| ●『音楽王』を作るのとゴッド・マウンテン始める事で90年代始まっちゃったんですね。 |
| 『音楽王』を作った直後にそうしようって。私にとって『音楽王』っていうのはそれまでの音楽活動の清算として出したんですよ、一応メジャーで出す事ですからあんまりアヴァンギャルドでぐちゃぐっちゃなものを出しても発売禁止になっちゃうじゃないですか(笑) これから自分がやろうとしているものだったらなかなか認めてもらえないだろうから、発売出来る範囲のものでそこまでの自分の音楽をなんとかまとめましょうって事で2枚作ったんですよ。それでも2枚目に関しては次のステップをちょっと臭わせながら作るという。それでそのまま臭いが出たもんですから東芝から切られました(笑) 「わからない」って(笑) |
| ●「こいつはアカン」みたいな(笑) |
| 2枚目のデモテープを聴かせた時から向こうは「わからない」って(笑) |
| ●ホッピーさんとしては覚悟の上だったんですか? |
| そうですね。でも、ここでまたわかりやすいものより東芝EMIみたいな大きな会社を利用するっていうかそういうところから自分の音楽で出すって事の方が大事ですから。そこで本来の自分はこういう事なんだよっていう事をわからせないと恥ずかしいっていうか。1枚目は完全な清算でしたけど、2枚目は少しはそういうものもいれないとイカンと思ったんですよ。だから後がどうなろうとしょうがないと思って。実際問題レコーディングは「勝手にやんなさい」って言われて、バジェットだけ教えてもらってマルチ・テープ持って一人でニューヨーク行って。ディレクターも来なかったですし、日本に帰ってきてからの制作報告会議っていうのを営業と宣伝の人間を会議室に集めてを私が黒板に説明してやったり(笑) 「こういう企画で作って、こういう風なんで、じゃこれからのプロモーションはこういうやり方で良いですか」って企画まで私が言って。それはレコード会社として野放しっていうか、どうしていいかわからない。でも、私と佐久間さんに関しては、東芝で出すっていうのが、東芝としてもその時のディレクター井ノ口氏(現・アンリミテッドレコード取締役 井ノ口 弘彦 氏)としても、二人の大物を出すっていうのが彼らのプライドとしてすごく大切な事だったんですよ。自分のやりたい方向性っていうのを東芝っていう単位では認めてはくれなかったですけど、そういうチャンスをくれたっていう意味では感謝してるっていうか、井ノ口氏に関しては私は彼の人間性は好きなんですよ、バイタリティがあって、いつでもギラギラしてるところは好きなんですよ。彼は自分のやる事に迷いがないところも好きです。ただ最終的に音楽的なところで自分のやってた『音楽王』で組めなくなったのは残念ですけど、だから彼は今の様に成功すると思ってましたよ。大体ビクターにいた時に泉谷をあれだけリバイバルさせたっていうのは彼一人の力でしたから、それも偉いなと思ってました。自分で一人でやったんですよ。メンバーも集めて「こんなメンバーと泉谷をくっつけたら売れる」って言ってやったら売れましたから。彼の動物的な観点は素晴らしいです。だから彼みたいな味方が横にいると本当は良いんでしょうね、ビジネスとしてね(笑) |
| ●ただ音楽の方向性が違った。 |
| まぁね、彼の中では私の音楽にビジネスとしての価値観が持てなかった。 |
| ●井ノ口さんの考えもわかる気がします(笑) |
| まぁそれは当然だと思う。私はそれに対して文句もないし、私はJ-POP的なものを提供したわけじゃないですから、それはしょうがないです。だからそこを機に私は自分はインディーズで生きようって事じゃなくて活動出来る場所を日本だけじゃなくてワールドワイドにレーベル替えつつ切り開いていかないと、自分はただの音楽に関わっているだけの雇われプロデューサーっていうか、都合良く使われるような人にだけなってしまって、まぁ例え自分が好きな事だけして出したとしても、なんか自主制作で寂しく出すだけになってしまうんじゃないかって危機感もありましたから、実際まわりの状況もそんな感じがしました。その時期は良いアーティストもどんどんメージャーから切られましたし、今もまたそういう時期ですけど、だからそういう意味でアンチ・メジャーっていうよりは、自分達の場所も自分で作るっていう事。やっぱり最終的には誰も頼れない。今で言うベンチャー企業みたいなのをやるんであれば、自分で作るっていうよりいろんなものを巻き込めば企業って作れるじゃないですか、お金も出てくるだろうし。ただ、自分の音楽っていうのは企業じゃないですから日本の場合それに投資をするって事はなかなか有り得ないですよね。海外みたいにスポンサーが出て来てパトロンとかグラントがお金を年間1000万あげるから好きな事やりなさいみたいな人が出てくればとてもいい事ですけど・・。だからいい事をすればそういう人間が出てくるっていうのがアメリカ。特にニューヨークなんかそうですけど、ジョン・ゾーンなんかはちゃんとグラントがいるんですよ。実際に商売もとても上手い人ですけど、年間ちゃんと納めてくれるグラントがいる。そういう資金源がある。だから彼が自分のレーベルとか好きな事を続けられる。 |
| ●アートに関しては理解がいい国ですね。 |
| いい国ですよ、お金の使い道をお金を持ってる人達がわきまえているっていうか。 |
| ---さて、次回は第2部「ホッピーの見てきたアメリカのインディーズ・シーン〜そして日本の業界は?!」をお送りします。とってもカラくて勉強になります。 |