、それでガーッときて最後にブレイク。このブレイクは必要なのね、それで「ハイそれま〜で〜ヨ」。その構成の見事なこと!すると(2番は)今度は怒って「ふざけやがって、ふざけやがって、ふざけやがって、コノヤロー!」、そのあとに「泣けてくる〜」と、だめ押し!どこにも穴がない。抜けたことない、完璧ね。あの曲の作り方っていうのは未曾有だよね。しかもお笑いの曲でしょ。 |
| ●歴史上後にも先にもありませんよね。 |
| これはほんとに斬新だったと思いますよ。 |
| ●それなのに賞とかとってないですよね。 |
| これは何もとってないんじゃないかな…それはもちろん「スーダラ節」もいいんだけどさ、でもやっぱりこれがね…。それとばかばかしくておかしいのはさ、やっぱり青島(幸男)さんの詞でね、「ホンダラ節」ってのがあるのよ。「なにをやってもホンダラがホイ、あれをやってもホンダラがホイホイ、やってもやってもホンダラホダラがホイホイ、だからやらずにホンダラっがホイホイ…」って、何回出てきた?ホンダラが。そのあとは「ホンダララ〜ホンダララ〜ホンダララッタホイホイ〜!」って、そんな歌がどこにありますか!?(笑)とにかくヒドイのよ(笑)。青島さんはそんなヒドイの書いてきてさ、都知事になってからもあの歌歌ってるのよ、そりゃないだろうって(笑)。 |
| ●それはまずいですね(笑)。 |
| それは困るんだよね、そんな歌を額にして部屋に飾っておいていいのかって(笑)。都知事の部屋だったか覚えてないんだけど、あの曲の歌詞が額に飾ってあったような気がするんだよなぁ。僕の思いこみかな?(笑)。行ったことはないんだけどさ。ライブとかで俺言っちゃったんだよね(笑)。「ホンダラ節が都知事の部屋に飾ってある」まずかったかなぁ。嘘だったら申し訳ないな、謝らなくちゃいけないな。でもそういうイメージなんだよね。絵が見えなくても頭に入ってくるんだよ。 |