FOCUS

弘石雅和
次世代アーティストのプラットフォームを
ユーマ株式会社[ex.Third-Ear JPN Ltd.]/株式会社Pinc
代表取締役 弘石雅和

次世代のアーテイスト、クリエイターを多角的にサポートする新会社、(株)Pinc(表記:P._nc 読み:ピンク)が先日設立された。
エッジィなクラブミュージック専門レーベルとして、ダンスミュージック好きな人で知らない人はいないサードイアジャパンを、10年以上に渡り運営してきた弘石氏。日本のダンスミュージック界に古くから携わりながら、更に広いフィールドを目指し、サードイアをユーマ(U/M/A/A)として成長展開、クラブミュージックだけにとどまらず、常に時代の先端を見つめフレキシブルにアップデートし続ける同氏に、今回設立されたPinc社の詳細や、ボーカロイドカルチャーの現状についてお話を伺った。
(取材・文、Jiro Honda)

矢印(赤) UMAA Inc.:http://www.umaa.net/
矢印(赤) Pinc Inc.:http://www.pinc.jp/

[2012年4月23日 / ユーマ(株)にて]
PROFILE
弘石雅和(ひろいし まさかず)

1990年、アルファレコードに入社。その後、ソニーミュージックにて、テクノ部門を立ち上げ、KEN ISHII、BOOM BOOM SATELITES、UNDERWORLD等の作品に携わる。2001年、イギリス・ロンドン、東京・渋谷にて、Third-Earを立ち上げ、クラブミュージック専門レーベルとして運営。2002年から2006年まで、バルセロナのフェスティバル"SONAR"のサテライトイベントを主催。また、2005年より、音楽学校 Hits Village New Yorkにおいて、音楽ビジネス論の講師を務める。2010年、Third-Ear JPNから、ユーマ(株)へ商号変更。2012年、関連会社として新たに(株)Pincを設立。専門とするクラブ/エレクトロニック・ミュージックから、ネット発のミュージックシーンに至るまで、常に最先端のフィールドで活躍し続けている。

●新会社P._ncの設立、おめでとうございます。

弘石:ありがとうございます。

●Pinc社についてお聞きする前に、まず弘石さんご自身についてお伺いしてもいいですか。

弘石:僕は、学生時代にはイカ天に出演したり、808ステイトのフロントアクトをやったりバンドを4つ掛け持ちしながら、インターカレッジのサークルでDJイベントをオーガナイズし、クラブの動員記録をつくったり、活動的なオタクだったんだと思います(笑)。またクラブミュージックやディスコが好きな人に、その週に出た12インチをWAVEやCISCOで買ってきてレンタルするお店「SHOP 33」に携わっていました。エイベックスの松浦さんは「友&愛」でキャリアをスタートされたようですが、私もこの「SHOP 33」での経験がいまでも大きく役立っています。

その後、著作権法の改正で貸しレコード屋が次々と潰れていく状況になるんですけど、80年代後半、当時HIPHOPやテクノが産まれてきていて、それらに関連したアーティストグッズやウェアで、日本に入ってきていないものが沢山あったんですね。それで、そういう商品のバイヤーとして世界一周して買ってきて、それらを扱うセレクトショップとして「SHOP 33」を、改めて吉祥寺や原宿に出店したりしました。そういえば、そのショップのロゴもP._ncのCIを依頼したデザイナーズ・リパブリックでした。

●本格的に音楽業界に入ったのはいつですか?

弘石:アルファレコードにつながりがあって、90年に入社しました。洋楽部の配属で、クラブミュージックの制作やMute、JIVE、PWLなどのプロモーションを担当しました。
そのときアルファにもうYMOはいなかったんですが、邦楽部にYMOのリミックス企画を提案したり、自由な社風でした。アルファのレーベルとしてのあり方や斬新な発想は、U/M/A/AやP._ncのベースにあると思います。

その4年後に、ソニーミュージックがダンスミュージックレーベルを新しく作るというタイミングでソニーに移って、7年間ぐらいお世話になりました。

●「ソニテク」ですね。

弘石:ええ。ソニーテクノでは、KEN ISHIIやBOOM BOOM SATELITES、UNDERWORLDといったアーティストやMIX-UPというDJMIXコンピ、WARP Recordsのリリースに関わったりしました。

あと、今だと珍しいと思うんですが、ソニー時代の最後の時期は、Aphex TwinとかKEN ISHIIを売り出したベルギーのR&S Recordsとソニーミュージックがジョイントベンチャーをやるということで、ベルギーのゲントという街に出向で行きました。

●それは、お一人で行かれたんですか?

弘石:そうです。スタッフが7、8人しかいないベルギーのインディーズのレコード会社に籍を置いて、現地でインディーズの勉強をしましたね。

その後、BOOM BOOM SATELLITESがロンドンに居を構えて、1年間かけてアルバムを制作するということで、今度はロンドンにまた一人で行って、ソニーミュージックジャパン・ロンドン独りオフィスみたいな感じで(笑)、制作から発送まで全部やりました。
SMEのなかでその経験が活かせればと、意気揚々と帰国しましたが、現実的には厳しい状況がありました。

そういう状況の中で、デトロイトテクノが大好きなイギリス人ジャズシンガーGuy McCreeryに出会って、彼と一緒にサードイアの前身を作ったんです。

●サードイアはイギリスからはじまったんですね。

弘石:イギリスでスタートしました。それが、2001年ですね。今もロンドンにクラブミュージックの会社としてありますよ。

当初サードイアとしては、今でいうbeatportのような、クラブミュージックやエレクトリックミュージックの専門サイトを作って、ファイルデータで楽曲を販売するビジネスモデルを、Guyさんと話して企画もしていたんです。ですが、ネットのインフラ環境も整っていなかったので、環境が整うまではということで、つながりのあったクラブミュージックのジャンルで、レーベル、イベント制作の会社としてスタートしました。

その後、フェスのオーガナイズの方にも派生して、スペイン・バルセロナのSONARのチームと一緒にSonarSound Tokyoを10年間一緒にやったりしてきました。


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